調査・研究

<政治社会班> 2016年度第1回研究会

2016年度報告

【日時】2016年7月29日(金)16時~17時半
【場所】上智大学四ッ谷キャンパス2号館603室
【報告者】塩崎悠輝(日本学術振興会PD)
【タイトル】「外部としてのイスラームと公共性―東南アジアのイスラーム研究と公共圏概念―」

概要:
 塩崎悠輝(日本学術振興会特別研究員PD)が「外部としてのイスラームと公共性―東南アジアのイスラーム研究と公共圏概念―」と題して報告を行った。
 NIHU「現代中東地域研究」プロジェクト上智拠点の第1回研究会であり、公共圏という日本の中東関連研究者にとっては必ずしも馴染みがあるわけではない概念を掲げて共同研究を開始するにあたり、公共圏という概念をプロジェクト参加者がそれぞれの研究関心に惹きつけて咀嚼し、本プロジェクトにおける各自の研究の方向性を模索するきっかけとすることが目指された。そうした研究会の目的に即し、報告者は公共圏という概念がそもそもどのように西洋中心的な政治社会学的学術界で議論されてきたのか、それをイスラーム地域研究に持ち込むことにどのような危険や意義がありうるのか、さらには報告者がフィールドとするマレーシアを事例として具体的にどのような分析例がありうるのか、という3点についてそれぞれ詳細に論じた。
 報告者がイスラーム地域において公共圏とは近代国家へと政治制度を組み替えていく必要があるなかで、どのように従来のイスラーム的な制度をそこに適用していくのかの問題として現れていると指摘したことを受けて、質疑では公共圏とは近代以降にのみ妥当性をもつ研究テーマなのか、西洋近代的なものとの相克以前のイスラーム史についても意義がある視点なのかを巡って議論が掘り下げられた。また、公共圏研究が中東イスラーム地域で2000年代になって盛んになった現実国際政治上の背景や、公共圏の類縁概念ともいえる市民社会概念との射程の重なりと相違、公共圏における「自由な討議」という場合の「自由」とは何か、公共圏に参加するとはどういうことか、など本質的な論点に関して掘り下げた議論が繰り広げられた。
(文責:澤江史子・上智大学総合グローバル学部教授)

調査・研究

  • 上智大学・早稲田大学共同研究 アジア・アフリカにおける諸宗教の関係の歴史と現状
  • 上智大学 イスラーム地域研究(2015)
  • 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
  • 国立民族学博物館現代中東地域研究拠点
  • 東京外国語大学拠点
  • 京都大学拠点
  • 秋田大学拠点
  • 早稲田大学 イスラーム地域研究機構
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