ジュネーヴ大学(スイス)

Report no.4: Tsuchizawa

これから留学を検討されるみなさんへ

こんにちは。私はスイスのジュネーヴ(フランス語圏)に滞在していました。
私がもし留学直前の自分に言葉をかけるならば、極端な話ですが「留学生活=自分の思い通りには絶対に進まない」ということをはっきり伝えるでしょう。私はこちらに来る前、「フランス語の力は留学中にこれくらいのばしたい」だとか「この国には必ず旅行に行きたい」といった細かい目標を立てると同時に、もしこれらの目標を達成できなかったら留学は失敗なのではないかという自分から自分への見えないプレッシャーも感じていました。

しかし、いい意味でも悪い意味でも、実際に現地に来てみると留学に来る前の自分の考えや計画はものの見事に打ち砕かれます。留学中と帰国する日ではまた全く違うことを考えていると思います。それぐらい先のことに関しては予想が立てられないのです。

肩肘張らずに自分のペースで動いているだけでも現地で十分に刺激的な生活を送ることはできます。今は勉強をするしかないから誰にも負けないぐらい集中して課題に取り組もう。今は遊びどころだから食べて飲んで喋ろう。これは今までの自分が知らないことだからとりあえず試してみよう。ちょっと疲れたから部屋で昼寝しよう。そういった切り替えさえしっかりすれば、特別に心配するようなことはありません。人によってそれぞれ考えることは違うと思いますが、私は「代えのきかない確固たる目標を立てることよりも、未知で流動的な環境に飛び込むことに対して期待を膨らませること」をおすすめします。

ただ、ひとつだけ出発前から意識しておくべきことがあるとすれば、次のことです。
「どうして日本の総理大臣は毎年のように変わるの?」
「東日本大震災からの復興にはどれくらいの年数がかかるの?」
「他国にはない日本の強みってなに?」
これらは、私が現地の学生に実際に受けた質問の一部です。フランス語の能力の問題以前に私は日本語ですらどれにも満足いく回答が出せず、「自分の国のことなのにわからないの?」と言われた時は相当なショックを受けました。留学うんぬんの問題ではなく、完全に自分の知識不足や考えの甘さを認めるしかありませんでした。これはまずいと思い、現在では日本に関するニュースになるべく目を通して、自分なりの意見をもてるようになることを心掛けました。あなたはこれらの質問に自信をもって答えられますか。

最後に、自分の立場や環境、自分に携わる全ての人への感謝の気持ちを忘れずに。ここにいると、自分ひとりでは何もできないことに毎日のように気づかされます。