1955年 | 外国語学部の前身・文学部外国語学科発足(英・独・仏・西語) |
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1957年 | 文学部外国語学科ロシア語専攻第1期生入学(22名) |
1958年 | 外国語学部発足、ロシア語学科に改組(2期生38名) |
1990年 | ペテルブルグ文化・芸術大学研修旅行開始(2003年まで) |
1991年 | ハルビン学院卒業生基金による顕彰奨学金授与開始 |
2005年 | モスクワ国立大学・国立サンクトペテルブルグ国立文化芸術大学と交換留学協定締結 |
2010年 | ゲルツェン名称国立教育大学と交換留学協定締結 |
2013年 | モスクワ国立言語大学と交換留学協定締結 |
2014年 | サンクトペテルブルク国立大学、ペトロザヴォーツク国立大学、極東連邦大学(ウラジオストク)と交換留学協定締結 |
2016年 | リャザン国立大学と交換留学協定締結 |
2017年 | ボロネジ国立大学、ベラルーシ国立大学、タシケント国立東洋学大学と交換留学協定締結 |
2018年 | アルファラビ名称カザフ国立大学(アルマトイ)と交換留学協定締結 |
Highlights
学科設立当初:語学の基礎を徹底
学科設立当初は、総勢5名の教員が、語学の基礎を徹底して教えるという方針のもと、なごやかなうちにも厳しい雰囲気で指導にあたった。日々の授業、宿題、息つく間もなく課される試験に、4年間で卒業するのが約半数という年も続き、すでにロシア語学科の伝統の萌芽がみられた。
「雪解け時代」、ロシア語のスペシャリスト輩出
日ソ国交回復(1956年10月)、東西緊張緩和という時代のうねりの中で誕生したロシア語学科。その後の日ソ経済関係の拡大を背景に、初期の卒業生は、主に対ソ貿易商社などに就職、ロシア語という特殊技能を武器に社会に雄飛した。
日ソ関係発展とともにダイナミックに発展
1960年代、世界中に吹き荒れた大学紛争の嵐。教員・学生ともに疲弊する中、ロシア語学科廃止論の危機を乗り越えて再建、学科教員の世代交代がすすむ。日本の国力・経済力の飛躍的増大および日ソ関係の新たな構築と足並みを揃えるように、ロシア語学科も新たな時代へ。
2つの柱:語学力と地域研究
学生のカリキュラム多様化の要求にこたえ、1960年代後期、地域研究科目の充実に注力。また、語学力強化のため、語学教材の作成が進められ、会話、文法、講読等多数の教科書が完成。各教員の授業内容の総合化が図られた。
ソ連邦崩壊:「鉄のカーテンの国」からふつうの国へ
ソ連邦の解体(1991年)という激動の中、学科の様相も変化。例えば教科書の中の地名表記などが変わり、ソ連事情などの科目内容の大幅変更が必要となった。また、留学が自由になるなど、これほど劇的な変化にさらされた学科は他にない。
学生同士の濃密な連帯感
ロシア語は習得が困難だと一般的に言われる。また、ロシア文化・社会は必ずしも日本人になじみ深いとはいいがたい。これらのハードルを越えるための苦労を共にする学生同士の連帯感は強く、新歓コンパ、追い出しコンパなど、学科学生主催の様々なイベントが催されている。
忘れえぬ思い出:ペテルブルグ文化芸術大学夏季研修
ロシア語学科特有のイベントとして、毎年夏にペテルブルグ国立文化芸術大学に宿泊する3週間の研修旅行を実施(1990年~2003年)。文化大国ロシアの真髄に触れる貴重な機会となった。この研修によりロシアへの親近感を育み深めた学生も多い。
「ふつうに」留学
ソ連崩壊後、留学が自由化され留学数は増大。2000年以降は、毎年10人以上が休学による1年間の留学を体験している。さらに、2005年には、モスクワ国立大学・サンクトペテルブルグ国立文化芸術大学と交換留学協定を締結。2018年現在、ロシア語圏の交換留学協定校数はロシア国内で9校、ベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンに各1校の合計12校ある。上智大学の交換留学先についての情報はこちらを参照。
大学の真価問われる就職戦線
ソ連崩壊以前の就職先は主にソ連相手の商社・メーカーであったが、ソ連・ロシアの大変動後は就職先が多様化。80年代後半のバブル期にはソ連に関係のない幅広い企業にまで広がり、空前の就職好調期は90年代後半まで続いた。その後は日本経済の後退とロシア経済の不調などにより就職が停滞したが、2000年以降のロシアの高度経済成長に伴い就職も復調、現在では、社会の様々なフィールドでロシア語学科卒業生が活躍している。
同窓会:学生時代の連帯の延長
ロシア語学科同窓会は、30年以上にわたる歴史を有し、隔年で同窓会を開催。学科創設50周年記念行事(2007年)には、ミハイル・ベールィ駐日ロシア連邦大使、井桁貞義日本ロシア文学会会長、袴田茂樹ロシア・東欧学会代表理事などが臨席。
NHKラジオ・テレビ講座などでおなじみの教員
ロシア語学科の教員は、メディアにも多数出演。村田真一教授はNHKラジオ「ロシア語講座」入門編講師を2002年から2007年まで、秋山真一准教授はNHKラジオ「まいにちロシア語」入門編講師を2018年に務めた。
歴代の教員では染谷茂名誉教授、宇多文雄名誉教授、森俊一元教授、徳永晴美元教授、井上幸義名誉教授らがNHKラジオ・テレビの「ロシア語講座」で活躍していたほか、上野俊彦元教授が現代ロシア政治の専門家としてテレビ・ラジオ・新聞などのニュース解説で活躍していた。
Legacy Lives On: ハルビン学院顕彰奨学金
上智大学ロシア語学科には、「ハルビン学院顕彰奨学金」というユニークな奨学金制度がある。
「ハルビン学院」は、1920年に日露協会により中国東北地方ハルビンに設立された「日露協会学校」を前身とし、ロシア語の専門学校として、語学が堪能な国際社会のリーダーを育成していた。その後1940年に「満州国立ハルビン学院大学」と改称された。
「ハルビン学院」は終戦ともに閉校したが、同学院の教員・卒業生が後に上智大学ロシア語学科で教えたという人的つながりもあり、その卒業生らが寄付をつのり上智大学ロシア語学科に寄贈した。ロシア語学科では、その基金の利息を使い、研究会等を開催し、また、1991年以来毎年6月に学科学生及び大学院生に奨学金を授与している。
「ハルビン学院」のロシア語教育への情熱が上智大学ロシア語学科に受け継がれ、新世代の国際社会のリーダーを育んでいる。