学部での学び

中東・アフリカ領域

中東・アフリカ領域の学び

日本の大学で学ぶ私達は西洋近代に発展した学術体系を通じて世界の事象を把握することが一般的ですが、非西洋世界がグローバルなプレゼンスを拡大していく今後の世界では、西洋的なものの見方を相対化する視点の獲得は大変に重要です。その意味では中東・アフリカ地域研究には、例えば、イスラームのような非西洋由来の宗教文化や近代西洋の帝国主義および人種主義の経験から、西洋近代的な価値規範やシステムについて批判的に考えるテーマが多く見出せます。国内の政治社会や国際紛争、さらには難民問題において、イスラームが焦点となることをどう考えるのかや中東アフリカの弱者を「助けてあげる」という問題意識の欺瞞など、グローバル市民であろうとするならば避けて通ることのできないものの見方について、ぜひ中東・アフリカ地域研究を通して学んでほしいです。

上智大学と中東・アフリカ研究

上智大学は、中東・アフリカ地域への理解を促進し、連携を深めるためのさまざまな取り組みを実践しています。学術分野では、2022年に発足した上智大学イスラーム地域研究所が、常設の研究センターとしての役割を果たしています。同センターには、総合グローバル学部の教員が正所員として所属して研究を進めています。文化的なイベントとしては、2017年以降、毎年5月に「アフリカ・ウイークス」を開催し、さまざまなシンポジウムや学生企画を実施してきました。また2022年には総合グローバル学部の学生が「イスラーム・ウィーク」を開催し、ムスリムの生活に関する理解を深めるための活動をしました。また学内のカフェテリアに「東京ハラルデリ&カフェ」があり、ムスリムのシェフが監修したハラールの料理を楽しむことができます。

上智大学イスラーム地域研究所

上智大学イスラーム地域研究所は、2022年、常設の研究部門として設立されました。同研究所は、同じく常設研究部門であるアジア文化研究所をはじめとする多くの研究所と連携しつつ、総合グローバル学部、外国語学部、大学院グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻の教育活動とも協力して、研究・教育の複合的展開に努めています。

現地を知る・言語を知る

研究対象とする国や地域がどこであっても、地域研究を進めるために重要なことは言語を知ることです。外国語には、日本語と一対一で対応しない言葉やフレーズが多くあります。ですが、その言葉を知ることこそ、その国や地域の文化や人びとの行動・思考様式を知ることにつながるのです。上智大学では、アラビア語、トルコ語、ペルシャ語、スワヒリ語、インドネシア語など、中東・アフリカ地域/ムスリム圏を深く知るための言語のコースが多数用意されています。「現地を知る」ことは「言語を知ること」です。中東・アフリカ研究の学問を、語学とともに進めることを推奨します。

イエズス会海外客員教員

上智大学では、イエズス会から教員を招聘教員として受け入れています。2022年秋学期は、コンゴ民主共和国・ドジュマ大学からGhislain Tshikendwa先生が渡日され、総合グローバル学部開校の授業Africa’s Development AidおよびAnthropology of Sufferings and Hopes in Africa(いずれも英語)を展開してくださっています。