出口 真紀子 教授

学歴 Academic background

ウェルズリー大学経済学部
ボストン大学心理学科修士課程修了
ボストン・カレッジ、リンチ教育大学院(発達教育心理専攻)修士課程修了
ボストン・カレッジ、人文科学大学院心理学科(文化心理学)博士課程修了

B.A. Economics, Wellesley College
M.A. Psychology, Boston University
M.A. Human Development & Educational Psychology, Lynch School of Education, Boston College
Ph.D. Cultural Psychology, Boston College

専門分野 Academic interests

私は人々の「語り」に惹かれるタイプで、ある人物が「その人となり」になった成り行き・プロセスを知ることに興味があります。つまり、なぜ人はその人になるに至ったのか、という問いかけが常に自分の中にあります。そのため、そういったプロセスを引き出すことができるロング・インタビューを調査法として用いた研究を行っています。

私自身、日本で生まれたのですが、アメリカに長く生活したこともあり、文化変容(Acculturation)のプロセスを深く知りたいと思うようになりました。その中で、日本で生まれ育った女性がアメリカにわたり、アメリカに長期滞在するとどう変わるのだろう、そしてその「変化」をどのように語るのだろうか、と日本人女性を対象にインタビューを行いました。

また、日本社会から差別をなくすためには、日本における人種的マジョリティとして優位集団に所属する日本人がまず変わらなければならない、という考えのもと、人種的マイノリティ(例えば、在日韓国・朝鮮人)の人々の人権のために活動するようになった日本人の活動家たちの過程を知ることで、平等・共存を目指すモデルを提示していくのが今の研究課題です。

趣味 Hobbies

映画観賞、カラオケ、陶磁器の窯元巡り、居合道(武道)

担当科目 Courses provided at Department of English Studies

文化心理学(Cultural psychology)

一般的に心理学では、「人」は普遍的な心理プロセスを持っていると考えられていますが、文化心理学では、いかに文化がその文化圏の人間の心理に根深く影響を及ぼすのか、ということに焦点を当てています。つまり、他の心理学の領域に比べて、文化を中心的な位置づけで研究しているといえます。たとえば、なぜ日本人はいつも申し訳ないと思うのか、とか、なぜアメリカ人はいつもポジティブなのか、などふと気づく文化的差異も文化心理学を理解することで、「文化的自己観」からくる違いや、他の心理学的概念によって、その差異が起因するものが見えてきます。海外在住経験があったり、これからぜひ留学したいと考えているみなさんにとって、文化心理学を学ぶことは貴重な土台となってくれるでしょう。

差別の心理学(Psychology of Discrimination)

なぜ人は差別をするのか、という問いかけも大切ですが、差別があることを前提に、では、差別とどう向き合い、どのように闘っていくべきなのか、という問いかけも重要です。このクラスでは、差別をする側・される側を心理学的な研究に基づいた理論をもとに検証し、北米社会および日本社会の在り方を問います。とりあげる内容は、差別、偏見、ステレオタイプといった概念で、主に人種差別とセクシャルマイノリティへの差別に焦点をあてます。差別を経験したことのある人・ない人にかかわらず、少しでも「差別」というテーマを理解したいと思ってくださる学生にぜひおすすめしたいコースです。

イングリッシュ・スキルズ(English Skills B-1, B-2)

英語学科2年目のスキルズのクラスは、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの4つのスキルを総合的に磨き上げ、英語でのコミュニケーション力を上達させることを目標としています。英語によるスピーチ、ディベート、ディスカッションなどが課題の大きな比重を占めます。英語で考え、話す習慣を身につけ、上智でのその後の授業や留学生活に生かしてほしいと思います。学生個別のフィードバックもたっぷりとします。スキルズは1年通しで週二回の講義なので、クラスメート同士にとってホームルーム的な役割も果たし、勉強は大変ですが、楽しいクラスでもあると思います。

立場の心理学1:マジョリティの特権を考える(全学共通科目として提供)

社会の強者側にいる立場の人間はなかなか自分が強者側にいることや、労なくして得ている特権があることに気づくことができません。それは自力で気づくことができない構造上のしくみがあるためでもあり、この授業では、マジョリティ側(特権集団)に属する人々がどのような特権を持ち、なぜその特権に気づかないことが弱者(および強者)にとって生きにくい社会を作り上げているかを考えます。「特権は持っている人には見えにくい」現状を受け入れ、特権に気づくだけでなく、その特権をどう社会で活かしていくのが良いかを共に考えます。特権の中でも特に、日本人特権、経済的・家庭的安定特権、男性特権、異性愛・シスジェンダー特権にフォーカスします。

主な著書、その他 Publications, Others

出口真紀子 (2017). 「真のダイバーシティをめざして特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育」(監訳)上智大学出版. (Japanese translation of Diane J. Goodman’s book “Promoting Diversity and Social Justice: Educating Members of Privileged Groups” 2011, 2nd edition)

Deguchi, M. (October, 2016). “Teaching about Privilege in Japan.” In L. Rogers, Harper, J.K., Fujimoto, D., & Lee, S.I.. (Eds.), Readings on Diversity Issues: From hate speech to identity and privilege in Japan. eBook, Lulu.com.

Deguchi, M. (October, 2016). “Microaggressions in a Japanese Context.” In L. Rogers, Harper, J.K., Fujimoto, D., & Lee, S.I. (Eds.), Readings on Diversity Issues: From hate speech to identity and privilege in Japan. eBook, Lulu.com.

出口真紀子.「マジョリティがマジョリティの特権を追及する責任」(コラム『水平線』p. 10-11)部落解放10月号731号、20161010.解放出版社.

Mercier, H., Deguchi, M. Van der Henst, J.B., & Yama, H. (2016). The benefits of argumentation are cross-culturally robust: The case of Japan. Thinking & Reasoning, 22(1) pp. 1-15.

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