ポルトガル語学科
ポルトガル語を武器に、
ポルトガル語圏から学び、現代世界に貢献できる力を磨く
日本の大学教育において、ポルトガル語、そしてそれが話されている地域を専門的に学べる場はごく限られています。「新たなるもの」への好奇心、「未知なるもの」に挑む気概に溢れる人にうってつけなのが、ここポルトガル語学科です。そこには、他とは「ひと味違った視点」から世界をとらえ、それを踏まえて世界に発信し、貢献するという醍醐味があります。
ではポルトガル語は、そしてポルトガル語圏は、どのような魅力を秘めているのでしょうか。わたしたちはそこから、時空を越えたつながりを見てとり、グローバリゼーションの動態を体感することができます。かつてポルトガル人は、まさに未知なる海に挑み、大航海時代を切り拓きました。その結果生まれたのが、ヨーロッパ(ポルトガル)、アメリカ(ブラジル)、アフリカ(アンゴラ、モザンビーク等5ヵ国)、アジア(東チモール、マカオ)と世界を股にかけたポルトガル語圏です。ポルトガルの視点からばかりでなく、ブラジルから、アフリカから、アジアから、それぞれながめ考えることにより、世界の多様性、地域の固有性を理解し、世界の諸問題を複眼的にとらえ思考する力が養われるのです。そして、ポルトガル語は日本にとって身近な言葉であることも忘れてはなりません。日本がはじめてヨーロッパ世界と接したのはポルトガルを介してでしたし、こんにちブラジルは世界最大の日系人社会を有し、日本の各地には多くのブラジル人が暮らしています。
このような尽きせぬ魅力に4年間という限られた時間のなかで最大限触れ、自らの将来へとつながるきっかけをつかんでもらえるよう、ポルトガル語学科のカリキュラムは組まれています。
1. 1・2年次の学び――言語と語圏の基礎
まず真っ先に取り組まなければならないのは、ポルトガル語の習得です。基本的にはじめて学ぶ初習者を対象にしていますので、文字通りゼロからの出発となります。それだけに、3・4年次で「使える」ようになるためには、1・2年次のあいだに基礎的な訓練をしっかりと受けることが必要です。これに週6コマ(平日は毎日です)をあて、文法・会話作文・講読等に分けて徹底的に学習します。予習・復習もあり、ときにつらく地味にも感じるでしょうが、これこそがすべての土台といえます。
また、1・2年次にはもう一つの科目群として、語圏研究基礎科目を履修します。これはポルトガル語の話されている地域について知る、いわば入門科目です。「ポルトガル語圏研究入門」ではポルトガル語圏のことを題材に、大学での学問に必要なアカデミック・スキルズ(文献・資料検索、レポート作成などの方法)を学び、さらに他の4つの科目でそれぞれポルトガル、ブラジル、アフリカ、アジアの歴史について学習をし、ポルトガル語圏の各地域の基礎知識を身につけます。これらは、3・4年次においてどのようなことをより専門的に学んでいくのかを絞り込んでいく上でも重要な場となります。
2. 3・4年次の学び――実践的なポルトガル語力と専門性の高い研究
ポルトガル語については、1・2年次で習得した基礎力を、実際に「使える」力へと発展させていきます。具体的には、ポルトガル語の文献を読み、ポルトガル語圏の人々とのあいだで相手の意見を理解し、自分の考えを伝えるのに十分な言語運用能力です。3・4年次ではネイティブ・スピーカーの教員がおもに担当する授業を、週平均して2コマずつ受講します。
さらに、9つある研究コースのうち1つを「第二主専攻」もしくは「副専攻」として選択(2年次末)し、「第一主専攻」であるポルトガル語と並行して該当する科目群を履修します。9つの研究コースとは、〈ヨーロッパ研究コース〉、〈北米研究コース〉、〈ラテンアメリカ研究コース〉、〈ロシア・ユーラシア研究コース〉、〈言語研究コース〉、〈中東・アフリカ研究コース〉、〈アジア研究コース〉、〈国際政治論研究コース〉、〈市民社会・国際協力論研究コース〉です。ポルトガルについて深く学びたいなら〈ヨーロッパ~〉、ブラジルなら〈ラテンアメリカ~〉となるでしょうし、その他のポルトガル語圏なら〈中東・アフリカ~〉、〈アジア~〉を選んでもよいでしょう。言語を極めたいのなら〈言語~〉がありますし、もちろんその他の研究コースを選ぶことも可能です。なお、各コースの専門研究導入科目は1年次から、専門研究コア科目は2年次から、前倒しで履修することができます。
3. 留学――ポルトガル語の世界に飛び込む
3年次以降は、留学というかたちで、実際にポルトガル語圏に滞在して現地の大学で学び、何ものにも代えがたい貴重な経験を得てくる学生たちも、毎年数多くいます。上智大学と交換留学協定を結んでいる大学のなかには、ブラジルのブラジリア大学、リオグランデドスル・カトリック大学、サンパウロ大学、ポルトガルのアヴェイロ大学、ポルト大学、中国のマカオ大学という、ポルトガル語圏の6つの大学が含まれており、学びの対象のなかに実際に飛び込んで一年を過ごすというチャンスが十分に用意されています。また、一般留学というかたちで、これら以外の大学に留学することも可能で、そうした学生たちも少なくありません。留学により、言葉はもちろん上達しますが、それ以上に学問に目覚めたり、その後の人生を左右する転機となったりするケースも多くあります。ぜひ積極的にチャレンジすることをお勧めします。
4. 演習と卒業論文――大学での学問の集大成
各研究コースには3年次以降履修が可能となる「演習」(いわゆるゼミ)という少人数単位の授業があります。これは担当する教員ごとにテーマが設定され、文献の輪読、発表、ディスカッションといった学生参加型の専門的な授業です。また4年次には、通常この「演習」の担当教員に指導を仰ぎながら、大学での学問の集大成ともいうべき長編の「卒業論文・卒業研究」の作成に取り組みます。「演習」、「卒業論文・卒業研究」は副専攻として履修した場合、必修ではありませんが、「演習」における教員とのあいだの、また学生同士の関係の密度の濃さは、他の授業では得がたいものがありますし、大学時代に学んだ成果を「卒業論文・卒業研究」としてかたちに残すことは、必ずや後に「やってよかった」と思えるものです。大学生活の総仕上げとして、「演習」と「卒業論文・卒業研究」にぜひ取り組んで下さい。