上智大学 大学院 グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻(SGPAS) Sophia University, Graduate Program in Area Studies, Graduate School of Global Studies

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スタッフ

東南アジア・南アジア

AUGUSTINE Sali | 久志本裕子 | 田中雅子 | 根本敬 | 福武慎太郎 | 丸井雅子 | 

AUGUSTINE Sali(アガスティン・サリ)  教授

担当科目:

South Asian Society&Politics(南アジア社会政治研究1・2)

AUGUSTINE Sali
プロフィール:

Receiving a PhD in Area Studies (Ethnic Politics) from Sophia University, Sali makes research on South Asian Society, especially India in different perspectives. Though studies in violent conflicts is focused, having a background in Philosophy and Theology, and being originally from India and living in Japan, the approach is political, religious and cultural.

主な出版物:
  • “Identity and Nationalism”, The Japan Mission Journal, Vol.71, No.4, Oriens Institute for Religious Research, pp.229-237.
  • “Secularization and Religion Policies in Political Affairs: Global and Asian Context”, Sophia Journal of Asian, African, and Middle Eastern Studies/No.34, pp. 27-58, Institute of Asian, African, and Middle Eastern Studies, Sophia University.
  • “The Asian Religious Resurgence in the Context of Global Secularity”, The Japan Mission Journal, Vol.68, No.1, Tokyo: Oriens Institute for Religious Research, pp.26-38.

久志本裕子(くしもと ひろこ)  准教授

担当科目:

「東南アジア宗教文化研究1・2」

久志本裕子
マレーシア国際イスラーム大学の学生たちと
(中心が久志本)
プロフィール:

 学部時代に文化人類学とマレー・インドネシア語を学び、マレーシアに一年間留学して以来、現在までに合計10年ほど住み、マレーシアを中心とする東南アジア・ムスリム社会に関する研究を続けてきました。研究の主なテーマは、近代化に伴うムスリム社会の変容を通じて教育や知識の生産・流通の不均衡という現代世界の問題を考えるというものです。ムスリムがイスラームを学ぶ、という事象はイスラームが伝来してから脈々と続いてきましたが、近代的学校教育制度が導入されるとその姿は大きく変化しました。圧倒的な力をもってマラヤを支配したイギリスの統治下で広まった近代的学校を見て、ムスリムもイスラームを同じような形で教えることがムスリムの発展に役立つと考えるようになりました。教室を作り、学年制を作り、試験をして…そうするうちに、「イスラームを学ぶこと」は、信仰のために学ぶ、ということから、試験でよい成績を取って、よい学校へ行くことと結びつくようになり、やがてイスラームの学問は、より良い職業につながる学問よりも低い地位に置かれることになりました。このような何がより価値のある知識か、どこがより「良い」大学か、という価値観は、今や世界を一つの価値体系の中に包み込んでいるように見えます。この中で、様々な宗教、文化の持つ異なる価値観はどこへ行ってしまうのでしょうか。異なる文化、特に強い力を持つ人々の文化とそうでない人々の文化や価値観が出会うところでは、どのような相互作用が起こりうるのでしょうか。大学院の講義では、イスラーム、仏教、キリスト教、中国系宗教やその他の宗教が様々な形で共存している東南アジアから、各国の社会における宗教の位置づけ、宗教的多数派と少数派の関係、世俗的な教育と宗教的教育、といった様々なトピックを履修者の関心に合わせて議論しています。

主な出版物:
  • 久志本裕子「東南アジアにルーツを持つ在日/日本人ムスリムにとっての信仰、実践と日本社会」赤堀雅幸(編)『ディアスポラのムスリムたち:異郷に生きて交わること』上智大学イスラーム研究センター、pp.49-70. 2021年3月(単著・査読なし)
  • 久志本裕子「マレー・ムスリムの女子教育はなぜ必要とされたのか―20世紀初頭から1960年代までのマラヤにおける女子教育観の錯綜」服部美奈・小林寧子編著『教育とエンパワーメント(イスラームジェンダースタディーズ3)』2021年2月、78-97.
  • 『変容するイスラームの学びの文化―マレーシア・ムスリム社会と近代学校教育』ナカニシヤ出版、2014年2月

※その他の成果物についてはResearch Mapをご覧ください。

田中雅子(たなか まさこ)  教授

担当科目:

「南アジア社会開発研究1・2」

田中雅子
ネパール平野部ジャナクプル近郊の村で
プロフィール:

 大学では日本史を専攻し、江戸時代の庄屋が遺した和歌や手紙、日記など個人の記録の解読に熱中しました。身分制や地理的空間の隔たりを越えた民衆の交流を卒業論文にまとめました。以来、性別や階層による差別や排除、それに挑戦し乗り越える人びとの運動に関心をもっています。私が12年間暮らした南アジアは、その事例の宝庫です。 会社員を経て留学したイギリスの大学院での「開発とジェンダー」に関する学びは、家庭や職場で抱えていた葛藤から私を解放し、現場で役立つ調査や実践のスキルを授けてくれました。 1993年から2009年まではNGOやJICA、赤十字などを通じて、南アジアと西アフリカで援助の実務者として働くかたわら社会運動にも関わり、当事者を中心に据えた運動の力強さと多様な支援のあり方を学びました。2010年からは、日本をフィールドに、ネパールからの移民と関わりながら、社会福祉士としても活動しています。また、緊急人道支援や開発援助がより効果を発揮するよう政策提言にも関与しています。
 ヒト、モノ、カネのいずれをとっても一つの地域で完結するものはない現代社会の課題に取り組むには、実務者と研究者という二分法や専門領域、専門地域を越えた協働が不可欠です。みなさんには、研究と実践を行き来することの楽しさと難しさ、世界でも人口規模の大きい南アジアに視点を置いて見える世界の意外性を伝えたいと思います。

