哲学科は上智大学の少人数制教育の伝統を受け継ぎ、学生と先生との距離がとても近い学科です。学科の授業の多くは20人前後の少人数で開かれ、学生と先生との協力作業として真摯な対話によって進められます。授業によっては合宿や文集の作成も行われています。授業以外の勉学の場所としては、中央図書館にある大学院哲学研究室のほかに7号館に哲学科研究室があり、とくに後者は哲学科学生の勉学と交流のために開放されています。哲学科研究室の周辺にある各教員の研究室も、いつでも学生の訪問のために開かれています。さらに授業以外にも、先生や大学院生の指導する多くの研究会やグループがあり、他大学で専門を同じくする人々も集まってきます。こうした環境から、学習や交遊を通じてさまざまな刺激を受けることができます。
かつて哲学科の教員のほとんどは西洋の文化伝統の中で育った外国人でした。今日でもその国際性の伝統と雰囲気は脈々と生きており、本学の哲学科はつねに、東西世界にまたがるグローバルな視点からものを考えています。学生もそうした雰囲気の中で、さまざまな哲学・思想・芸術文化などについて違和感をもつことなく学び、グローバルなものの見方を自然に身につけていきます。本学の哲学科がとりわけ西洋の哲学思想や東西の比較思想を学ぶ場として高く評価されてきたのは、こうした自然な国際感覚によるものです。
上智大学は授業が厳しいという世間の評価がありますが、とくに哲学科の授業は厳しいというのが学内でも通り相場となっています。たしかに、休講などはほとんどありませんし、授業は開始時刻きっちりに始まります。外国語や哲学史の授業は、まるで外国語学科や歴史学科のようにたくさんあります。また、1年生からゼミナールがあることもあり、教員はみな学生の顔と名前をよく知っています。学科の授業を何回か欠席したりすると、先生や学科研究室から「どうしたのか」という連絡が入ります。これらはその昔、教員が廊下で始業時刻を待ち、チャイムが鳴ると同時に教室に入って中から鍵をかけたという本学の真剣な教育姿勢や、休んだ学生のところには学長が出向いて行ったという伝統を今に伝えているとも言えるでしょう。 。