2024年10月30日 10:23:54
概要 アフリカにおける紛争とジェンダーについて高い関心が集まるが、アフリカで多くの紛争が展開された1970年代、80年代の検討も必要となる。この時期にアフリカで展開された紛争は、同時に独裁政権からの独立や民主化を求める解放闘争という性格も有する。 本セミナーでは、南アフリカとエチオピアの事例を取り上げ、両国において解放闘争に参加した女性たちに注目する。紛争にかかわる女性についてはその被害や犠牲に注目が集まるが、それだけではなく解放闘争における女性の役割や女性兵士にも着目する。 両国は、冷戦崩壊を契機に1990年代初頭に解放勢力が政権転換を果たし(南アフリカにおけるアパルトヘイト政権崩壊とエチオピアの軍事政権崩壊)、その後は解放勢力が政権運営にかかわったという共通性も有す。紛争後には、両国ともに独自に導入した移行期正義を経験している。また紛争に関与した女性たちのDDR、戦後復興や国家建設に果たした役割も注目されており、紛争後社会における女性の地位やおかれた状況についても課題を含めて検討を行う。 南アフリカとエチオピアは近年、1990年代初頭の政権交代後において最も大きな政治転換を経験しており、本セミナーでは先の解放闘争期以降の女性たちの経験について、現在の政治転換も加味して検討を行いたい。