主な出版物:
  • 田中雅子「ジェンダー平等、女性と女の子のエンパワーメント―SDGs5」、高柳彰夫・大橋正明編『SDGsを学ぶ―国際開発・国際協力入門』法律文化社、2018年
  • 田中雅子『ネパールの人身売買サバイバーの当事者団体から学ぶ-家族、社会からの排除を越えて』上智大学出版/ぎょうせい、2017年
  • TANAKA, Masako “Self-help Organisations as Interfaces for the Integration of Nepali Migrants: A Case Study in Ota and Oizumi, Gunma Prefecture, Japan”, Juliawan, Benny Hari, SJ, ed. Settling Down: The Struggles of Migrant Workers to Adapt, Yogyakarta: PENERBIT PT KANISIUS and The Jesuit conference of Asia Pacific, 2017

根本敬(ねもと けい)  教授

担当科目:

「東南アジア政治史研究1・2」

プロフィール:

 ビルマの近現代史を専門にしています。「なぜビルマを?」という質問をよく受けますので、その回答を通じて自己紹介にかえたいと思います。5歳から7歳のころ、父の仕事の都合でビルマの首都ラングーンに2年半ほど住みました。1962年から64年にかけてのことです。そのときの記憶はしかし、自分が幼かったこともあり、その後に1年半住んだオーストラリアのメルボルンの思い出の影に隠れてしまいました。1977年3月、大学1年生の終わりにビルマを12年半ぶりに再訪する機会を得ると、同国の風土やそこに住む人々の魅力に惹かれ、ビルマ語を学んでみたいと思うようになりました。また、古都マンダレーで、アジア・太平洋戦争期にビルマに侵攻してきた日本軍と一緒に組んで英国植民地軍と戦ったというビルマ人男性と出会い、その方の経験談や日本語力に新鮮な驚きを覚えました。これらがきっかけとなって、ビルマの近現代史に興味を抱くようになり、卒論で日本占領期のビルマをとりあげ、卒業後は高校世界史教諭(2年間)を経て大学院に進学、ビルマ近現代史研究に取り組むようになりました。主な研究テーマは、1910-40年代を中心としたビルマ・ナショナリズムの思想や行動と、対英・対日関係です。関連して日本占領期の政治変動とその後の激動のなかで様々な苦難と直面した英系ビルマ人の歴史についても研究しています。また、独立後のビルマに関しても、現代政治や民主化運動指導者アウンサンスーチーの思想、そして少数民族問題の考察を含め、研究を続けています。講義や演習を通じて、みなさんとお会いできることをいつも楽しみにしています。

主な出版物:
  • 根本敬『ビルマ独立への道―バモオ博士とアウンサン将軍』 彩流社、2012年
  • 根本敬『抵抗と協力のはざま―近代ビルマ史のなかのイギリスと日本』 岩波書店 2010年
  • 根本敬『物語ビルマの歴史―王朝時代から現代まで』中央公論新社 2014年
  • Kei, NEMOTO(ed.), Reconsidering the Japanese Military Occupation in Burma (1942-45), ILCAA, Tokyo University of Foreign Studies, 2007

福武慎太郎(ふくたけ しんたろう)  教授

担当科目:

「東南アジア国際協力研究1・2」「国際協力基礎研究」

福武慎太郎
東ティモールでのフィールドワークにて(2013年)
プロフィール:

 私の専門は人類学で、主に東南アジア島嶼地域であるインドネシアと東ティモールを主なフィールドとしています。以前、NGO職員として東ティモールに長期滞在した縁から、東ティモールの山地社会やインドネシアとの国境周辺の村落でのフィールドワークを続けるとともに、NGOの国際協力活動についても関心を持ち続けています。
 大学院では、演習科目を通じて、東ティモールやインドネシアをフィールドとする学生のほか、国際協力や開発援助、人権、難民問題などをテーマとする学生の調査研究指導もおこなっています。また講義科目「国際協力開発研究」では、国際協力、人権、難民、環境問題などグローバル・イシューに対し人類学や地域研究はどのような貢献が可能か紹介します。
 私自身、かつて地域研究専攻博士後期課程の2期生として在籍していました。上智の地域研究専攻はとても自由な雰囲気で、自分自身の研究に集中できる環境が整っています。また博士前期課程1年次に「地域研究方法論」「地域研究調査法」「生態人類学」などの必修講義科目を通じて、地域研究の手法や調査法などの基礎を学ぶことができます。
 地域研究というと、ある特定の専門地域だけみていれば良いという誤解がありますが、そうではありません。ある特定地域への深い洞察を通じて、地球規模の諸問題に関する議論へとつなげる必要があります。その意味で、国際協力や平和構築、環境問題などのグローバル・イシューを取り組むための最適な研究手法と私は考えています。

主な出版物:
  • 福武慎太郎(共編著)『現場<フィールド>からの平和構築論─アジア地域の紛争と日本の和平関与』勁草書房、2013年
  • 福武慎太郎(共編著)『国際協力NGOのフロンティア─次世代の研究と実践のために』明石書店、2007年
  • (翻訳)アンドレア・ヒラタ『虹の少年たち』サンマーク出版、2013年(加藤ひろあきとの共訳)

丸井雅子(まるい まさこ)  教授

担当科目:

「東南アジア社会文化研究1・2」

プロフィール:

