講演会

水野 的氏(青山学院大学 教授)

日時2017年1月21日(土)13:00-14:30
タイトル

通訳方略と情報構造

要旨

同時通訳には厳しい認知的制約があり、英語と日本語のような構造的に異なる言語間の同時通訳では認知的制約はさらに大きくなる。通訳者はこの認知的制約を回避あるいは緩和するために独特な訳出方略を繰り出している。この場合の認知的制約とは主に作動記憶(working memory)の制約であり、訳出方略とは目標言語のシンタックスが許す限り起点言語の語順に従って翻訳することである。この方略は一般に「順送りの訳」と言われる。順送りの訳は通訳者の認知負荷を軽減することを意図したものであるが、結果として原文の情報構造を維持する訳になり、聞き手の負荷を軽減することにもつながる。この訳出方略が翻訳に適用されれば、正確で理解しやすい翻訳を生み出すだけでなく、読み手の認知的負荷を軽減することができる。発表ではいくつかの文法カテゴリーを取り上げ、起点言語の情報構造を説明し、それを維持する通訳がどのように通訳者と聞き手の負荷を軽減するかを明らかにする。

場所 その他

場所:L-821(上智大学四谷キャンパス中央図書館8F L-821会議室)

使用言語:日本語

参加費無料 事前申し込み不要