■ 講演会

2019年05月23日 13:40:45

<旅するアジア2019>第2回「パレスチナ人の 経験と記憶をたどる  シャティーラ難民キャンプの 70年を取材して」が2019年6月24日(月)に開催されます。

講師は、1982年の「サブラ・シャティーラの虐殺」で歴史に名を残すレバノン・ベイルートのパレスチナ難民キャンプ「シャティーラ」を2015年〜18年までのべ6カ月にわたり現地取材をし、150人以上の難民たちのインタビューを重ねた。その成果として今年4月に『シャティーラの記憶〜パレスチナ難民キャンプ70年』(岩波書店)が出版された。
講演では、取材を通して見えてきたパレスチナ難民の証言から、「20世紀最大の負の遺産」と称されるパレスチナ問題について、その人間経験の実像を考察する。エピソードは1948年の第1次中東戦争で、現在イスラエルとなっている旧パレスチナの町村から追われた難民第1世代の故郷喪失の記憶から、50年代、60年代の厳しい難民生活の経験、70年代の解放闘争に戦士として参加した男たちの経験、82年の虐殺を初め、レバノン内戦の中で犠牲になった女性・子供を含む市民の苦難がある。さらに90年に内戦が終わり、平和が戻っても厳しい就業制限などが残り、社会的経済的な困難は続き、閉塞状況にある。この70年間で、それぞれの時代を生きてきたパレスチナ人の経験と記憶をたどる。
難民たちの状況は、過去の問題だけではなく、2011年に始まる隣国シリアでの内戦で、シリアのパレスチナ難民キャンプが破壊されて追われて、シャティーラに逃げてきたパレスチナ難民の経験も最新の難民状況として記述される。苦難をから逃れるために、命の危険を顧みず、密航者としてゴムボートで地中海を渡る難民たちの証言もある。パレスチナ難民の世代を超えた経験を描くことで、パレスチナ問題を超えた「人間の歴史」として読み解くことを目指している。
講演では、講師が取材で出た写真やビデオを見せながら、具体的に証言者の顔が見えるようなかたちをとる。

主催上智大学アジア文化研究所
日時2019年6月24日(月)17時30分〜19時30分(開場17:15)
テーマパレスチナ人の経験と記憶をたどる
シャティーラ難民キャンプの70年を取材して
講師川上泰徳氏
フリーランスの中東ジャーナリスト。ボーン・上田記念国際記者
賞受賞。朝日新聞記者時代にカイロ、エルサレム、バグダッド特
派員を歴任。大阪外国語大学アラビア語科卒。著書に『「イスラ
ム国」はテロの元凶ではない』(集英社新書)、共著に『ジャー
ナリストはなぜ「戦場」へ行くのか』(集英社新書)など。
会場上智大学四谷キャンパス 6号館5階 6-501号教室
https://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya.html
申し込み要事前申し込み︓ i-asianc@sophia.ac.jp (当⽇参加も可)