 アンコール遺跡群のなかのバンテアイ・クデイという寺院にて発掘調査を進めています。国際社会において「世界遺産」と価値付けられた同地域が、カンボジアの人々とくに地元住民にとってはどのような意味をもっているのか、という点に関心があります。発掘調査によって得られた考古資料を整理・分析していくと、その場の歴史を再構築することができます。寺院が建立されてから現在に至るまでの歴史を振り返ると、彼らの記憶や習慣のなかにそれらが保存されていることに、気づかされます。発掘調査によって得られた成果は、一部の研究者だけのものではありません。地域社会と情報を共有することによって、文化遺産の保護や整備が積極的に進められるものと信じています。バンテアイ・クデイでは、発掘調査毎に地元住民や小学生を招待して、現場説明会を企画しています。また、我々からの一方向の情報伝達、だけではなく、彼らの意識を把握するための聞き取り調査も行っています。その一部を、遺跡や歴史に関する口頭伝承として絵本にまとめ、カンボジアの子供たちに配布しました。1995年9月から2003年3月まで、首都プノンペンや遺跡のあるシェムリアップに滞在し、カンボジアを事例として、研究と現代社会の接点を、模索してきました。詳しくは、下記に挙げる出版物を読んでください。

主な出版物:
  • (インタビュー記事)「ココが聞きたいッ!考古学の最前線:カンボジアにおける考古学と文化遺産の継承-丸井雅子-」『考古学研究』第59巻第1号 2012年6月
  • 石澤良昭、丸井雅子共編『グローバル/ローカル 文化遺産』上智大学出版 2010年
  • 丸井雅子監修『青柳洋治先生退職記念論文集 地域の多様性と考古学―東南アジアとその周辺―』雄山閣 2007年

中東・アフリカ

赤堀雅幸 | 岩崎えり奈 | 澤江史子 | 辻上奈美江 | 戸田美佳子 | 眞城百華 |
矢澤達宏 | 山口昭彦 |

赤堀雅幸 (あかほり まさゆき)  教授

担当科目:

「中東文化研究1・2」

赤堀雅幸
ラッカ市近郊の農村の古老と(シリア、2009年)
プロフィール:

 人類学を専門分野として、ムスリムの研究をしています。博士課程の学生だった1988年から1991年までエジプトに暮らし、アレクサンドリアから西に広がる地中海沿いの地域で、遊牧を伝統的ななりわいとしてきた人々を調査し、フィールドワーカーとしての経歴を歩み始めました。グローバル化の波を受けて定住し、変わっていく彼らベドウィンの暮らしの様々な側面—部族、住まい、歌謡、信仰、儀礼など—をこれまで取り上げてきました。
 その後、普通の人々にとってムスリムとして生きることがどんなことなのかを問い続け、民衆のイスラーム、とくにスーフィズムと聖者崇敬に注目した学際的な共同研究を20年近く続け、他の中東諸国や中央アジア、東南アジア、米国でも短期の調査を行いました。イスラーム主義の興隆と変容のなかで、見失われがちな現代イスラームの多様な形に目を向けるように努めてきたつもりです。最近では、「アラブの春」によってなかば無政府状態に陥ったリビヤの影響を受けて、極端に治安の悪化した最初の調査地の状況を見聞きして、暴力や紛争の問題もこれまで以上に意識するようになってきました。
 担当の演習では、学生は人類学的な手法による研究を行う者である必要はありません。しかし、人類学的な視点、つまり、あくまで具象にこだわりながら、どこまでそれを敷衍することができるかを常に考えることは重視しています。この視点を活かして、中東を中心に多様な地域的分野的関心を持つ学生が、専門家としての技能と感性を高めていくことが目標です。演習は、問題と解答を発見する直感を養い、それを論理的に口頭と文章で表現する技量を磨く共同作業です。あわせて、自分以外の学生の関心をきちんと受け止め、それを手助けして、共同研究を行うことのできる力を伸ばすことも大事にしています。

主な出版物:
  • 『グローバル化のなかの宗教—衰退・再生・変貌』上智大学出版、2010年(私市正年・寺田勇文と共編著)
  • 『民衆のイスラーム—スーフィー・聖者・精霊の世界』山川出版社、2008年(編著)
  • (翻訳)ティモシー・ミッチェル『エジプトを植民地化する—博覧会世界と規律訓練的権力』法政大学出版局、2014年(大塚和夫との共訳)

岩崎えり奈(いわさき えりな)  教授

担当科目:

「中東社会開発研究1・2」

岩崎えり奈
イルビド(ヨルダン)にて
プロフィール:

 私の専門は中東北アフリカ地域、なかでも北アフリカのマグレブ(チュニジア・アルジェリア・モロッコ)とエジプトをフィールドとした社会経済の研究です。中東北アフリカ地域というと、政治情勢ばかりが注目される傾向にあります。しかし、そこは社会経済研究の対象としても興味深い空間です。中東北アフリカ地域はアラブ・イスラーム世界とも言い換えられますが、ヨーロッパ・アフリカ・アジア世界との交流の歴史のなかで、異種多種多様な人間同士、自然と人間の共存が絶えず試されてきた場だからです。近年、とくに力をいれている研究は貧困と所得分配、水をめぐる慣行といった、社会的資源の分配メカニズムに関するものです。所得は経済活動の帰結であり、水は人間にとってなくてはならない稀少な資源です。それらの資源の分かち合いのメカニズムを解明するため、特定の農村や都市の地区を事例とした調査研究をしています。また、分配に必然的にともなう不平等についても関心があります。今日のアラブ社会における支配的な不平等の形態としての地域格差、世代間格差の問題は「アラブの春」という世界史的な出来事の背景になっています。格差がなぜ生まれ、なぜ問題なのかを客観・主観の両面から探究していきたいと思っています。
 ゼミ(「中東開発研究」演習)では、少人数でマンツーマンに近いかたちで発表・ディスカッションをしています。2015年度のゼミは、自分の専門分野に関する英語またはフランス語の論文を批判的に読み、書評にまとめる訓練の場にしたいと思っています。

