私は2014年にイスパニア語学科を卒業し、今はテレビ局で海外のスポーツ中継を中心に番組制作をしています。社会人になって8年ほどですが、高校3年生の時には現在受験生の立場にいる人たちと同じように大学の専攻や将来の進路について悩んだり迷ったりしたのを覚えています。
当時を振り返ると大好きな海外サッカーの仕事をしたいと漠然と思い、サッカーの世界でポピュラーな2つの言語、英語とイスパニア語を使えれば将来サッカーに関わる職業に就ける可能性が少しでも上がるかも、と考えました。今振り返ると呆れるほど単純な動機付けですが、そんな理由で上智大学のイスパニア語学科を受験しました。
入学してからは高校よりも小さいサイズのクラスでイスパニア語の基礎をみっちりと2年間学びました。当時は朝イチのテストやゼロからの文法・単語を覚えるのにとても苦労しましたが、いざ社会に出て幸運にもイスパニア語で新聞記事を読んだり、スペインのサッカークラブに取材申請をしたり、スペイン出張をするような境遇に置かれてみると、イスパニア語学科でいかに質の高い授業を受けていたのか身をもって理解できるようになりました。「大学受験でイスパニア語を選んでよかった」と現在は感じています。
イスパニア語に限らず、言語はそれ自体が文化的な広がりや奥深さを持っていて学び甲斐のある教養分野です。ただ、語学は“目的”ではなく“手段”だという印象を私は抱いています。平たく言えばコミュニケーションツールという道具のイメージでしょうか。その道具をどのように使うかはその人次第ですが、私にとってイスパニア語は自分の熱意や意見を伝えるための武器であり、新しい知識や価値観に触れるためのツールであり、好きなことを思い切り探求する上で大きな助けになってくれます。
イスパニア語を4年間学んだ後にその知識を役立てて働くイメージが湧かなかったり、希望する仕事に就けなかった場合のことを考えてしまう人もいるかもしれません。でも人生の節目に自分の判断で選択し、一生懸命取り組んだことは決して無駄にはならないし、ふとした瞬間に実を結んだりどこか思いもよらぬ場所で繋がりが生まれたりするものです。もし興味や関心があるのなら果敢に一歩踏み出し、イスパニア語の世界に飛び込んでみてください。