スーフィズムや聖者信仰などは、研究の主題としては一般的でありながら、これまで充分に理論的で体系的な検討を加えられてこなかった。この点について、分担者たちがすでに加えてきた批判を発展させ、「スーフィズム・聖者信仰複合」とでも呼ぶべき現象に関する新しい共同研究の形を追求する。本研究グループは、この主題をスーフィズム、聖者信仰、タリーカ、預言者一族崇敬の四つの大きな現象の複合として捉え、それらを広範囲に再考して理論的再検討を加えて、より総合的な理解を目指す。
思想研究者、歴史学者、人類学者の協働の下で研究会を積み重ね、国内外での部会形成による成果発表、学術誌での特集、さらに日英語による論集等の刊行を重ねていく。またこの分野で日本と並んで先進的な共同研究を展開しているフランスCNRS等との協力を深める。
前述「現代イスラーム世界の動態的研究」の後に、平成14-15年度科学研究費補助金基盤研究(C)「東アラブおよびトルコにおけるスーフィズム・聖者信仰複合の学際的研究」(研究代表者:後藤明)、平成16-18年度科学研究費補助金基盤研究(B)「人類学・歴史学・思想研究の共同によるスーフィズム・聖者信仰複合の構造研究」(研究代表者:赤堀雅幸)などによって継続されてきた共同研究を発展的に継承する。
年間3回の研究会、1回の研究合宿を研究活動の中核において、年度ごとにとくに重点を置く主題を決定して取り組み、随時に成果を公開していく。