研究会・講演会など

【報告】【次世代活性化国際シンポジウム】アメリカ大陸と太平洋地域をつなぐ: 「境界」を超えることの課題と可能性

報告  2016年11月17日に、イベロアメリカ研究所との共催にて、次世代活性化国際シンポジウム『アメリカ大陸と太平洋地域をつなぐ』を行いました。当日は、学部生も多く参加し、100名以上が会場を訪れました。
本シンポジウムでは、アジア太平洋地域、アメリカ大陸と繋ぐ現象に焦点をあて、それまで「地域」という枠組みによって分断・制限されてきた研究テーマ・事例研究を取り上げました。第1パネルでは、ゲバラ氏が、「メキシピーノ」のアイデンティティ・コミュニティ-形成に関する発表を行いました。フィリピンとメキシコの両方にルーツを持ち、米国に住む人々はまさにアジアとアメリカ大陸を繋ぐ存在です。また、第2パネルでは、水谷氏が、国境によって分断されたアメリカ先住民の視点から、人為的な国境がもたらした弊害とともに、先住民が持つテリトリーの認識と国民国家による線引きの差異についてお話ししました。第3パネルで、以上の発表者に加え、アジア太平洋地域とアメリカ大陸を繋ぐ研究を行っている若手研究者を招き、それぞれの研究を踏まえたうえで本シンポジウムの意義について議論するとともに、研究を進めるにあたっての問題点・課題、研究を反映した教授法などについても言及しました。
今回は、本学二つの地域研究所による初めてのシンポジウムとなりました。問題関心を共有しながらも、なかなか交わることのない地域研究者たち、そして学部生や若手研究者との交流する良い機会になったと思います。今後もこのような企画を積極的に行いたいと考えております。
 
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日時 2016年11月17日(木)13:15〜18:15
場所 上智大学中央図書館9階921会議室
使用言語 日本語・英語
参加費/予約 参加自由
 ※Sophia Open Research Weeks 2016 参加企画
 本シンポジウムは、アジアから南北アメリカの連結を妨げてきた地理的、社会経済的、人種・エスニック的「境界」を超越、連結、また時には打破を試みる多様な移動について考察します。また、実際にヒト、モノ、知識が移動する空間として、アジアとアメリカ大陸の連結に重要な役割を果たした太平洋地域にも着目することで、「海の視点」も取り入れて検討しています。しかし、一国や一地域に留まらないトランス・ボーダー研究を行う研究者は、複数地域でのフィールドや複数言語の活用が必要とされ、様々な形で調査の負担も増大していきます。本シンポジウムが、次世代研究者の育成・活性化も目的としていることから、研究分野が異なる(文化人類学、エスニック・スタディーズ、歴史学、社会学)研究者をお迎えし、研究上の課題についても意見交換を行います。
プログラム

総合司会: 飯島真里子 (アメリカ・カナダ研究所所長/上智大学外国語学部准教授)

13:15-13:30 開会の辞 飯島真里子

13:30-15:00 パネル1 “Forging a Mexipino Identity: Multiplicity and Community in San Diego, California”

講演者: ルディ・ゲバラ(アリゾナ州立大学准教授)
コメンテーター:徳永悠(京都大学人文科学研究所助教)         使用言語:英語

15:00-16:30 パネル2 「北米大陸および周辺地域を理解するツールとしての先住民研究」

講演者: 水谷裕佳(上智大学グローバル教育センター准教授)
コメンテーター:李里花(多摩美術大学美術学部准教授)         使用言語:日本語

16:30-16:40 休憩

16:40-18:10 パネル・ディスカッション

司会: マウロ・ネーヴェス (イベロアメリカ研究所所長/ 上智大学外国語学部教授)
パネリスト: ルディ・ゲバラ、徳永悠、水谷裕佳、李里花、今野裕子(上智大学言語教育研究センター講師)、大場樹精(イベロアメリカ研究所特別研究員)
使用言語:日本語・英語

18:10-18:15 閉会の辞 岸川毅 (上智大学総合グローバル学部教授)

主催/後援 主催 上智大学イベロアメリカ研究所/上智大学アメリカ・カナダ研究所
後援 学術研究特別推進費「太平洋世界のグローバル・ヒストリー:アジア、北米、島嶼地域をつなぐ多方向的移動とネットワークの形成/学内共同研究「アジア太平洋時代のラテンアメリカ:変貌する国際関係と地域概念」
完成 1023  poster