効率に敏感で情報が豊富な今の学生たちは、インターネットもスマートフォンもなかった我々の頃と比べて、大学生活を自らのキャリアデザインにおける「何十分の一」の時期として、ドライに位置づけることができるだろう。
そういう観点でいえば、「鬼のイスパ」で4年間を(曲がりなりにも)スペイン語漬けで過ごしながら、それを生涯のキャリアの伴侶とすることもなく、知識の引き出しの奥底にしまって封印してしまっている私など、非効率の極みと言えるかもしれない。
しかし大学で学ぶべきは真の意味での「教養」であろうと私は考える。いかなる賢者であろうと多様性をもって変化するこの社会が新たに創造していく「価値」を未然に体系づけることはできない。それゆえ社会に貢献する人材は常に自らの価値観を正し、学び続ける姿勢が不可欠である。
私にとってイスパニア語学科は、まさにこうした「教養観」を身につける場所であった。自らの天職として選んだ「広告コミュニケーション」の領域では何よりも「人はどう考えるか」を深く慮ることが求められる。そのために最も必要な素養は、言わずもがな、教養である。
その意味で、これからイスパニア語学科を目指す人たちには、ここが単に「語学の習得」だけを目指す学府ではない、ということを知ってほしい。語学を学ぶことは、教養の全てに通じる。逆に言えば、教養なくして語学を身につける意味はない。また、学科生の皆さんには、「鬼のイスパ」の経験は教養という形で必ずあなたの将来を助けてくれる、ということを、出来の悪い先輩としてこっそりとお伝えしておきたい。¡Ánimo!