イスパニア語学科新入生・在校生の皆さん
コロナウイルス感染拡大によって、不自由な生活を強いられていることと思います。授業開始も5月末となったことから、自宅で過ごす時間を有意義に過ごしてもらうために、学科教員で「イスパニア語学科生の自習に役立つ情報」をまとめました。それぞれの学年や興味の対象にあわせて、
- イスパニア語学習ツール
・NHK「まいにちスペイン語 入門編」(NHKラジオ第2)【1年生向け】
放送:月曜~水曜 午前7:15~7:30、再放送:月曜~水曜 午後2:45~3:00、翌週 月曜~水曜 午前11:45~午後0:00
3月30日に春の新講座が始まったばかりなので、今からでも間に合います。これを聞いて5月からのイスパの授業に備えてみては。現在放送中の番組を担当されている齋藤華子先生はイスパニア語学科の卒業生、皆さんの先輩です。ちなみに中級編のご担当はイスパニア語学科の長谷川ニナ先生!NHKウェブサイトでの聴き逃し配信もあり。
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=0948_01
・NHK「まいにちスペイン語 中級編」(NHKラジオ第2)【2年生以上向け】
放送:木曜・金曜 午前7:15~7:30、 再放送:木曜・金曜 午後2:45~3:00、翌週 木曜・金曜 午前11:45~午後0:00
現在放送されている講座は、2018年10月~2019年3月分の再放送。担当講師のお一人は、イスパニア語学科の長谷川ニナ先生です!4月2日に放送が始まったばかりなので、今からでも間に合います。これを聞いて5月からのイスパの授業に備えてみては。NHKウェブサイトでの聴き逃し配信もあり。
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=4413_01
・NHKラジオ「スペイン語ニュース」(NHKラジオ第2)【2年生以上向け】
放送:月曜~金曜 午後2:00~2:10、土曜・日曜 午後1:50~2:00
日本のニュース、海外のニュースがイスパニア語で配信されています。番組ホームページにはそれぞれのニュースのトランスクリプトも掲載されているので、聴き取り練習に加えて講読の教材としても使えます。同ホームページからオンデマンド視聴も可能。
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/es/news/
・Soler-Espiauba, Dolores 『Guantanameras』Difusión、2012年。(Kindle版、651円) 【2年生以上向け】
講読用教材。キューバを舞台とした、読みやすくて面白い多読書。主人公の双子姉妹、LisaとYolandaは両親の離婚のため子どもの時に別れ、Lisaはハバナで育ち、Yolandaはアメリカ合衆国で育ちました。本は二人のハバナでの数年ぶりの再会を物語りながら、キューバと米国の間の大きな違いやキューバ文化の様々な面白いところを紹介しています。
・東京外国語大学言語モジュール・スペイン語【全学年向け】
東京外国語大学が開発したインターネット上の言語教材です。大学生が初めて新しい外国語を学ぶことを想定しているので、1年生にとっては今の時期にちょうどいい準備になりそうです。2年生以上でも、会話の動画などがあるので復習に使えます。
http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/es/
・大阪大学「高度外国語教育全国配信システムの構築」プロジェクト・スペイン語【全学年向け】
大阪大学言語文化研究科言語社会専攻/日本語専攻が作成している外国語教育の独習コンテンツです。
http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/flc/spa/index.html
- イスパニア語圏に親しむためのツール(動画、映画、ウェブサイトなど)
<スペインもの>
・プラド美術館ウェブサイト【全学年向け】
スペインが誇る美の殿堂、プラド美術館のウェブサイト。英語版もあるので1年生の皆さんも活用できると思います。コロナウイルスのため閉館している今は、美術館を訪れたくても訪れられない世界中の美術ファン向けに、収蔵品の紹介や学芸員・第一線の研究者による講座などを大量配信中。
https://www.museodelprado.es/busqueda-multimedia?rdf:type=multimediaresource
プラド美術館で修復師として活躍するイスパニア語学科卒業生、和田美奈子さんからの日本語メッセージもあります。
美術好きは必見です。
・RTVE(スペイン国営放送) “A la carta”【2年生以上向け】
スペイン国営放送の番組(ドラマ、ニュース、ドキュメンタリーなど)を無料で観られるサイトです。スペイン語字幕の有無を選べるのでレベルに合わせて挑戦してみましょう。
・Resistiré 2020 【2年生以上向け】
COVID-19 に連帯して立ち向かおうと呼びかける歌です。スペインの著名なアーティスト30人以上が参加して録音されました。もちろん、遠隔コラボ。字幕が出ます。一緒に歌ってみるのもよし。動詞の未来形、接続法の用法がたっぷり使われています。文法の復習、予習にも役立ちそうです。
メキシコバージョン Resistiré 2020 México はこちら:
