イスパニア語学科
イスパニア語で発信しよう、
そして世界の生の声を
聞き取ろう
「イスパニア語」と聞いてもぴんと来ないかもしれませんが、イスパニア語は4億近い話者人口を持ついわゆる「スペイン語」のことです。私たちは英語での国名(Spain)をもとにした「スペイン語」ではなく、より原語での発音に近く(Españaエスパーニャ)、日本においても伝統のある「イスパニア」という名称を大切にしているのです。ちなみに、本学では、親しみを込めて「イスパ」と呼ばれています。
イスパニア語を公用語とする地域(私たちは「イスパニア語圏」と呼んでいます)は、ヨーロッパ(スペイン)、南北アメリカ大陸(メキシコからアルゼンチンまでの16ヶ国)、カリブ海地域(キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコ米自治領)、そしてアフリカ(赤道ギニア)というように世界的な広がりを見せています。こうした地域はイスパニア語という言語を共有してはいますが、さまざまな地理的条件や気候風土、異なる文化的背景から、大きな多様性を有しているということができます。しかしイスパニア語が用いられるのは、この「イスパニア語圏」だけではありません。国際連合の公用語の1つに数えられているほか、アメリカ合衆国においても、ヒスパニック(ラティーノ)人口の急増に伴い、イスパニア語とその話者は、政治的にも、また社会・文化的にも非常に存在感を大きくしているのです。
本学科では、イスパニア語およびイスパニア語圏についての専門的知見と高い異文化コミュニケーション能力を兼ね備え、世界を複眼的かつ相対的にとらえることのできる人物を育成することを目指しています。
1. カリキュラム概要
学科カリキュラムには二つの大きな柱があります。一つは専攻語であるイスパニア語を習得するための科目群、もう一つはイスパニア語圏についての知識を学ぶ科目群です。
<基礎イスパニア語、総合イスパニア語>
1~2年次では、週6コマで構成されている「基礎イスパニア語」を履修し、イスパニア語の基本的な運用能力を養成します。話す、聞く、読む、書くという4技能を考慮した科目編成で、文法事項をきちんと把握した上でイスパニア語を運用できるようになることを目指します。イスパニア語を母語とする教員と日本語を母語とする教員が必要に応じて言語を使い分け、効率のよいイスパニア語学習が進むように工夫されています。まったくのゼロから始めても、2年次の終わりには、簡単な会話や作文、読解ができるようになります。
続いて3~4年次では、1~2年次で身に付けた基礎力の定着とレベルアップを図ります(「総合イスパニア語」)。この段階では、技能別に開講されている科目から、各自の伸ばしたい能力(たとえば読解、口頭表現、作文など)に合ったものを選択することができます。授業で用いる材料は、イスパニア語圏の新聞や雑誌、映画、音楽、さらにはイスパニア語圏の特定のテーマに関する高度な専門書などさまざまで、イスパニア語能力を伸ばしながら、同時にイスパニア語圏に関してさらに深い知識を得ることができるように工夫されています。
<イスパニア語圏研究基礎科目>
専攻語としてイスパニア語を学ぶ際、その言語を使用する地域に関する基礎知識も同時に身に付けることが非常に重要です。いくらイスパニア語が「ぺらぺら」でも、その言語をはぐくんできた地域についての知識がなければ、大学での勉学としては浅薄なものになってしまいます。そこで、イスパニア語学科に入学したからには常識として知っておきたいスペインとイスパニア語圏のラテンアメリカ諸国(「イスパノアメリカ」と呼んでいます)の歴史などについて学ぶ科目が準備されており、1~2年次で履修します。また、大学で学ぶ際に必要になる技法(アカデミック・スキルズ)を扱う科目もあり、研究テーマの決め方、文献の探し方、レポート・論文の書き方、プレゼンテーションの仕方なども1年次の段階で学びます。
外国語学部では、ここまで述べた科目を「第一主専攻」と見なしています。外国語学部の学生は、さらに「第二主専攻」として、自分の選択した「研究コース」において、何らかの地域や学問分野に関する系統的な学習と研究を行うことが求められます。イスパニア語、イスパニア語圏と直接関連した研究コースとしては、「ヨーロッパ研究コース」「ラテンアメリカ研究コ-ス」「言語研究コース」がありますが、自分の研究したいテーマによっては、これら以外の研究コースも選択することが可能です。イスパニア語学科で得た知識を基盤にしつつ、必ずしもイスパニア語圏にしばられない選択ができるのも、学生の可能性を大きく伸ばす環境を提供したいという学部、学科の理念によるものです。
2. 長期・短期留学
学科生の多くが、長期または短期でイスパニア語圏への留学を経験します。大学が用意している長期留学の制度としては、「交換留学」および「一般留学」の2つがありますが、それにしばられず大学の休学制度を利用して海外で勉学を進めてくる学生もいます。交換留学と一般留学の場合は、現地で取得した単位を本学の卒業に必要な単位に換算することができるため、4年での卒業も可能です。交換留学先としては、現在、スペインに16大学、メキシコに9大学、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ペルーにそれぞれ2大学、グアテマラとウルグアイに1大学があります。それぞれが各国を代表する教育機関で、さまざまな環境を選べるようになっています。また、短期留学制度では、現在、春期休暇期間中のバルセロナ自治大学(スペイン)での短期語学講座と、春期休暇期間中のデウスト大学(スペイン)、夏期休暇期間中の教皇立ハベリアナ大学(コロンビア)での短期研修が設けられています。その他、夏休みや春休みを利用してイスパニア語圏の語学学校に個人で赴く学生も多く、在学中に何らかの形で海外を体験する環境が整っています。