2022年01月21日 08:10:27
近年、北東アフリカは大きな政治変動の時を迎えている。 エチオピアは2018年4月のアビィ政権成立以後、1991年以後政権党であったEPRDFの解体や一連の変革が進められたが、他方で与党から離脱したティグライ人民解放戦線とアビィ政権の対立や反政府勢力の台頭が新たな政治課題として浮上した。2020年11月にティグライ戦争が勃発した後、内戦の影響はエチオピア全域に拡大している。 スーダンは民主化勢力により2019年4月にバシール政権が崩壊した。2019年8月に軍と文民の権力分有に基づく暫定政権が発足した。しかし徐々に双方の対立が深刻化し、2021年10月に軍によるクーデターが発生した。それ以降、民衆によるデモが断続的に続き、今後の民主化プロセスに暗雲が立ち込めている。 南スーダンは2011年7月にスーダンからの分離独立を達成したものの、2013年12月から内戦に陥り、二度の和平合意後も、合意の履行は遅々として進まなかった。2020年2月に暫定国民統一政府が新たに発足したものの不安定な政権運営が継続している。 本研究セミナーは、北東アフリカのエチオピア、スーダン、南スーダンの各国における近年の政治変動に着目しその背景と動向を読み解くことを目的としている。またほぼ同時期に政治転換期を迎える3か国の情勢は相互に影響を及ぼしており、相互の関係性にも着目して北東アフリカ3か国の動態を把握することを目指している。