VOL.4
1973年卒業
横田佐知子さん

通訳修行、スペイン語&英語&さらにスペイン語

 

この記事を書くにあたって数えてみたら通訳になってもうすぐ40年になる。

通訳を目指している後輩には水をさすようだが、最近スペイン語‐日本語の通訳は「絶滅危惧種」ではないか、と不安になる。

最大の理由は私が通訳デビューした頃に比べてスペイン語圏で英語を話せる人が非常に増えたことにある。セミナーがあるから日程を空けておいて、と頼まれ、いそいそと予定表に書き込む。でもしばらくして「英語で話すそうなので」とキャンセルになることが増えてきた。英語なら理解できる日本人が多いので通訳を介さずに理解してくれる人が多いのが魅力らしい。

だが待てよ。外国語は母語という屋台骨の上に乗るものだ。だからスペイン語圏の人が話す英語と日本人が話す英語の土台は異なっているのだ。ドイツ語を知らないとドイツ人の英語を正確に訳せない、とある時ヨーロッパの通訳が言っていた。ドイツ語特有の成句をそのまま英語にしても英語圏の人には意図が正確に伝わらないからだそうだ。

だからこれから通訳を目指す人は母語である日本語とスペイン語だけでなく、例えば英語もしっかり勉強して3ヶ国語を訳せるように頑張ることをお勧めする。日本語とスペイン語に限定するより仕事のチャンスが増えるからだ。日本語のニュアンスをたっぷり含んだ英語とスペイン語の要素が盛り沢山の英語の仲介が出来る通訳は皆無に等しい。こういうのをニッチ市場と言うのではないだろうか。

後輩たちよ、ニッチを目指せ!

ここから、チリ鉱業相来日時の通訳の様子が見られます(右手奥から2人目が筆者)。