ウズベキスタン留学(ロシア語学科3年生 山田彩乃)

こんにちは!ロシア語学科3年生の山田彩乃です。

秋学期から上智大学を休学して、現在はウズベキスタンのタシケントにあるウズベキスタン国立世界言語大学(Узбекский государственный университет мировых языков)のロシア文献学部に私費留学をしています。

ウズベキスタン国立世界言語大学の建物

9月6日に到着して執筆現在が1月初旬なので、ちょうど4ヶ月が経過したウズベキスタン生活で感じたことを書いていきたいと思います。

まず、留学先選択の段階でウズベキスタンを候補に入れている人に向けてお伝えしたいことは、もし、1人で街中を歩いている時、見て、聞いて得られる情報からロシア語を吸収していきたい!そのことに重きを置いて留学したい!と考えているならば、正直に、同じ中央アジアでもウズベキスタンよりもお隣の国、カザフスタン、キルギスの方が留学先としてはいいと思います。なぜなら、過去の短期留学、旅行の経験、留学仲間から聞く話を比較すると、街中でのロシア語使用率はその3カ国の中ではウズベキスタンが1番低く感じ、実際に街中の会話はウズベク語が優勢だからです。視覚情報である文字もウズベク語はキリル文字ではなくラテン文字を採用しているため、張り紙やお店の看板を見てロシア語だあ!と感じることは少ないですし、特に広告はカザフスタンのようにロシア語とカザフ語が50:50でなければいけないという決まりもないためウズベク語のみのものが多かったりします。ただ、タシケント市内のロシア人の割合の多い地区やバザールの中、親よりも年上の年代の人たちとの会話、家庭内でのコミュニケーションはロシア語を利用している人たちとの会話、高校卒業までの教育をロシア語で受けてきた人たちとの会話、など、場所やその人のバックグラウンドによってはロシア語でのやり取りはなんの問題もなくでき、ウズベク語よりもロシア語が優勢な時もあります。また、ウズベク人の主に若者でロシア語が話せないと言っている人たちも、その大半はロシア語を聞けば言っていることはわかるけど、話すのは無理という場合が多いのかなと感じます。実際に私が今住んでいる寮の女の子たちは7割がロシア語を話せない=聞けばわかってくれるけど会話は成立しないかなという感じで、こちらがロシア語で話しかけたら英語学科で英語が得意な子は英語、ジェスチャー、ゴリ押しのウズベク語などなどロシア語以外で返答をくれる子が多いです。

寮のキッチンにて、ルームメイトと作ったプロフとチェブラーシカ

と、ここまでの情報を聞くと、そりゃあ、留学する目的は日本では限界のあるロシア語に囲まれた環境に身を置いて、ロシア語を上達させることにあるんだからウズベキスタンを選ぶことはないかなと思う方もいるかもしれませんが、少し留まっていただいて、以下、ウズベキスタンに留学してよかったなと思うことも書いているのでぜひそちらも読んで参考にしていただければと思います。

まず、先述したような視覚、聴覚情報からのロシア語学習が想像よりもできないことに対して、留学開始直後は1人でいる時間が多かったため私も若干不安に感じていました。しかし1ヶ月くらい経過すると、寮生活、授業、課外活動が始まって、なんとなく日々のルーティーンもできてくる中で、1人で過ごす時間はだんだん減り、一緒に過ごす時間が多い人たちも固定されていきました。私の場合はルームメイト(ウズベク人2人、トルコ人1人、全員ウズベキスタンに近いカザフスタンの街から来てる)、ロシア文献学部のクラスメイト、日本語学科のロシア語クラスの友達などなど。そしてその一緒に過ごす時間の多い人たちがロシア語ネイティブかそれに近いレベルの人たちなので、当初心配していたロシア語が吸収できない状況にはならずに済んでいるのかなと思います。むしろ出会って仲良くなった人々には本当に恵まれて、その人たちのおかげでロシア語を話すことへの躊躇がなくなったのも事実です。

寮の部屋のベッド周り

 

留学先での出会いもウズベク人の性格も当たり前に人によってバラバラなのは抜きにしても、個人的に、ウズベキスタンの人々の性格は「ロシア語で自分から話しかける」ことが、ロシア語に自信がなかったり、人見知りしてしまったり、ちょっと恥ずかしい…となかなか挑戦できていない人にはとてもピッタリだと思います。

ウズベク人は全体的に明るくて、純粋で、ちょっと緩くて、それゆえに心に余裕があって優しい性格の人が多いように感じます。そして、日本人と比べると、街中で他人に話しかけることに対してかなりハードルが低く、何か聞きたいことがあれば声に出してとりあえず近くの人に聞いてみるのが普通でもあります。私も以前、スーパーで老眼のため缶詰の文字が読めないから代わりに読んでくれないか、このお金を細かく両替できないか、このバスはどこに行くのかなど、近くにいた人に聞かれたことがあります。また、外国人だと、普通に歩いている時や店で店員さんとちょっとしたやり取りをした後など、お、珍しいな、どこの国から来たんだろう?という興味からか老若男女問わず声をかけられることも多いです。そんな感じで他人から話しかけられ、少しおしゃべりする経験が重なってしばらく経つと、今度は自分から話しかけることも普通のことだと思えるようになってきます。実際話しかけてみると、相手がウズベク語しか話せなかったとしても無視されることはまずなく、親切に対応してくれるのはもちろん、ええーロシア語できるの凄いね、1人で来てるんだ偉いね、困ったことがあれば助けるよなどなど優しい言葉をかけて笑いかけてくれる人ばかりです。話しかけてこっちも嬉しい気持ちになることが多いので、しばらくすると話しかけることに対する恥ずかしさや緊張も感じなくなってきます。そして、ウズベク人の1家族の子供の数は3〜5人と日本人からしたら多いなあと感じる数の親族がいるのが普通で(今まで一人っ子のウズベク人に会ったのはたった2人)、関わりの多い同年代の人たちも年下の兄弟、従兄弟のお世話をするのに慣れている人ばかりなので、慣れない環境での生活している私を見てよく心配もしてくれ、とても面倒見がいいんだなあとも感じます。

