大塚祐子 (On sabbatical from 4/1/2024-3/31/2025) 教授

学歴 Academic background

国際基督教大学教養学部語学科 卒業
オックスフォード大学大学院 修士課程修了(言語学)
オックスフォード大学大学院 博士課程修了(言語学) 

B.A. in Liberal Arts, International Christian University.
M.Phil. in General Linguistics, University of Oxford.
D.Phil. in General Linguistics, University of Oxford.

専門分野 Academic interests

理論言語学、統語論、生成文法、トンガ語、ポリネシア諸語、オーストロネシア諸語

(theoretical linguistics, formal syntax, generative grammar, Tongan, Polynesian languages, Austronesian languages)

子供はどんな言語でも教えられなくとも容易に話せるようになるのに、なぜ大人になってから外国語を学ぶのは難しいのか。この疑問から普遍文法という発想が生まれました。人は生まれつき言語習得に必要な知識を備えており、それはあらゆる言語に共通する文法であるという考えです。生成文法学者といわれる研究者はその普遍文法とはどのようなものなのか、さまざまな言語を研究し共通項を探ることによって追求しています。私は主にトンガ語のデータを使ってその理論を研究しています。トンガ語以外のポリネシア語や、またその親戚であるオーストロネシア語族に属する言語も研究対象です。オーストロネシア諸語はマダガスカル、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピンを初め、メラネシア、ミクロネシア、ポリネシアと広範囲にわたって分布していますが、その多くは少数民族によって話されており、英語などのより社会的に有力な言語との共存を余儀なくされ、その立場を脅かされています。そのような少数言語の記録と維持にも関心を持っています。

担当科目 Courses provided at Department of English Studies

Topics in Linguistics

Topics in Linguisticsでは、身近なことでありながらよく注意して考えてみたことのない、言語をめぐるさまざまな問題、たとえば、外国訛りはどうして起きるのか、方言蔑視はどこから来るのか、新語・造語はどうやって作られるのか、などを取り上げます。具体的な事象から言語とは何なのかという問題にいろいろな側面から取り組みます。

Grammatical Theory

Grammatical Theoryは理論言語学、具体的には統語論(文の構造の研究)と形態論(単語の内部構造の研究)を紹介する科目です。単語と単語をくっつけて文にするのが統語ですが、そこには何らかの規則があります。母語話者は教わらずともそれを自然と身につけ、「なんか変」な文は即座に見分けることができます。その規則を調べていくと、実はいろいろな言語で共通の規則性があったり、言語によっていくつかのパターンがあることもわかります。このクラスでは英語のみならず、様々な言語のデータを取り上げながら、具体的な例からより抽象的なレベルの規則を見出す方法について学びます。

Formal Syntax

Formal Syntaxは統語論を勉強した学生が生成文法という理論についてより詳しく学び、実践するためのゼミです。生成文法はノーム・チョムスキーによって1950年代に提案され、以後、多くの言語学者によって研究されてきた理論です。この理論を使って実際の言語データを分析します。授業は英語で行いますが、研究対象言語は英語に限りません。

主な著書、その他 Publications, Others

PRO and null SE: Case, tense, and empty categories in Tongan. Syntax 14(3): 265-296.

NP ellipsis in Tongan: Is syntactic ergativity real? Natural Language and Linguistic Theory 28(2): 315-342.

Fostering the growth of budding community initiatives: The role of linguists in Tokelauan maintenance in Hawai‘i. Language Documentation and Conservation 1(2): 240-256. (With Andrew Wong.)

Making a case for Tongan as an endangered language. The Contemporary Pacific 19(2): 446-73.

Niuean and Eastern Polynesian: A view from syntax. Oceanic Linguistics 45: 429-56.

Ergative-absolutive patterns in Tongan: An overview. In Jessica Coon, Diane Massam, and Lisa Travis (eds.), Oxford handbook of ergativity. Oxford: Oxford University Press.

>教員データベースへ