主な出版物:
  • Rashda: The Birth and Growth of an Egyptian Oasis Village (with Hiroshi KATO), Routledge, 2016
  • "Inequality and Poverty in the Suburbs. The Case of Metropolitan Cairo" in The Routledge Companion to the Suburbs, Routledge, 2019
  • Iwasaki, Negm & Elbeih (eds) Sustainable Water Solutions in the Western Desert, Egypt: Dakhla Oasis, Springer, 2020.
  • 『変革期のエジプト社会―マイグレーション・就業・貧困』書籍工房早山 2009年
  • 加藤博・岩崎えり奈『現代アラブ社会:アラブの春とエジプト革命』東洋経済新報社、 2013年
  • 「エジプトの「革命」ーー民衆は時代の転換に何を望んだかーー」松尾昌樹・岡野内正・吉川卓郎編著『中東の新たな秩序』ミネルヴァ書房, 2016年
  • 「エジプト・西部砂漠(リビア砂漠)からグローバル・イシュー「水」を考える」『グローバル・ヒストリーズ -「ナショナル」を越えて』上智大学出版,2018年
  • 牧久美子・岩崎えり奈編著『新世界の社会福祉 11巻 アフリカ/中東』旬報社,2020年
  • 「チュニジア南部タタウィーン地域における女性の出生行動の変化」『アジア経済』アジア経済研究所 61(1) 2020/03

澤江史子(さわえ ふみこ)  教授

担当科目:

「中東政治社会研究1・2」

プロフィール:

 1990年代後半にトルコに留学して以来、現代トルコの国家と宗教の関係、イスラム復興運動に 注目しながら、ムスリム社会の民主化の問題について考えてきました。イスラム復興というと一般には、 過激な運動が注目される傾向にありますが、トルコは西洋の方を向きながら「自分らしさ」と現代的 発展の調和を模索する潮流が圧倒的に主流です。この点で、トルコは、法や政治状況がより宗教的な 他のムスリム諸国に対して例外的かもしれませんが、現代的な社会における中庸なムスリム政治社会が どのようなものであるのかを理解するうえで、興味深いモデルを提示していると考えています。 私たちの常識では、イスラム的な政治運動が民主主義にとって妨げであると考えがちですが、 イスラム的な論理で多様な民族や宗教の共存を模索する動きもあれば、世俗的な考えの人たちが 宗教や民族の観点で排他的な場合もあります。多様な宗教的志向や民族的アイデンティティ、 歴史観をもつ人たちが、どのようなプロセスで、どのような共存の政治文化・国家のあり方を模索して いるのか、その過程で人々のイスラムの理解はどのような役割をはたし、あるいはどのように変化して いくのかという問題に現在は特に関心をもっています。

主な出版物:
  • 澤江史子『現代トルコの民主政治とイスラーム』ナカニシヤ出版 2005年
  • 澤江史子「トルコにおけるイスラーム的女性公共圏―首都女性プラットフォームを中心的事例として」『アジア経済』第52巻第4号 2011年 9-35頁
  • 澤江史子「クルド問題をめぐるトルコ外交−紛争制御から包括的予防へ」吉川元・中村覚編『中東の予防外交』信山社 2012年 241-259頁
  • 澤江史子「トルコとインドの国民統合と世俗主義」唐亮編『ユーラシア地域大国の統治モデル』ミネルヴァ書房 2013年 239-259頁

辻上奈美江(つじがみ なみえ)  教授

担当科目:

「中東社会文化研究1・2」

辻上奈美江
プロフィール:

 専門は、サウジアラビアを中心とする中東地域のジェンダー論および地域研究です。中東・アラブ地域の女性は総じて抑圧されたイメージを押し付けられがちです。しかし、こういったイメージはしばしば部外者による押し付けによるものであることも指摘されてきました。そこで、中東ジェンダー論では、女性たちのエイジェンシーに着目する研究が進められてきました。女性たちによる家父長制への反発運動がその代表例と言えますが、「運動」の形式をとらなくとも、エイジェンシーは日常生活のさまざまな場面で発揮されています。

 他方で、女性のエイジェンシーに過度にとらわれると、女性たちがおかれた権力関係を見過ごすことにもつながります。われわれには、従来の見方にとらわれすぎずに視点をずらしてみること(知の相対化)、権力関係をさまざまな観点から精査することが求められているのです。

 博士論文ではサウジアラビアにおける女性に関する言説を分析し、その言説分布を明らかにしました。近年の研究対象は、消費文化、階級・人種に基づく女性間の権力関係などですが、ごく最近は中東地域へ流入し、また中東地域から流出する移民・難民の問題にも関心を持っています。

主な出版物:
  • 『イスラーム世界のジェンダー秩序』明石書店、2014年
  • 『現代サウディアラビアにおけるジェンダーと権力―フーコーの権力論に基づく言説分析』福村出版、2011年
  • “Stealth Revolution: Saudi Women’s Ongoing Social Battles” In Sahar Khamis and Amel Mili eds., Arab Women’s Activism and Socio-Political Transformation: Unfinished Gendered Revolutions. Palgrave Macmillan: 2017. 149-166.
  • ”Higher Education and the Changing Aspirations of Women in Saudi Arabia”, Dale Eickelman and Rogaia Abusharaf eds., Higher Education Investment in the Arab States of the Gulf: Strategies for Excellence and Diversity (Gerlach Press, 2016 forthcoming) pp. 42-54.
  • “A ‘Gender Backlash’ in the Midst of Globalization: The Dynamic of the “anti- Cedawīyāt” in Contemporary Saudi Arabia”, Global Studies Journal, Vol. 2 (2009): 17-29.