日本語学科の友達たちと

私はこの留学の前にも旅行とボランティアでウズベキスタンに計3ヶ月ほど短期間滞在したことはありましたが、その時の自分は観光客として街を歩いていたので、話しかけられた人も、優しくしてもらった人もその場限りでした。しかし今は日本で新しい環境に身を置いたときに新たな人間関係が構築されるのと同じように、ウズベキスタンで日常を共にする人たちが増え、その場限りではなく、留学が終わって帰国してもまた必ず会うだろうなと思う友達ができ、そのことが現時点で1番留学にきてよかったなと感じていることでもあります。これは別に留学したのがウズベキスタンだったからというわけではないかもしれませんが、ウズベク人の、日本人とは違って戸惑うこともあるけど、常に優しさを感じる性格に好感を持って、沢山話すようになったからこそここまで仲良くなれたのかなとも思います。

今回はロシア語を勉強する環境としてのウズベキスタン、そしてウズベク人の人柄について感じたことを書きましたが、実際の生活環境(気候、大学、寮)などなど、また別の機会の執筆できればいいなと思います!

おまけで、個人的に留学に持ってきてよかった物とその理由を簡単にご紹介します。

・持ってきてよかったもの

→理由

★調味料(醤油、ポン酢、粉末みそ、乾燥味噌汁の具+お好み焼きソース、みりんもあったら完璧だった)

→日本食で使われる調味料は中央アジアではアジア食料品店に行っても手に入らないから。荷物だが妥協せずに持ってくると定期的に日本食が作れるので恋しくならなくていい。現地の友達に日本食を振る舞う時にも活躍する。

★100円均一ショップで買える、水場で使えるサンダル(これは必須!!!!!)

→寮もホテルも中央アジアはシャワーを浴びる時に裸足では入りたくないなあと思う床が多い気がするのでシャワー用にビーチサンダルでもなんでも一足あると便利。現地購入可能だが値段が100円より高いのと、安いものを持ってくれば帰国時にそのまま捨てて帰れる。

★部屋着用の半ズボン、裾がゴム仕立てのズボン

→寮のシャワーの床や、トイレの床(私の寮は和式のみなので特に。タシケント、和式トイレ多いです。)など裾を引きずらないズボンだとベッドに入る時に嫌な気持ちにならなくていい。

★薬(強めの風邪薬、葛根湯、頭痛薬、胃薬、のど飴)

→現地調達も可能だが、体に合わなかった経験があるのと、効果が日本よりも感じられなかったため。特に高熱を伴う風邪に一発で効く強い薬はあると心強い。

・体温計

→なんとなく体の不調を感じた時に、熱があるか知ることができるのは大事。

・自前のカトラリーとマグカップ

→100%使うので自前で持ってくると新調するお金がかからなくていいのと、えてして余裕がない留学初日も部屋で飲食ができるので。

・教科書、参考書類

→荷物になるので迷うと思うが、代替は効かないので大学で使ったロシア語の教科書など見返したい書籍類は現地での勉強のために妥協せずにっもってくるべき。

・100円均一ショップで買える、部屋で履くスリッパ、ピンチハンガー、洗濯ネット

→寮で使うと便利!かつ現地調達は可能でも値段が3倍以上して高いため。

・靴の中敷き

→靴を追加で現地調達することになった場合、大きめのサイズを買って自前の中敷を一緒に使うことでどんな靴でも歩きやすく疲れにくくなるため。

・保温機能のある水筒

→現地調達は可能だが水漏れしたり保温機能はイマイチだったりと質が悪い。荷物に感じるけどあたたかい飲み物を持ち歩けるのは特に冬はいい。

・ドライシャンプー

→毎日洗髪をしない現地の文化に合わせたり、お湯が出なくて入浴できない時にあると便利。

・心の支え、好きなもののグッズ(家族写真、友達とのプリクラ、好きなアイドルとバンドの写真とポスター、ぬいぐるみ)

→寮の自分のベッド横に吊るしたり、壁に貼ったり、棚に飾ったりして、好きなものが目に入るのは嬉しいし、共同生活でも自分のパーソナルスペースができることで居心地がいい。大した重さにもならないのでおすすめ。

と色々なものを書いてしまいましたが、これら全てなくても生きてはいけるものの、個人的にあったことで心のゆとりに繋がりました。反対に持ってこなくてもいいものは下着類以外の服でした。現地で洗濯もできるし、現地調達も日本と同じ感覚でいくらでも可能だからです。

寮の同じフロアの女の子達の家で取れた果物(りんご、かき、ザクロ)。言葉が通じなくても皆よくご飯とか果物をくれます

貰ったザクロ

ウズベキスタンの伝統料理プロフ

パッキングの際は飛行機の重量制限がある中で必要最低限を意識するかもしれませんが、日本の慣れ親しんだ生活に近づけるような嗜好品も思い切って入れると、より楽しい留学生活になるかなと思いました。