VOL.1
2007年卒業
大森苑美さん

イスパニア語学科のその先に

 

「あなた一人によって世界が変わると思いますか」

10余年たった今でも鮮明に覚えている、2003年1月の面接時、最後に問われた質問。

イスパニア語学科、通称「鬼のイスパ」に入学した者は皆、映画やドラマで見るような学園ライフとは180度離れた生活を送ることになる。
それでも充実感に満ち溢れた日々を過ごせるのは、何もわからない自分たちのために一生懸命教えてくださる先生方がいて、一緒に苦しみながら前進する仲間がいる。そして何より、自分の成長がはっきりとわかるから。

正直、いまのご時勢、いくらスペイン語がベラベラ話せるようになったからと言って、その能力を活かせる仕事に就けるチャンスはそんなに多くない。けれど、話者の多いスペイン語を通じて見ることができる世界はとても広い。その経験は、より広い視野で世界を見渡すことができる大人になるために必須のものだと思う。

いま私は、ジェトロという組織で日本の企業が海外とビジネスをするために様々なサポートをする仕事をしている。アジア、欧州、米国、アフリカ、そしてラテンアメリカ・・・ ひとくちに「海外」といってもその可能性は無限大。スペイン語を通じて知った「世界の広さ」。この知見がいま確実に役にたっている。

冒頭の質問、18歳の私はこう答えた。「わかりません、でもできる限りのことはやってみます」。そして29歳になった今、こう答える。「わかりません。でも手の届くところからできる限りのことはやっています」。