戸田美佳子(とだ みかこ)  准教授

担当科目:

「アフリカ社会文化研究1・2」

戸田美佳子
ブラザヴィル港からキンシャサ港へと向かうフェリーにて
(2013年11月)
プロフィール:

 私は2006年からアフリカ中部のカメルーン共和国やコンゴ共和国、コンゴ民主共和国をフィールドに、直接観察を重要視してきた生態人類学の立場から、障害者に関する地域研究をおこなっています。障害者は、従来「社会的困窮者」として救済や援助の対象と考えられる傾向にありましたが、さまざまな他者の手助けを必要とする障害者だからこそ、彼らは周囲とより密接な関係を必要としており、また高度な「社会性」を駆使していると考えます。そのような障害者の生活の実態を把握することをとおして、アフリカの重層的な社会を紐解いていくことを目指しています。

 また近年、生物多様性の保全という考え方が地球全体に広まるにつれて、自然保護区が増加しています。特に90年代以降、アフリカ大陸における国立公園の新規設置数は他大陸と比べても多く、各国の政府は保護区内に居住していた地域住民を区外へ移住させる政策をとっており、それに反対する住民と政府とが衝突する機会がアフリカの諸地域で増えてきました。アフリカ熱帯雨林における現地調査でこうした状況と対峙するなかで、熱帯雨林を取り巻く問題について、そこに暮らす人々の視点から解決したいと考えるようになりました。そこで、2011年より、JSTとJICAによる地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムに参加し、カメルーン熱帯雨林において地域住民と森林資源マネジメントの協創を目指すための実践的な取り組みを実施しています。

主な出版物:
  • 戸田美佳子. 2015.『越境する障害者―アフリカ熱帯林に暮らす障害者の民族誌』明石書店.
  • Hamada, A. & Toda, M. (eds.) 2017 How Do Biomedicines Shape People’s Lives, Socialities and Landscapes? (Senri Ethnological Reports 143), Osaka: National Museum of Ethnology
  • Toda, Mikako & Yasuoka, Hirokazu 2020. Unreflective promotion of the non-timber forest product trade undermines the quality of life of the Baka: implications of the Irvingia gabonensis kernel trade in southeast Cameroon. African Study Monographs, Suppl. 60: 85–98. DOI: 10.14989/250129

眞城百華(まき ももか)  准教授

担当科目:

「アフリカ政治社会研究1・2」

プロフィール:

 アフリカ、特にエチオピア、エリトリアを中心に歴史研究を行ってきました。院生時代は2年間エチオピアに居住し、オーラル・ヒストリーを渉猟する調査を実施しました。特に関心があるのはエチオピア北部、エリトリア南部に居住するティグライ人とエチオピア中央政府や他の民族との関係史です。近年は、70年代から80年代にかけて同地域で生じた紛争にゲリラ兵として参加した女性兵士に着目して研究を行っています。ジェンダーの視点も加味し国家と民族の関係を考察することも重要な課題です。また近年は、同時代のアフリカにおける内戦下の女性兵士の比較研究を行いたいと思い、エリトリア、南アフリカ、ジンバブウェなどでも解放闘争と女性兵士、女性兵士と女性解放思想、域内連帯と国際的連帯の動きについても研究を行っています。

 文書史料が残されない農民や女性に関してはオーラル・ヒストリー調査を行ってきましたが、他方でエチオピア、エリトリア、ソマリアなどに関して政府史料、外交史料など歴史史料を渉猟し、それに基づいた研究も行っています。

 アフリカの1地域の歴史を研究する際には、国内の諸アクターの関係に着目する分析とともにアフリカの地域、国家、民族、人々を取り巻く国際関係を同時に把握し、影響を理解することも必要となります。アフリカの一地域に着目した研究が、世界史や国際関係と深く連関してくる点を一緒に学んでいきましょう。

主な出版物:
  • 眞城百華「戦う女性たち―ティグライ人民解放戦線と女性」、石原美奈子編著『現代エチオピアの女たち:社会変化とジェンダーをめぐる民族誌』、明石書店、2017年、pp.146-179
  • 眞城百華「北東アフリカにおける脱植民地化と国際秩序の再編:イタリア植民地処理と地域対立の萌芽」納家政嗣・永野隆行編『帝国の遺産と現代国際関係』、勁草書房、2017年、pp.201-226.
  • 眞城百華「内戦支援からNGOへ―ティグライ女性協会の活動を中心に―」、宮脇幸生編『国家支配と民衆の力―エチオピアにおける国家・NGO・草の根社会―』、大阪公立大学出版会、2018年、pp.104-139.
  • 眞城百華『エチオピア帝国再編と反乱(ワヤネ)―農民による帝国支配への挑戦』、春風社、2021年(374ページ)、(ISBN:978-4-86110-721-4)
  • 眞城百華「混迷するエチオピア政治―アビィ政権とティグライ戦争」『世界』No.943, 2021年、pp.201-219.

