飯島 真里子 教授

学歴 Academic background

上智大学外国語学部英語学士課程 卒業
オックスフォード大学大学院修士課程 修了(歴史学)  
オックスフォード大学大学院博士課程 修了(歴史学)

B.A. in Foreign Studies, Sophia University
M.Phil. in Modern History, University of Oxford
D.Phil. in Modern History, University of Oxford

専門分野 Academic interests

戦前に海外へ移民し、コーヒー栽培に従事した日本人とその社会に関する歴史について研究しています。私がこのテーマに興味を持ったのは、大学2年生の夏、家族でハワイ島へ旅行した時に、Country Samuraiというコーヒーショップのオーナーに出会ったのがきっかけです。オーナーは、日本人のように見えるのですが、英語しか話せない日系3世でした。オーナーのファミリー・ヒストリーを聞いて、なぜ戦前に日本人がハワイに移住したのだろうか疑問に思い、研究をし始めました。上智大学を卒業後、イギリス・オックスフォード大学大学院に留学し、ハワイの日系人とコーヒー栽培の関係史についての研究を深めました。ハワイのほぼ裏側に位置するイギリスの研究環境は、資料や現地調査の点では決して恵まれたものとはいえませんでしたが、自分の研究を「グローバル・ヒストリー」という視点から捉えることができたのは大きな収穫でした。

では「グローバル・ヒストリー」とは何でしょうか。これまで一つの国の視点から理解されていた歴史を、国家という枠組みを取り去って、もっと自由に考えてみようとする試みです。たとえば、国境を越えて移動するヒト(移民)やモノ(コーヒー)を研究対象とすることによって、国家と国家のつながり、地域と地域のつながり、そして地球規模のつながりがどのように作り出され、変化してきたのかについて考えます。最近では、私の研究もさらに地域を広げ、ハワイのみならず、戦前日本人が移民していた他の地域―ブラジル、台湾、サイパンなど―に注目しながら、コーヒー栽培のための資本・技術・知識が日本人の移動ともにどのように伝わったのか、また、逆に日本人が国境を越え、コーヒー栽培に関わってきたのかについて研究しています。

担当科目 Courses provided at Department of English Studies

English Skills(1年生)、History of Japanese Immigration 1, 2(2-4年生)、食のグローバル・ヒストリー(2-4年生)、Seminar (Globalization and Migration)、グローバル・ヒストリー入門(コーディネーター)

一年生の必修科目English Skillsと英作文を担当しています。英語圏の現代社会に関するテーマ(差別、マイノリティ、ジェンダー、国家とナショナリティ、移民など)を中心に取り扱っていますが、それらの考察を通して、日本社会についても客観的な視点を養えるような講義を行っています。また、さらに専門性が高い講義であるHistory of Japanese Immigration では、「移民」や「マイノリティ」の視点から、英語圏の社会、文化、歴史について批判的に考察しています。 全ての講義で私が目指しているのは、座学にとどまらず、体験を通じて、学問的な知識を蓄積していくことです。具体的には、ゲストスピーカーによる講義、インタビューを取り入れたプロジェクト、移民コミュニティの見学(自由参加)なども積極的に行っています。それらの活動を含めて、異なる言語・文化や社会的な背景を持つ人々との交流を通じて、複眼的な視点を培っていけるような講義を展開しています。

主な著書、その他 Publications, Others

・飯島真里子「移動する沖縄女性―ハワイ・フィリピンをめぐって」沖縄県教育庁文化財課史料編集班編『沖縄県史 各論編8 女性史』2016、209-223頁
・飯島真里子「北米地域への日本人移民―アメリカ本土・ハワイ・カナダの移住経験を比較して」上智大学アメリカ・カナダ研究所編『北米研究入門―「ナショナル」を問い直す』(上智大学出版、2015)235-262頁
・飯島真里子「フィリピン日本人移民の戦争体験と引揚げ―沖縄出身者を中心として」『アジア遊学』(勉誠出版、2011)No. 145、136-149頁
・飯島真里子「ハワイ日本人移民の二段階移動:国際移動から国内移動へ」『アメリカ・カナダ研究』(上智大学アメリカ・カナダ研究所、2011)No.28、29-67頁
・飯島真里子「戦前日本人コーヒー栽培者のグローバル・ヒストリー」『移民研究』(琉球大学国際沖縄研究所移民研究部門、2011)2011、7号、 1-24頁

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