私とパンとじゃがいもと

田中冴佳

初めまして、去年の9月からフライブルクに留学している田中冴佳です。
今回は私の視点から見た、日本とドイツの生活の違いを書いていきたいと思います。

日本での通学:
母に起こされ、リビングにいくと朝食が用意されているが、満員電車のことを思い、やる気がなくなる。
ドイツでの通学:
携帯電話に目覚ましを何度もかけ、3度目でようやく起床。バナナ1本、または途中のパン屋さんでパンを買い、トラムで優雅に大学へ向かう。

一見すると、ドイツの朝の方が良いように思われますが、初めての一人暮らしは掃除や洗濯など、大変なことばかりで慣れるのに少し時間が必要でした。ドイツに来ると自立が嫌でも求められます。

日本の授業:
先生の話を聞き、黒板に書かれたことを板書する。先生からの質問に対するリアクションは常に低い。後ろの方から席が埋まっていく。
ドイツの授業:
セミナー式の授業ではディスカッションが多く、文法が正しいかということではなく、個々の意見を求められる。講義は皆静かに聞き、先生の話の途中に、生徒が質問を投げ掛ける場面が多々ある。

ドイツに来て驚いたことは文法がめちゃくちゃでも、答えが間違っていても、意見を言おうとする生徒がたくさんいるということです。その自信はどこから来るのか、初めの方は疑問を抱いていましたが、いつからか自分の意見や疑問を率直に言える彼らに尊敬の念を抱いていました。

日本での友人付き合い:
幼なじみ、サークルの友達、学科の友達など、日本では固定の友人関係が成り立っている。外国人と出会う機会が少なく、そのため空気を読むといったことも常識的に広がっている。
ドイツでの友人付き合い:
友人の多くは留学生。グループワークなどで国柄が表れることもしばしば。ずうずうしさも時には大切。

一緒に遊んだり、授業を受ける人たちはほとんどが留学生です。特に私は、以前から韓国の文化に興味があったので韓国人の友人が多くできました。友人の家で韓国料理を作ったり、芝生でビールを飲みながら普段は話すことのない、領土問題について意見を交換し合うこともありました。また、日本語学科がないため、他の大学と比べてドイツ人と関わる機会がそれほど多くはありませんが、私は気の合うタンデムパートナーと出会うことができました。たまに家に遊びにいって料理をしたり、ショッピングをしたりしています。

日本で描かれるドイツ:
時間に厳しく、ルールを守り、仕事を一番に考える。日本人と似ていて真面目。
実際のドイツ:
ヨーロッパの中ではルールをきちんと守る方だが、時に自分の都合を優先する。

ドイツに来て驚いたことは、手続きが意外と適当であったり、先生が平日に休暇をとっていたり、窓口の受け付け時間が1週間に計1時間であったりすることです。これほど自由に生きているドイツ人を目の当たりにして、改めて日本人の丁寧さを知りました。

もうひとつ驚いたことはドイツの食べ物についてです。一人で住んでいるため、大量の野菜は必要ないのですが、スーパーではじゃがいもが1㎏1ユーロ以下で個々で買うよりお得なため、つい買ってしまいます。じゃがいもだけでなく、ニンジンも玉ねぎもそうだったりするので、まるで大家族のお母さんになった気分です。また、ドイツにはパン屋さんが至るところにあり、パン屋さんの隣に新しいお店ができたと思ったら、パン屋さんだったりします。気が付くと朝、昼、夜ごはんがパンになっていたり、自分の体もパンを求め始めたりします。いかにパンがドイツ人にとって必要不可欠なものなのか身をもって感じました。

今日までの留学は光の速さで去っていきましたが、あとの2ヶ月間は、体型維持だけではなく、プレゼンや試験を頑張りつつ、ドイツ語の向上に努めます。

s-tanaka