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◆哲学思想・倫理学・芸術文化系列

3系列制について

3つの系列からの選択制を導入しています

 

現在、哲学科には哲学思想・倫理学・芸術文化の3つの系列が設置されています。哲学科への入学後、2年次の始めに各人が自分の志望する専門分野によっていずれかの系列を選択し、これまで以上に明確な目標をもって勉学することになります。

 

哲学思想系列には、主として西洋の伝統に基づく古代から現代までの哲学史、形而上学、認識論、自然哲学、科学論、論理学などの分野があります。

 

倫理学系列には、倫理思想史、倫理学の基礎理論、生命・環境・情報倫理などの応用倫理学、また社会哲学や政治哲学などの分野があります。

 

芸術文化系列には、美学、芸術学、またキリスト教思想や仏教思想をはじめとする東西の文化・宗教・比較思想などの分野があります。

全系列必修科目

哲学基礎科目の重視 -しっかりした哲学的態度を身につける

 

哲学科では、たとえ応用倫理や社会思想、芸術文化などを研究する場合でも、哲学的態度の基礎が身についていなければならないと考えます。したがって、外国語・少人数の哲学演習・西洋哲学史・体系的哲学を重視しており、3つの系列からどれを選択する場合でも、哲学基礎科目の修得は共通の前提となります。

 

豊富な時間をもつ第一外国語(ドイツ語、英語、フランス語)と、それに応じた第二外国語(英語、ドイツ語、フランス語、ラテン語等)を選択して修得することができます。

 

1年次から卒業年度まで、少人数での演習(ゼミナール)や文献講読の科目があり、いずれも「自分の力で考え、表現する」能力を養うために、集中的な指導を重視しています。

 

西洋の古代哲学史・中世哲学史・近世哲学史・現代哲学史を、十分な時間をかけて詳細に修得することができます。

 


専門科目 -哲学科の専門カリキュラム

 

哲学科の専門科目は、必修科目・選択必修科目・自由選択科目の3種類に分かれています。このうち必修科目のすべてと選択必修科目の一部は哲学科生全員に共通の科目です。残りの選択科目の選択仕方は哲学思想・倫理学・芸術文化の系列やそれぞれの関心と志望に応じて、異なったものになります。

 

1年次の入学直後から学ぶ専門科目には、伝統的なテーマの下で哲学の基本問題を学ぶ「哲学入門」と、少人数のグループに分かれて学ぶ演習科目「哲学演習Ⅰ」があります。「哲学演習Ⅰ」では、プラトンの対話編『ソクラテスの弁明』、アウグスティヌスの『告白』、デカルトの『方法序説』、カントの『啓蒙とは何か』などの西洋哲学の古典的文献を、担当の先生を囲むゼミナール形式で学びます。哲学文献の読み方やレポートの作成、分析と発表の仕方について、これまで知らなかった哲学の世界に目がひらかれていくだいじな科目です。さらに、後期からは哲学史の学習がはじまり、週2回開講の「古代哲学史」で西洋哲学の源流について学びます。まだ各系列に分かれていないこの時期に、自分が今後どの系列を志望するのかを考えておきます。

 

2年次からは、3つの系列に分かれた授業が増えてきます。少人数による演習科目「哲学演習Ⅱ」も、グループによって取りあげるテーマが異なってきます。他方で、前期週2回開講の「中世哲学史」、後期週2回開講の「近世哲学史」の授業など、西洋哲学の全体像と基礎知識を得るための科目はすべての系列に共通です。2年次の終わりまでには古典語をのぞく外国語や全学共通科目の修得もほぼ終わり、基礎的な勉学の段階が終了します。

 

3、4年次はいよいよ自分の専門とする分野を意識し、将来の進路を定めていく重要な時期になります。原典による「文献講読」や、「形而上学」「認識論」「倫理学」「人間論」「自然哲学」「宗教哲学」「美学」「芸術学」のような体系的科目を、各系列別に選択して学んでいきます。哲学科では毎年、個別領域をあつかうたくさんの選択科目を開講しています。また自分の関心をさらに広げて、他学部他学科の専門科目を受講することもできます。

 

3年次の終わりには、すべての系列に共通な「卒業論文」の登録がはじまります。大学院や他の分野への進学を志望する人、企業への就職を志望する人と進路はさまざまですが、自分の論文指導教員を決め、先生とよく相談しながら、哲学科での勉学の集大成であるとともに今後の人生への登龍門ともなる「卒業論文」の執筆に取り組むことになります。

哲学思想・倫理学・芸術文化系列
 

哲学思想系列

 

 ヨーロッパを主とする伝統的な哲学思想を研究する系列です。本学の哲学科はとりわけドイツ哲学スコラ哲学などの分野に長い研究の歴史をもっており、この系列の内容が研究の中核を占めてきました。具体的には古代ギリシア・ローマ、ラテン中世、英独仏の近世をへて現代までに至る西洋の哲学思想史、および形而上学、認識論、自然哲学、科学論、人間論、自然神学、論理学などの各専門分野などの研究が含まれます。ソクラテスやプラトン、アウグスティヌスやトマス・アクィナス、デカルトやカント、フッサールやハイデガーなど著名な哲学者たちの哲学、また存在や認識、言語と知識、現象学や科学哲学などの哲学の主要問題を、根本的かつ徹底的に追求していきたい人がすすむ系列です。発足当時、本学科のほとんどの教員は欧米人であり、西洋哲学研究の伝統は今日でも本学科のすべての系列の根本をなすものであることから、他の系列に比べて科目履修の仕方が優遇されています。

 

 

倫理学系列

 

 現代の社会状況の中で哲学が果たすべき役割を考えるとき、「われわれは何をなすべきか」という実践的、倫理的な問いに応えることが、ますます重要になってきています。生命倫理、環境倫理、経済倫理、情報倫理、国際間倫理、世代間倫理から社会哲学や共同体論などまで、一般に「応用倫理」とよばれる分野が、20世紀以来多種多様な形であらわれてきました。その一方で、そうした応用倫理を支える基礎については、やはり古典的な倫理学を学ばねばならないということもくり返し主張されてきました。本学科の倫理学系列には、西洋や日本の倫理思想史、生命・環境・情報倫理などの応用倫理学、また社会哲学政治哲学などの分野があります。本学科の特に重要な特徴としては、すぐに具体的行動に結びつくような実践的研究よりも、それらの行動を人間存在の根底から支えることのできる、基礎理論を重視しようとする視点があげられます。

 

 

芸術文化系列

 

  芸術文化系列には、美学芸術学ばかりでなく、キリスト教思想仏教思想をはじめとする東西の文化・宗教・比較思想などの分野が含まれます。本学科の芸術関係科目の特徴は、音楽や絵画などに関わる具体的な作品論や分析論よりも、「美」や「芸術」などの基礎概念についての哲学的研究を中核にすえていることです。今日では哲学と美学・芸術学が分離してしまい、相互の対話が成り立たなくなっているような不幸な場面がしばしば見受けられます。本学哲学科ではあくまでも哲学研究を根本に置いて、きちんとした中核のある芸術研究を進めるべきだと考えています。ここでも、応用論に対する基礎研究重視という本学科の姿勢は一貫しています。また、東西の文化・宗教・比較思想の分野は、本学科だけでなく上智大学がその創立以来ずっとめざしてきた方向です。東西文化の学際的交流は、さまざまな社会問題にとって緊急の課題ですが、そのためには根本的な人間観や宗教観を知らねばなりません。芸術文化系列は表面だけの国際性でなく、人間存在の根底からの相互理解をめざします。