成果公開

講演

上智大学研究機構イスラーム研究センター主催講演会「グローバル化する世界で女子割礼を議論すること」(Sophia Open Research Weeks 2017連携)

【日時】2017年11月5日(日) 14時00分 ~16時00分
【場所】上智大学四ツ谷キャンパス2号館17階、2-1702
【報告者】ロガイア・ムスタファ・アブーシャラフ教授(ジョージタウン大学カタル校)
【コメンテーター】辻上奈美江(東京大学特任准教授)

【講演要旨】
 女子割礼、もしくは女性器切除(FGM)は人権やその他の要素との関連において重要なトピックである。それはローカルな文脈とグローバルなそれとが排除しあうのか否かという疑問を導き出す。このFGMを巡る人びとの動きを見ていくうえで、宗教という要素は大変重要なものである。
 FGMはしばしばイスラームのものであるといわれてきた。それは4-12歳で受けるものであり、地域によりタイプが異なる。アラビア語では純粋を意味するタハーラで言い表され、ナイジェリアやエチオピアでは結婚の可否とも深くかかわるものであった。
 このFGMを巡る運動には様々なアクターが関わっている。前述した宗教はFGMに抗する場合もあれば、強調する場合もある。また、子どもや女性の人権というようなグローバルな言説ともかかわる。歴史的には植民地期には宗主国により禁止された場合もあったし、ポストコロニアル期にはジェンダー正義との関わりで議論された。アフリカ連合では人権にかかわる憲章が制定され、それは大きな影響力を持った。マリやセネガルでは宗教的指導者が女性の権利はイスラームに根差したものであると訴え、FGMに抗した。そうした動きは外部からの影響を受けてのものである。キリスト教も例外ではない。ローカル、ナショナル、インターナショナルなコミュニティの関わりの中でそれは論じられた。
 FGM廃絶運動は健康と人権を守るシティズンとして多様な宗教コミュニティが協働するユニークな機会を提供する。また、アフリカの女性は抵抗なしに従属的な地位に甘んじることはないだろう。

【コメント、質問】
 コメンテーターにより、FGMを巡る国際社会の動き、および日本の議論の解説、サバルタンの女性が主体的に考えることの難しさについて言及され、教育を受けた女性たちの声はどのようなものか、FGMの再生産を止める取り組みと根強く残る「清潔さ」への希求の言説があるとすれば両者の溝をどう埋めるべきなのかという質問がなされた。また、フロアからも、教育とFGMとの関わりや現地の人の持つ決定権についての質問などが出され、活発な議論がなされた。




文責:飛内 悠子(中央学院大学 非常勤講師)

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  • ジャウィ文書研究会アーカイブ
  • 上智大学・早稲田大学共同研究 アジア・アフリカにおける諸宗教の関係の歴史と現状
  • 上智大学 イスラーム地域研究(2015)
  • 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
  • 国立民族学博物館現代中東地域研究拠点
  • 東京外国語大学拠点
  • 京都大学拠点
  • 秋田大学拠点
  • 早稲田大学 イスラーム地域研究機構
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