マレーシア出張報告(2016年12月9日~2017年1月26日)
2016年度報告
期間:2016年12月9日~2017年1月26日
国名:マレーシア(クアラルンプール、スランゴール)
出張者:塩崎悠輝(日本学術振興会特別研究員)
今回の出張では、イスラーム運動がムスリム社会において公共圏形成に果たす役割についての調査とともに、マレーシアに滞在しているロヒンギャ・ムスリム難民についての調査を行った。これらの調査のために、マレーシア国際イスラーム大学をはじめとする研究機関と共に、宗教学校や難民向け教育施設をはじめとする教育機関、イスラームNGO、ウラマー(イスラーム学者)の組織などを訪問し、聞き取り調査を行うとともに資料を収集した。
マレーシアはムスリムが総人口の6割程度を占めているが、内実は様々な背景をもつ人々の集合体である。中東やインド、インドネシア、タイからの移住者の子孫が多い。その結果、ムスリム社会内部にも多様な思想や運動の潮流があり、一つ目の写真はその中でもインドのデーオバンド派の潮流に属する宗教学校である。
二つ目の写真は、ミャンマーでの迫害から逃れてきたロヒンギャ・ムスリム難民の子弟のために、マレーシアのイスラームNGOが運営している教育施設である。現在10万人近いロヒンギャ難民がマレーシアに居住していると考えられているが、彼らをマレーシアのムスリム社会への新たな移住者として受け入れていくことが、マレーシアの政府やイスラームNGOの公的な課題となっている。