フランス語学科
フランス語の土台を築き、
フランス語圏の研究を通して
現代社会を多角的に理解する
フランス語学科では、フランスはもちろん、この国が中心的な役割を担っているEUや、カナダのケベック州、アフリカをはじめとするフランス語圏について、多角的に学ぶことができます。フランス語の力を基礎から築きあげつつ、現代フランス社会とその歴史的な前提、フランス語圏の政治や文化の動向を初年度から学びます。基礎固めを終えてからは、フランス語の運用能力を磨きつつ、フランス社会やフランス語圏について、より専門的に学習します。地域研究と異文化理解に必要な手法を学び、国際的な舞台をはじめ社会のさまざまな場で活躍するのにふさわしい総合的な教養を養います。
1. カリキュラム概要
3段階で構成されています。第1に、「フランス語」の徹底した訓練を通して、実践的な運用能力を身につけます。第2に、世界中に広がる「フランス語圏」(フランス語が使用されている地域)について、政治、経済、社会、文化といったさまざまな角度から学びます。第3に、外国語学部が開設する9つの「研究コース」から1つを選択し、専門的な研究を行ないます。
2. 教育プログラム(1)「フランス語」
1年次では、「基礎フランス語I」(1コマ90分で週6コマ)を通して、基礎文法を十分に学びながら、フランス語の4技能(読む・書く・聞く・話す)を徹底して学びます(フランス語の既修者には別立てのカリキュラムがあります)。
2年次では、「基礎フランス語II」(1コマ90分で週6コマ)を通して、フランス語の4技能の継続的な訓練を行ないます。中級文法をベースにコミュニケーション能力の向上に特化したパートと、担当教員の専門性を生かした「専門研究へのフランス語」(哲学、文学、歴史学、社会学、政治学、宗教学、経済学、言語学)のパートからなります。
34年次では、「総合フランス語」と呼ばれる科目群を通じて、中上級レベルのフランス語力をつけます。3年次生は「表現演習」「聴解演習」「講読演習」を履修し、フランス語の4技能をいっそう発展させます。4年次生が履修する「総合演習」は、これまでの学習成果を総動員して、より高度なフランス語力を磨きます。
3. 教育プログラム(2)「フランス語圏」
「フランス語圏」とは、ざっくり言うなら、フランス語が使用されている世界の諸地域のことです。ヨーロッパでは、フランスはもちろん、スイスやベルギー、ルクセンブルクなどがこれに当たります。カナダのケベック州、多くのアフリカ諸国(モロッコ、チュニジア、セネガル、マリ、コートジボワール、中央アフリカ共和国など)もそうです。フランス語圏の世界地図は、ハイチ共和国のあるカリブ海、ヴァヌアツ共和国のある太平洋にも広がっています。
フランス語学科では、このような広範な地域について多様なアプローチで学ぶことのできる科目群(フランス語圏研究基礎科目群)を用意しています。6角形の形をしたフランスだけでなく、フランス語という観点から世界を見つめ直し、諸地域のコンテクストにおいていかに政治が動き、そこに現れる宗教現象がいかなる意味を持ち、ある社会の経済状況が人びとの生活にどのような影響を与えているのか、授業を通して考えてみましょう。
4. 教育プログラム(3)「研究コース」
フランス語学科の学生の第一主専攻は「フランス語」ですが、2年次の秋学期に第二主専攻または副専攻として履修する「研究コース」を選びます。〈ヨーロッパ研究コース〉〈北米研究コース〉〈ラテンアメリカ研究コース〉〈ロシア・ユーラシア研究コース〉〈中東・アフリカ研究コース〉〈アジア研究コース〉〈言語研究コース〉〈国際政治論研究コース〉〈市民社会・国際協力論研究コース〉の9つから1つを選択します(フランス語学科の学生が〈ラテンアメリカ研究コース〉を選んでブラジル経済を学ぶことも制度的には可能です)。
入学時点で自分の目的が決まっている人もいれば、そうでない人もいるでしょう。1年次には、〈研究コース導入科目群〉から、関心を持った授業を履修し、さまざまな分野の基礎知識や基礎理論を学びます。2年次になると、〈研究コースコア科目群〉から、より専門的な内容の講義を受講することができます。そこから、自分がどの研究コースで専門研究を行なっていくのかを決めるのです。3年次以降は、「コア科目」の履修を継続する一方、〈演習科目〉(ゼミ)に登録できます。ゼミでは、その分野を専門とする教員が、学生一人一人の個性に合わせて丁寧な指導を行ないます。ぜひ大学時代の学習の結晶として優れた〈卒業論文/卒業研究〉を完成させてください。
5. 留学
フランス語学科では、毎年かなりの数の学生がフランス語圏の大学に留学します。夏休みや春休みを利用した短期の語学留学を加えれば、卒業までの4年間ないし5年間のうちにほとんどの学生が何らかの形で留学を経験するといっても過言ではありません。
交換留学は、学内の選抜試験を経て、上智大学と交換留学協定を結んだ大学に1年間留学する制度です。上智大学に学費は納入しますが、留学先の学費はかかりません。留学先の大学で取得した単位は、上智大学の単位として換算されます。
一般留学は、交換協定を利用しない留学で、学費は上智大学と留学先大学双方に納入しなければなりませんが、フランスの国立大学であれば学費はほとんどかかりません(フランスの大学の学費は安いのです)。留学先の大学で取得した単位を上智大学の単位として換算することも可能です。
ほかにも、夏期休暇期間や春期休暇期間を利用して、フランスのブザンソンにあるフランシュ・コンテ大学(夏期)やアンジェ大学(春期)の語学集中コースに参加することができます。費用はかかりますが、語学教育に定評ある機関で4週間学び、ホームステイすることで日常的にフランス人と接することの効果は高いと言えます。
6. フランス語学科とフランス文学科の違い
上智大学では、外国語学部にフランス語学科、文学部にフランス文学科があります。両学科とも基本はフランス語の習得にありますが、フランス語学科では文学以外の分野や領域(政治、経済、歴史、社会、文化、言語、芸術など)も学習・研究の対象になります。