矢澤達宏(やざわ たつひろ)  教授

担当科目:

「アフリカ政治研究1・2」

矢澤達宏
モザンビーク中部ケリマネにて(2008年)
プロフィール:

アフリカ地域研究(とくに旧ポルトガル領地域を中心とするサハラ以南アフリカ地域の政治・政治史)およびブラック・ディアスポラ研究(とくにブラジルの黒人史・人種間関係)を専攻。

1994年、モザンビークにおける国連平和維持活動に選挙監視要員として参加。
1995年から96年にかけて、サンパウロ大学大学院(ブラジル)に留学。
1998年、カンディド・メンデス大学(ブラジル・リオデジャネイロ)の人種間関係および黒人文化に関する上級コース(4週間集中)受講。
2008年、ODAの国別第三者評価(モザンビーク)においてアドバイザーを務める。

最近は、旧ポルトガル領アフリカにおけるナショナリズム、サハラ以南アフリカにおける民族と政治の関わり、ブラジル黒人運動の展開とそのアフリカに対するスタンスの変遷、ブラジルの国民形成におけるアフロ・ブラジル文化の利用といったテーマについて研究を進めている。

主な出版物:
  • 『ブラジル黒人運動とアフリカ――ブラック・ディアスポラが父祖の地に向けてきたまなざし』(慶應義塾大学出版会、2019年)
  • 『世界の中のアフリカ――国家建設の歩みと国際社会――』(上智大学出版、2013年、吉川元との共編)
  • 「黒人たちが織りなすもう一つのアトランティック・ヒストリー」上智大学アメリカ・カナダ研究所、イベロアメリカ研究所、ヨーロッパ研究所編『グローバル・ヒストリーズ――「ナショナル」を越えて』(上智大学出版、2018年)
  • 「黒い南太平洋―西洋近代の陰画を超えて―」、「植民地の幻影―モザンビークが背負う国民形成の宿命―」、「カポエイラ―既製の枠におさまりきらないアフロ・ブラジル文化―」、「ブラジルの多人種社会―「人種民主主義の国」はいま―」上智大学外国語学部ポルトガル語学科編『ポルトガル語圏世界への50のとびら』(上智大学出版、2016年)
  • 「黒人の団結を訴えた男の名声と葛藤――ジョゼ・コレイア・レイテを通してみるブラジル黒人運動」真島一郎編『二〇世紀〈アフリカ〉の個体形成――南北アメリカ・カリブ・アフリカからの問い』(平凡社、2011年)
  • 「アフリカにおける「市民社会」と「市民」をめぐる視覚」――概念と現実のあいだに生じる軋みと齟齬を中心に」山本信人編『多文化世界における市民意識の比較研究――市民社会をめぐる言説と動態』(慶應義塾大学出版会、2005年)

山口昭彦(やまぐち あきひこ)  教授

担当科目:

「中東政治史研究1・2」

プロフィール:

 近世から近代の中東地域の歴史を専門としています。この地域に関心をもちはじめたのは、中学生の頃だったと記憶しています。テレビで報道されるイラン革命やパレスチナ問題関連のニュースになんとなく関心がわきました。自覚的に中東地域を研究対象としたのは、大学入学後、アジア研究の学科に進学してからです。なかなか研究テーマが見つけられずにいましたが、学部3年の時、あるトルコ映画を見てクルド人という少数派の存在を知り、「これだ」と思いました。卒業論文では、イランのクルド人たちが第2次世界大戦中からその直後にかけて繰り広げた自治要求運動を取り上げました。大学院に進学後、前近代のイラン史を専門とする演習に参加しているうちに近世のクルド社会にも徐々に関心が広がってきました。史料が限られているうえに自分の研究視角もなかなか定まらず、暗中模索の時期もありましたが、最終的に、イランの場合を例としてクルド社会と国家との関係やクルド社会内部の権力構造が近世から近代にかけどのように変化してきたのかを明らかにすることをライフワークに定めました。最近になってようやく自分なりの歴史像が焦点を結びはじめたという手応えを感じています。演習では、特定の史料を選んでじっくり読むこと、それによって時空を超えてさまざまに想像をめぐらす楽しさを共有することを目的としています。

主な出版物:
  • 山口昭彦(編著)『クルド人を知るための55章』明石書店、2019年
  • 山口昭彦「「イランのクルド」とサファヴィー朝の「強制」移住政策」『アジア・アフリカ言語文化研究』93号(2017年3月)
  • 山口昭彦「周縁から見るイランの輪郭形成と越境」山根聡・長縄宣博(編)『越境者たちのユーラシア』ミネルヴァ書房、2015年
  • 山口昭彦「離散と越境のクルド人」駒井洋(監修)・宮治美江子(編集)『中東・北アフリカのディアスポラ』(叢書グローバル・ディアスポラ3)明石書店、2010年5月10日

ラテンアメリカ

子安昭子 | 谷洋之 | 田村梨花 | 長谷川ニナ | 幡谷則子

子安昭子(こやす あきこ)  教授

担当科目:

「ラテンアメリカ国際関係研究1・2」

プロフィール:

 専門はブラジルの現代政治・外交研究、ラテンアメリカ(ブラジル)地域研究です。
 現在は、BRICSやG20など多国間協議の場でブラジル外交が目指すものは何か、さらにはブラジルを含む新興諸国の台頭が国際社会にどういった影響を及ぼしうるのか、などに関心をもち研究を進めています。またこの点も含めて、今やグローバルプレーヤーと呼ばれるようになったブラジル外交の変化の原点はどこにあるのか、この変化は続き得るのかについて考察するために、カルドーゾ及びルーラ両大統領による16年間(1995年~2010年)を連続したひとつの時代として、この間のブラジルの外交戦略ならびに国内政治経済との関係や国際関係について分析しています。

