英語学科生による卒業論文発表会

121日、北米、アジアを専門分野とする4つのゼミ(小塩、石井、出口、飯島ゼミ)による卒論発表会が行われました。本学科では、卒論執筆は必修ではありません。しかし、自主的に執筆を選んだ学生は、2年(留学を含めると3年の場合もあり)ほどかけて、自分で見つけたテーマに関する研究論文(英語、1万単語以上)を書きあげます。発表会では、昨年12月初旬に無事卒論を提出した13名の学生が、その成果を披露しました。

今回の発表では、環境、女性、移民・エスニック集団、教育、家族、マテリアル・カルチャーなど多岐にわたるテーマが取り上げられました。また、lowriders, greenwashing, 米国における従軍慰安婦像など、本格的な研究が行われていないユニークなテーマも見受けられました。特徴的だったのは、既存研究の枠組みや縛りから解放されたアプローチや視点が多くの発表で提示されたことです(下記、発表タイトル一覧を参照)。

発表を聞いている間、好井裕明著『違和感から始まる社会学』(光文社新書、2014)の冒頭のくだりを思い出しました。

「私は学部生の卒業論文を読むのが好きだ。彼らは、就職活動で多大な時間とエネルギーをとられながらも、自らの問題関心をもとに読んだり、調査したり、フィールドワークをしたり、聞き取りをしたりして、独自の成果を作り出す。
 学問的水準などという厳しいことを言いだしたら、いろいろと批判できるが、粗削りな問題関心のもとで、いま自分ができる営みをがんばり、一つの作品としてまとめあげる。そのエネルギーと問題関心、彼の思索の軌跡が卒業論文のなかで嬉々として躍動しているのを見るのがこのうえもなく楽しいのだ。(8頁)」

 実は、「作品」を作り上げるにあたり、執筆学生は、教員やゼミ生とともに、繰り返し議論を行い、原稿を読み合い、研究内容に磨きをかけていきます。その過程で、次第に教員対学生という関係は薄れ、研究者同士の繋がりが構築され、アカデミック・コミュニティが形成されていきます。そこでは、執筆学生たちの「躍動」が共有され、後輩たちの作品へと受け継がれていくのです。さて、来年はどのような作品が出来上がるのでしょうか。今から楽しみです。

発表者の皆さん、お疲れさま。そして、ありがとう。

~発表タイトル一覧~
History
栗岡秀治 “The Positive Effects of Railroads and their Relations with National Parks in the United States: Through Alfred Runte’s Studies”
後藤優希 “Exploring Asian American Coalition and Division since the 1960s”
中戸川愛美 “The Experience of Japanese Americans in the Internment Camps during World War II: Its History and Contemporary Interpretations in the U.S. Society”

Social Issues
佐々木彩花 “Transnational Comfort Women Issues in the United States: From the Perspectives of Korean Americans and Other Asian Americans”
中村祐太 “Greenwashing in the Automobile Industry: A Website Analysis on General Motors and Toyota”

Culture
古賀梨花子“Exploring the Images of Black Female Body”
神原桃子“Africa in The Lion King: Whether African Aspects Were Considered Positive or Not”
岡村政志“Lowriders Cultural Pride and Hope on Cars in Anglo-American Mainstream Society in Los Angeles (Beginning of the 20th Century – 1970)”
高畠明子“Afro-Cuban music in Japan: Its acceptance and influences in the 20th Century”

Identity
石坂友紀恵“Experience of Living with Grandparents –Narratives of University Students from Three-Generational Families”
白山彩“The Complex Identity of Kibei: The Experiences of the 2nd-generation Japanese Americans who lived in both Japan and the US”

Education
福田佳奈“The Years of Struggles: Movements and Supports for African American Education After the Civil War”
田精吾“Japanese-Brazilian Children in Japan: Their Current Situations under the Japanese Educational System”

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発表者と指導教員たち

 

 

 

 

 

発表中の様子