満洲班第2回ワークショップ  「『満洲』の記憶と表象」が8月8日(土)に上智大学で開催されます。

2015.07.23

満洲班第2回ワークショップ
「満洲」の記憶と表象

日時:201588日(土) 午前9時半~17
会場:上智大学四谷キャンパス 図書館9911

プログラム

第一部 「「満洲」の記憶と表象」(9:3012:30
(1)Thomas Lahusen,”Manchurian Memories.”鑑賞
(2)Thomas Lahusen(University of Toronto) 
“Foreign Past and the Construction of Local Identity : The Case of Harbin.”
(3)コメント(各15分)
長井暁(ジャーナリスト)、丁智恵(東京大学大学院博士課程)
(4)質疑

<昼食>

第二部 「植民地の記憶と叙述」(14:0015:30
(1)佐藤量(立命館大学)
「コンタクトゾーンとしての同窓会-混淆する日本人と中国人の満洲記憶」
(2)森亜紀子(日本学術振興会特別研究員・同志社大学)
「複数の旋律を聞く-沖縄・南洋群島を移動した人びとの声と生にふれて」
(3)コメント;各15分程度
李洪章(神戸学院大学)、安岡健一(飯田市歴史研究所)

<休憩>

第三部 総合討論(15:4517:00
総括コメント;各15分程度
玉野井麻利子(UCLA)、西澤泰彦(名古屋大学)、大久保明男(首都大学東京)

*言語は日本語・英語。
今のところ同時通訳はしません、抄訳程度を行います。ラフーゼン先生にはほぼ同時通訳する院生を一人つけます。英語圏の参加者が多くなる場合は、抄訳者を数名準備します。

 「『満洲』をめぐる記憶」が論じられて久しい。従来、「『満洲』の記憶」は往々にしてオーラルヒストリーによって作品化されることが多く、しかもそれは日本や朝鮮半島の視点・文脈からアプローチされがちだった。しかし、玉野井麻利子編著『満洲-交錯する歴史』(2008年)が描き出したように、「満洲」は東アジアの視点・文脈だけでなく、ロシア、東欧、中央アジアからの視点・文脈が投影されることで、より豊かな「満洲」像が描かれることが明らかにされた。それに、近年、それは映像化という新たな手法が登場することで、「『満洲』の記憶」の表象や叙述が多様になってきた。
 トーマス・ラフーゼン教授(トロント大学)は、「『満洲』の記憶」を映像によって表象してきたひとりで、しかも東欧や中央アジアなどにおける「『満洲』の記憶」を取材して映像化してきた第一人者である。昨夏は北海道大学の招へいで来日し、長野県飯田市で蘭信三(上智大学)とともに取材し、札幌では中山大将(京都大学)さんとともに取材を重ねて、東欧・中央アジアでの取材を重ねて新たな作品を上梓した。その手法はインタビューを主としながらも、ドキュメンタリー的な映像の作品化である。
 そこで、トーマス・ラフーゼン教授が2015年8月初旬に来日する機会をとらえて、下記のようなワークショップを開催し、「「『満洲』の記憶と表象」の意義と可能性を論じていきたい。同時に、オーソドックスな手法でオーラルヒストリーの語りによって作品化されてきた研究の可能性とも比較し、今後の「記憶と表象」の在り様について論じていきたい。
 本ワークショップは三部構成である。第一部はラフーゼン教授が制作した映像作品を鑑賞、ラフーゼン教授の報告、それへのコメント、討論という構成だ。第二部は、「『満洲』の記憶」にオーラルヒストリーから迫る若手研究者の佐藤量さんと、「『南洋』の記憶」をオーラルヒストリーによって丹念に研究する若手研究者の森亜紀子さんによる報告、それへのコメント、そして第1部第2部を合わせた総合討論から構成されている。
 本ワークショップのねらいは4つある。まず、(1)「『満洲』の記憶」を日本帝国という東からの視点だけでなく、東ヨーロッパ、ロシアという西・北からの視点を交えることで、<複数の満洲>に関する記憶の在り様を明らかにすることだ。ついで、(2)「『満洲』の記憶」や「『南洋』の記憶」にどのようにアプローチできるかという方法論を論じることだ。そしてそれは(3)オーラルヒストリーによる個人史をこの科研班の歴史研究・社会学研究にいかに生かすかという課題とも関連している。最後に、(4)それは歴史認識の問題とも絡んでくる。記憶の語られ方とその表象の仕方の根底には歴史認識問題が横たわっているからだ。
 総合討論者は玉野井教授、満洲文学の大久保明男さん、建築史の西澤泰彦さんである。報告者、コメンテータに導かれつつ、皆さんとともに以上の諸点を論じていきたい。

 

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