主な出版物:
  • “Compreendendo o Brasil a partir de FHC: Uma perspectiva do Japão e implicações para as economias asiáticas em crescimento,” em D’Incão, Maria Angela e Hermínio Martins (orgs.), Democracia , crise e reforma: Estudos sobre a era Fernando Henrique Cardoso (São Paulo, Paz e Terra, 2010, 堀坂浩太郎上智大学名誉教授と共同執筆).
  • 「米国とブラジル―グローバルな『大人の関係』」『新興国ブラジルの対外関係―世界金融危機を踏まえて』(財団法人国際貿易投資研究所、2010年)
  • 「多様化する対外関係と資源外交―グローバル・プレヤーへの変貌」『資源国ブラジルと日本の対応』(日本経済調査協議会、2009年)
  • 「ルーラ政権のエタノール外交―世界を視野に入れた実利的な資源戦略」『Encontros Lusófonos』第10号(2008年11月)

谷洋之(たに ひろゆき)  教授

担当科目:

「ラテンアメリカ経済研究1・2」

プロフィール:

 専門は、①メキシコを中心とするラテンアメリカ経済と、②ラテンアメリカの経済発展思想です。現在、前者に関しては、貿易自由化の進展がメキシコの農業部門に与えた影響を中心に研究していますが、単に農産物貿易が増えたというだけでなく、それが国境を越えるアグリビジネスの投資や、国内外における「人の移動」を誘発するなど、メキシコの各地域はもとより北米大陸全体を「地域」として分析していく必要性を感じています。後者に関しては、アルゼンチンの経済学者プレビッシュ(Raúl Prebisch, 1901-1986)の思想を中心とする構造学派から従属学派、新構造学派など、先進国主導で形作られてきた国際経済システムや経済開発枠組みに積極的に異議申し立てを行ってきた豊かな議論の再解釈・再評価を企図しています。

主な出版物:
  • 「メキシコにおける小規模穀物生産者の再編過程――生産コーディネート企業の事例」清水達也編『次世代の食料供給の担い手――ラテンアメリカの農業経営体』アジア経済研究所、2021年、25-51頁。
  • 「消える国境・残る国境・変わる国境:NAFTA後の北米地域」上智大学アメリカ・カナダ研究所編『北米研究入門2:「ナショナル」と向き合う』上智大学出版、2019年、203-228頁。
  • 『トランスナショナル・ネットワークの生成と変容――生産・流通・消費』(「地域立脚型グローバル・スタディーズ叢書」第2巻)Sophia University Press上智大学出版、2008年(共編著)。
  • 「考える実務家/行動する理論家――ラウル・プレビッシュ」今井圭子編著『ラテンアメリカ開発の思想』日本経済評論社、2004年、143~159頁。

田村梨花(たむら りか)  教授

担当科目:

「ラテンアメリカ社会開発研究1・2」

田村梨花
プロフィール:

専門:社会学、ラテンアメリカ(ブラジル)地域研究。社会開発、NGOの展開するノンフォーマル教育と社会変革に関する研究を行う。ブラジル北部パラ州ベレンにおいて、1998年以降継続してフィールドワークを行っている。現在はブラジルにおけるノンフォーマル教育の実態と変容について、公教育との関連性等の観点から研究を進めている。

主な出版物:
  • 「草の根から世界を変える―ブラジルの社会運動と世界社会フォーラムにみる国際的連帯」畑惠子・浦部浩之編『ラテンアメリカ 地球規模課題の実践』(新評論、2021年)
  • 「ブラジルにおける地域連携に基づく多様な教育空間の創造と課題」(『比較教育学研究』第58巻、2019年)
  • 『抵抗と創造の森アマゾン―持続的な開発と民衆の運動』(小池洋一との共編、現代企画室、2017年)
  • 『ブラジルの人と社会』(三田千代子・拝野寿美子・渡会環との共編、上智大学出版、2017年)

長谷川ニナ(はせがわ にな)  教授

担当科目:

「ラテンアメリカ文化研究1・2」

長谷川ニナ
プロフィール:

専門:比較文学・比較文化。
1978年、文部省留学生として来日、東京外国語大学で日本語と日本文化を学び、1984年から東京大学で比較文学・比較文化を専攻、1990年に博士課程を満期修了。
一国、一地域の文化、歴史を考察するとき、まずその基軸となるのはその国、その地域の人々の共有する自己同一性=アイデンティティであるとする認識に基づき、中南米文化の基層にあるアイデンティティを分析するために、長らく自己同一性を保持してきた日本のアイデンティティと、植民地下にあって揺れ動いた中南米のそれとの比較研究を行っています。具体的には十九世紀から庶民の間に流通したメキシコの印刷文化(主にホセ・グアダルペ・ポサダとその版元、バネガス・アロヨ社との関係)と、日本の浮世絵、黄表紙など印刷文化との比較、分析です。ラテンアメリカ文化自体においては、先コロンブス期から連続してきた土着文化と、侵入してきた西欧文化との衝突、葛藤も、当然、その研究対象としています。

主な出版物:
  • 「現代ラテンアメリカにおける文化・文学研究の新潮流―エンリケ・ドゥッセルの論考を中心に」(浅香幸枝編『交差する眼差し—ラテンアメリカの多様世界と日本—』、行路社、2019年)
  • 『独立以後19世紀末までのメキシコの印刷文化研究における最近の研究動向』(ラテンアメリカ・モノグラフ・シリーズNo.24、 上智大学イベロアメリカ研究所、 2014年)
  • 「メキシコの先住民の笑いについての一考察」(『笑いと創造第二集』、勉誠出版, 2000年)
  • 上智大学外国語学部紀要(39号、40号、41号、44号、46号、47号、48号、49号、50号、51号、52号、53号、55号)