https://www.youtube.com/watch?v=uBGlv05JUJI
<イスパノアメリカもの>
・映画『光のノスタルジア』『真珠のボタン』 【全学年向け】
チリ出身のPatricio Guzmán監督によるドキュメンタリー映画。国際的にも高い評価を受けました。
『光のノスタルジア』https://www.youtube.com/watch?v=hbsp2pgbmk8
『真珠のボタン』https://www.youtube.com/watch?v=2rxL88QoStY
(これらはYouTubeレンタルか購入、もしくはAmazon Prime Videoで視聴できます)
・LANIC (Latin American Network Information Center) 【全学年向け】
米国テキサス大学が開設しているラテンアメリカ情報ソースのリンク集。残念ながら2015年以降アップデートが止まってしまっていますが、それでもこれ以上にまとまっているサイト集はほかに見当たりません。英語・イスパニア語の二言語対応。
・アジア経済研究所【全学年向け】
発展途上地域関連図書の蔵書数では日本最大規模を誇るアジア経済研究所図書館は、上智大学中央図書館と相互利用提携を行っているので、上智大学生は、一般には行われていない貸し出しも受けることができます。社会科学の分野で卒論を書こうという学生は、ぜひ利用してください。ただし、残念ながら2020年4月現在、新型コロナウイルス蔓延防止の観点から臨時休館中。
https://www.ide.go.jp/Japanese/
・国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会【全学年向け】
国連の専門機関の1つで、ラテンアメリカ・カリブ地域の政治・経済・社会等の分野に関する調査研究を行っています。長い機関名なので、多くの場合、イスパニア語名称CEPAL (セパル) (Comisión Económica para América Latina y el Caribe)、英語名称ECLAC (エクラック) (Economic Commission for Latin America and the Caribbean) で呼ばれています。出版物は多くがイスパニア語・英語の二言語表記で、すべて無料でダウンロードできます。年次報告書には、ラテンアメリカ諸国の重要な基本データが網羅されているので、下の「おすすめの本」の中で紹介している『図説ラテンアメリカ』『図説ラテンアメリカ経済』ほか、書籍に掲載されている統計指標のアップデートなどに便利です。URLはイスパニア語版のものを示しましたが、英語版(末尾が「en」)、ポルトガル語版(同「pt-br」)もあります。
・デジタルプラットフォーム“Contigo en la distancia” 【2年生以上向け】
メキシコ文化省が開設した文化資料、ビデオやインタビュー、オーディオ資料、フォトギャラリー、書籍、ヴァーチャルミュージアム、歴史や先住民言語に関連した資料などを楽しむことができます。
https://contigoenladistancia.cultura.gob.mx/
・デジタルプラットフォーム “Recursos abiertos digitales de El Colegio de México”【2年生以上向け】
メキシコ屈指の高等教育機関であるEl Colegio de México(コレヒオ・デ・メヒコ)が無償提供を開始したばかりの、新しいオンライン資料。メキシコのみならず、イスパノアメリカの歴史、社会、言語、文化などに関する豊富な文献資料、AV資料などにアクセスすることが可能です。
https://www.colmex.mx/es/recursos-abiertos-digitales/proyectos-digitales
・映画 La cocina de Bebo y Cigala【2年生以上向け】
この映画には長谷川ニナ先生がtranscripciónをつけてくださいました。PDFファイルを学科メーリングリストで配付するので、参考にしてチャレンジしてみましょう。
- イスパニア語圏に関するおすすめの本
<スペインもの>
・立石博高『スペイン歴史散歩:多文化多言語社会の明日に向けて』行路社、2004年。(1500円)【全学年向け】
NHKのスペイン語ラジオ講座のために執筆されたコラムをもとに、21世紀のスペインにおける多言語社会の姿と、その歴史的背景を平易に解説しています。2004年の出版時点から時間は経過しているものの、スペインを理解するポイントとしては今なお参照すべき点が多くあります。
・萩尾生・吉田浩美著『現代バスクを知るための50章』明石書店、2012年。(2200円)【全学年向け】
日本のバスク研究を代表する専門家によるバスク地方の言語、歴史、社会、経済から、芸術や料理まで幅広い課題を取り扱う、読みやすい入門書。バスクについてもっと知りたい人におすすめ!
・佐竹健一著『スペイン文学案内』(岩波文庫)、岩波書店、2013年。(1122円)【全学年向け】
スペイン文学への入門書です。スペイン文学でいちばん有名なのはもちろん『ドン・キホーテ』ですが、12世紀に始まる文学の歴史のなかでたくさんの名作を生み出してきました。何を一番最初に読むか、この一冊がヒントを与えてくれるかもしれません。さて、ここで質問。スペイン文学史の始まりはなぜ12世紀なのでしょう?
