哲学科では専門科目を学ぶための前提として、外国語の十分な修得を求めます。外国の文化や思想を知り、原典が読めるようになるのは大事なことですが、さらに外国語の訓練は、論理や言語による思考力と理解力を伸ばし、自分の力で考え表現することに大いに役立ちます。日本の思想を専攻するような場合でも、外国語の勉強は必須のものです。哲学思想・倫理学・芸術文化のどの系列を選択しても、外国語の修得については基本的に違いはありません。
上智大学哲学科には、第一外国語と第二外国語があります。第一外国語は、ドイツ語、英語、またはフランス語です。入学式後のオリエンテーション・キャンプでそのいずれかを選択します。ドイツ語で学ぶ、カントやヘーゲル、フッサールやハイデガーなどに代表される近現代ドイツの哲学は、形而上学や認識論の宝庫です。また日本の近代哲学もドイツ哲学の大きな影響を受けています。これに対して英語は、いまや学問の世界でも世界の標準語であると同時に、20世紀以降は論理学・言語哲学・倫理学・芸術論・社会哲学・心の哲学などの分野で、つぎつぎに新しい哲学の流れを生み出しています。フランス語は、欧米では英語に次いで広く学ばれ、広範囲に渡る国や地域で話されており、またデカルトやサルトル、デリダなど、哲学史上も無視することのできない著名な哲学者の思想を原典でより深く理解するために必要となります。いずれにせよ、自分の関心や将来の志望をよく考えて選択することが大事です。また、第一外国語の選択により、第二外国語や文献講読などの履修方法にすこし違いが出てきます。
第二外国語に関しては、英語選択者であれば、言語教育研究センターが開講しているドイツ語あるいはフランス語、もしくは哲学科開講のラテン語の中から選ぶことになります。フランス語選択者ならば、言語教育センターのフランス語の授業を第二外国語として選びます。ドイツ語選択者は、第二外国語は不要となります。またこれ以外にも、二年次から、古典ギリシア語を第三外国語として学ぶことができます。とりわけ西洋古典の哲学思想について日本有数の研究機関である本学の哲学科には、ラテン語・古典ギリシア語と、それらによって書かれた人類の知的遺産を本格的に学ぶ環境がととのっています。