幡谷則子(はたや のりこ)  教授

担当科目:

「ラテンアメリカ社会研究1・2」

プロフィール:

専門:都市社会学、ラテンアメリカ地域研究専攻。
 1987年~89年と1999年~2000年の計3年間、南米コロンビアに留学および調査のため滞在、都市部貧困地区における雇用構造、住環境改善と住民参加に関するフィールドワークを行なう。
 最近はコロンビアの首都ボゴタ貧困地区における実証研究をもとに、市民社会と行政、政治勢力との関係について分析を進めている。

主な出版物:
  • 『ラテンアメリカの都市化と住民組織』(古今書院、1999年)
  • 『発展途上国の都市住民組織:その社会開発における役割』(アジア経済研究所、1999年、編著)
  • Organizacion popular y desarrollo urbano en Bogota, Universidad Externado de Colombia, Bogota, 1997 (Oscar Alfonso, Samuel Jaramilloとの共編)
  • 『発展途上国の都市化と貧困層』(アジア経済研究所、1995年、小島麗逸との共編) Barrio a barrio se construye una ciudad, CINEP, Bogota, 1994 (共編)

ヨーロッパ

内村俊太 | 高橋暁生 | 松原典子

内村俊太(うちむら しゅんた)  准教授

担当科目:

「ヨーロッパ政治社会1・2」

プロフィール:

 スペイン近世史、とくに国制史・都市史、近世における歴史叙述など  J・H・エリオットの「複合君主政」論をはじめとして、近年のヨーロッパ近世史学における複合的・可塑的な君主政体についての議論を出発点として、主に16世紀後半のスペイン君主国(Monarquía Hispánica)における国制のあり方や、王権や地域権力が発信する政体認識・歴史認識などを研究しています。

 スペイン君主国を構成した諸王国(Reinos)のなかでも、王権の基盤であったカスティーリャ王国と、小国ながらユニークな政体を有していたアラゴン王国(Reino de Aragón)を対象とし、近世の複合君主政を形づくっていた王権と諸権力による秩序の動態的なあり方を解明することをめざしています。

主な出版物:
  • 共著『スペイン帝国と複合君主政』昭和堂、2018年。
  • 共編著『スペインの歴史を知るための50章』明石書店、2016年。
  • 「16世紀スペインにおける王権の歴史意識――『スペイン総合年代記』をてがかりとして」『西洋史学』240号、2011年。
  • 高橋暁生(たかはし あけお)  教授

    担当科目:

    「ヨーロッパ政治文化1・2」

    プロフィール:

     専門はフランス革命史とそれ以降のフランス近現代史です。フランスにおいて、理念、システムの点で国民国家が誕生したのが1789年のフランス革命でした。経済構造の変化と新たな中間層の台頭、ヨーロッパ主権国家間の国際競争激化、啓蒙主義の展開と世論の誕生などが、大きくは革命、すなわち国民国家誕生の背景として明らかにされてきた中、私は、18世紀末を生きた現実の人々、とりわけパリから離れた地方の人々が、いかなる意味で「国民国家」の出現を必要としていたのかを長く研究テーマとしてきました。

     ただ、理念としての国民国家は誕生したものの、「実体」としての国民、すなわち自らを「フランス人」と自認する意識が広がるのは19世紀後半から20世紀前半の時期です。そしてこの同じ時期、フランスは海外に植民地を拡張していきます。フランス人としてのナショナル・アイデンティティは、フランス、ヨーロッパにとってのきわめて多様な「他者」との出会いを通じて徐々に構築されていきます。現在は、主にマダガスカルへのフランス人のアプローチを丁寧に追いながら、この地を眺めるフランス人の視線、そこに生じる自己認識とその変遷を史料から明らかにしようと悪戦苦闘しています。

     フランスとフランス語圏地域を対象として、ナショナルな枠組みの構築と、そこに必然的に作用する他者認識の有り様を明らかにすること。これが私の問題関心ですが、広くナショナリズムやコロニアリズムに関わる問題を、フランスやフランス語圏を対象に研究したいと考える大学院生と会えることを楽しみにしています。

    主な出版物:
     
  • 高橋暁生(共編著)『地域の比較社会史 ヨーロッパとロシア』、日本エディタースクール出版部、2007年。
  • 高橋暁生(共編著)『フランス革命史研究の現在』、山川出版社、2013年。
  • ピーター・マクフィー『ロベスピエール』(高橋暁生訳)、白水社、2017年。
  • 高橋暁生(共編著)『グローバル・ヒストリーズ』、SUP上智大学出版、2018年。
  • 松原典子(まつばら のりこ)  教授

    担当科目:

    「ヨーロッパ文化研究1・2」

    プロフィール:

    早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)専攻博士後期課程中途退学。文学修士。近世スペイン美術史研究専攻。1996~98年、シカゴ大学大学院人文学研究科美術史専攻に留学。エル・グレコを中心とした対抗宗教改革期のスペインにおける絵画、絵画理論、絵画と彫刻の関係性について研究している。他に、18~19世紀の画家フランシスコ・ゴヤの書簡および関連資料の研究と翻訳にも従事。2002年と2006年に開催された2度の「プラド美術館展」をはじめ、国内で開かれるスペイン美術関連の展覧会のカタログ執筆、編集、翻訳に携わる。最近は、16、17世紀のスペイン、特にカスティーリャ・レオン地方の彩色木彫と祭壇衝立の研究にも取り組んでいる。

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