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第25回研究会報告

日時:2005年10月2日(日)9:30-12:00
場所:キャンパスイノベーションセンター(東京・田町)国際会議室
出席者:13名

1. インドネシア写本学会・国際シンポジウム参加報告

この夏にインドネシア写本学会・国際シンポジウムに出席された山口裕子氏から、学会の参加報告がなされた。第9回目となるその学会は、インドネシア写本学会主催のもと、インドネシア東南スラウェシ州バウ・バウ市のブトン城跡において2005年8月5日から8日にかけて行われ、「世界の豊かさの源としての写本」というメインテーマと「写本と法、歴史、言語、技術、政治、宗教、芸術」というサブ・テーマのもと、9カ国から集まった内外の研究者や、地元の知識人(tokoh masyarakat)によって30を超える発表がなされた。

発表の内容は、ブトンやその他の地域に関する歴史、文学研究を初めとして、写本や文書そのもの所在、状況、研究、教育における利用方法に関する発表などの多岐に渡り、史資料としてあげられた写本や文書に使用される文字や言語も、ジャウィ・ムラユやジャウィ・ウォリオから、古ジャワ語やバリ語に至るまで、非常にバラエティーに富んだ発表であった。そしてそれらの発表を通して、写本とは現代社会へのメッセージが込められ、人間社会の持つ普遍的な真理を持つものであり、またそうした写本の内容と共に写本そのものが財産であり、今後の保存と修復が求められ、また重要であるということが訴えられたとのことであった。

また、開催地であったバウ・バウ市が学会中に多くの催しを行い、積極的に地域アピールを行うなど、開催地と学会が上手く連動し、非常に活気に満ちた学会であったと、多くの写真を交えながら報告が行われた。

なお、今回の写本学会・国際シンポジウムの内容は今後、出版される計画があるとのことであった。

2. テキスト講読

“Pendahuluan” al-Huda, No.1(1930), Batavia, pp. 2-6. (今回の翻字・翻訳はp.4.まで)テキスト、翻字・翻訳案提供:新井和広氏。前回に引き続きal-Huda誌の講読を行った。今回も解釈や訳語の選択に際して白熱した議論が行われたが、残念ながら予定されていたテキストの最後まで進むことは出来なかったため、残りは次回に持ち越す事となった。今回の講読した部分にも、アラビア文字を使用する意義が謳われており、また、トルコ人やフランス人を引き合いに出して言及している点が印象的であった。

3. 今後の活動予定

引き続き、午後のシンポジウムについての案内があった。次回の第26回研究会は11月19日(土)に東京外国語大学で開催する予定とし、講読と発表、特にアチェに関する発表を交えて開催することとなった。

(文責:冨田 暁)