こんにちは。イスパニア語学科4年の佐藤諒です。2015年11月4日にウルグアイのタバレ・バスケス大統領が来日され、上智大学で特別講演会をされました。私はイスパニア語学科の代表として講演後に質問をしました。
みなさんウルグアイと言う国をご存知でしょうか。ウルグアイは南米大陸の国の一つで、アルゼンチンとブラジルという二つの大国に挟まれた人口約300万人の小さな国です。私はアルゼンチン留学中に首都モンテビデオに旅行に行きました。他の南米の国の首都とは違った落ち着いた雰囲気の街だったことを今でもよく覚えています。
今回来日されたタバレ・バスケス大統領は、拡大戦線という中道左派政党の党首で、社会保障に力を入れた国家運営を目指しています。そして今回の講演会では「科学と政治の関係」についてお話をされました。
簡単に講演会の内容を述べます。
科学技術は人類の生活の質の向上、経済成長の要素として不可欠なものである。そし て政治は国際社会のプロジェクト、国の発展、人々に夢や価値をもたらすものである。政治と科学は両方とも人類に恩恵をもたらすものでなくてはならない。今、人類は深刻な問題を抱えている。それはガンの疾病率の高さと、それを誘発する喫煙の問題だ。ガンの治療において、先進国と途上国の間には明確な格差が存在している。先進国では、教育プログラム、ワクチン、高度な医療による早期発見など、ガンに対して様々な対策が取られているが、途上国では予防措置が未発達であることから発見が遅れ、末期状態のガンが見つかる患者が多い。中南米、そしてウルグアイは科学技術の発展、そして国民全員が科学技術を享受できるような政治体制の確立を通して、医療の格差問題を乗り越えなければならない。
以上のような講演内容でした。バスケス大統領は政治家であると同時に現役の医師でもあり、ガンの疾病率などは具体的な数値を上げて先進国と途上国の格差を述べていた点が印象的でした。
私は、この講演を聞き「ウルグアイ社会にとっての発展とは何を意味するのか」、という質問を大統領にしました。
大統領の返答は以下の通りでした。
発展を量的な発展と質的な発展の二つに分けて考えるべきである。量的な発展とは、ウルグアイ国民全員が同じように発展して行くことであり、質的な発展とは、最も貧しい層が最も優先されることである。そして政府は最も貧しい人々に対して、彼らが人間として尊厳のある生活を送る事が出来るような仕事を作り出すことで発展に貢献していくのだ。
貧困層に目を向ける拡大戦線の政策意志を反映した返答だったように思います。
私の質問に対して事前に用意した文章ではなく、ご自分のことばで丁寧に返答してくださったことが印象的でした。
イスパニア語学科ではこのように中南米の大統領、大使など普通の大学生が接する機会を持たないような方々と交流する機会がたくさんあります。みなさんもぜひこういった機会に中南米への関心をさらに深めていただければと思います!