・坂東省次監修・牛島万編『現代スペインの諸相――多民族国家への射程と相克』明石書店、2016年。(4180円)【全学年向け】
社会、経済、外交、宗教、ジェンダー問題、カタルーニャやバスク地方の情勢を俯瞰する、現代スペインについての総合的なイントロダクション。
・大髙保二郎・松原典子ほか著『スペイン美術史入門 積層する美と歴史の物語』NHK出版、2018年。(1870円、Kindle版1650円)【全学年向け】
日本語で読むことができる唯一のスペイン美術通史。2年生以上が受講できるヨーロッパ研究コースの「西美術概論」や「西美術特講」のテキストにも指定されています。スペイン美術についての基礎知識をつけたい人におすすめ。
<イスパノアメリカもの>
・小池洋一ほか編『図説ラテンアメリカ』日本評論社、1999年。(2640円)【全学年向け】
・宇佐見耕一ほか著『図説ラテンアメリカ経済』日本評論社、2009年。(2640円)【全学年向け】
数多く収録された図表を通じ、ラテンアメリカ地域の全体像を大掴みするのに適した2冊。通読するのもよいですが、資料集として使うのも一手。記述も平易で1年次生から十分に使えると思われますが、学年が進んでも手許に常備しておくと何かと便利。古くなってしまったデータは、上に記したCEPALなどのウェブサイトを活用してアップデートするとよいでしょう。
・杉山晃著『ラテンアメリカ文学バザール』現代企画室、2000年。(2200円)【全学年向け】
ラテンアメリカ文学の魅力を存分に伝えてくれる一冊です。多くの作品の翻訳者である杉山晃ならではの視点で代表的な作品が紹介されています。ここを入り口に、豊かなラテンアメリカ文学作品を読み始めてください。
・高橋均・網野徹哉著『世界の歴史18―ラテンアメリカ文明の興亡』中公文庫、2009年。(2096円)【全学年向け】
ラテンアメリカの征服以前から遡り、20世紀半ばすぎまでの近現代史を大陸間の人の往来と領土間の文化・政治・経済社会の推移を通してダイナミックに描く良書。ラテンアメリカ研究コースの講義科目では参考文献に指定される一冊。
・大貫良夫ほか監修『新版 ラテンアメリカを知る事典』平凡社 2013年。(7700円)【全学年向け】
ラテンアメリカ諸国の概況や地域特有の事象、歴史的人物など、多分野にわたってラテンアメリカ特有の用語や現象について簡潔に知る手掛かりとなる事典。
・ラテン・アメリカ政経学会編『ラテン・アメリカ社会科学ハンドブック』新評論、2014年。(2970円)【全学年向け】
多様なラテンアメリカ社会を、経済、政治、社会など広範囲にわたって現状とその背景について扱っています。個別の研究関心を深めるための参考書として便利。新評論では、このほかにも「ラテンアメリカシリーズ」と称する一連の分野別の単行書が揃っています。
・清水透著『ラテンアメリカ五〇〇年――歴史のトルソー岩波現代文庫、2017年。(1320円)【全学年向け】
メキシコでの長年のフィールドワークを基盤にしていますが、現代の先住民社会を通じて、征服後のラテンアメリカ社会の500年の歴史を振り返り、現代の社会構造を理解する良書です。
・国本伊代・中川文雄編『ラテンアメリカ研究への招待』新評論、2005年。(3520円)【1、2年生向け】
ラテンアメリカに関心のある学生にとって、幅広くわかりやすく書かれた入門書の一つ。
・今井圭子編『ラテンアメリカ 開発の思想』日本経済評論社、2004年。(3190円)【2年生以上向け】
ラテンアメリカ諸国の開発政策は、一見欧米の発展の思想を基盤としているようにみえますが、実はラテンアメリカ独自の豊かな思想が育まれてきました。グローバル化が進む現代においても、ラテンアメリカ固有の思想的背景を学ぶ意義は大きく、その手引きとなる本。
・西島章次・小池洋一編『現代ラテンアメリカ経済論』(シリーズ・現代の世界経済)ミネルヴァ書房、2011年。(3850円)【2年生以上向け】
ラテンアメリカの経済の構造と推移について知ることは、政治や社会、文化を学ぶものにとっても避けては通れません。多くの参考書がある中で、コンパクトにまとめられた一冊。
・内橋克人・佐野誠編『ラテン・アメリカは警告する:「構造改革」日本の未来』新評論、2005年。(2860円)【3、4年生向け】
・田中祐二・小池洋一編『地域経済はよみがえるか:ラテン・アメリカの産業クラスターに学ぶ』新評論、2010年。(3630円)【3、4年生向け】
・篠田武司・宇佐見耕一編『安心社会を創る:ラテン・アメリカ市民社会の挑戦に学ぶ』新評論、2009年。(2860円)【3、4年生向け】
ラテンアメリカ地域と日本が共通して抱える問題を扱った全3巻のシリーズ「『失われた10年』を超えて:ラテン・アメリカの教訓」。出版から少々時間が経ってしまっていますが、私たちが直面している問題は変わっていない、というよりも、厳しさを増しているとすらいえます。ラテンアメリカ地域で生起している事象をわがことに引き寄せつつ学ぶことができます。社会に出る前に一読しておくべき本。
・後藤政子・山崎圭一著『ラテンアメリカはどこへ行く』ミネルヴァ書房、2017年。(4950円)【3、4年生向け】
21世紀の現代ラテンアメリカの多様で再び混沌とした政治経済状況に突入した今の諸側面を切り取った論文集。各章に触れることから、各国の歴史的背景や社会構造への学びが触発される本。