シンポジウム
帝国における統治の技法とポスト近代
-高野麻子『指紋と近代』が切り拓くもの-
1.日時:2016年7月16日(土)13時30分~17時30分
2.会場:上智大学(四谷キャンパス)図書館L-821(8階)
3.プログラム
司会 八尾祥平(神奈川大学)
(1) 第1報告(13:35~14:30) 高野麻子(明治薬科大学)
「『指紋と近代』が切り拓くもの―「移動」から身体管理の歴史的変遷を読み解く」
(2) 第2報告(14:30~15:15) 遠藤正敬(早稲田大学)
「帝国統治を支える国籍、戸籍、指紋-再生産される境界線とその谷間」
(3) コメント1(15:30~16:00) 永原陽子(京都大学)
(4) コメント2(16:00~16:30) 蘭 信三(上智大学)
(5) 総括討論(16:30~17:30)
4.報告者紹介・報告概要
①高野麻子(たかの あさこ;明治薬科大学薬学部講師)
・報告要旨;19世紀末植民地インドで誕生しイギリス帝国から日本帝国へと伝播した指紋法は、定住に至らない移動する人びとを統治者が管理するためのテクノロジーであった。では、グローバルな人の移動が増大する現代で多様な生体認証技術が出現している状況は、どのように分析できるだろうか。「指紋」から近代的統治の特徴とその変容について考える。
・主要業績;『指紋と近代―移動する身体の管理と統治の技法』(みすず書房,2016年)。「『満洲国』における移動する労働者の管理と指紋法」(『年報社会学論集』,25号,2012年)。
②遠藤正敬(えんどう まさたか;早稲田大学台湾研究所非常勤次席研究員)
・報告要旨;日本の帝国統治において国籍が画定した「国民」を重層的に支配する装置が戸籍であった。一方、人の移動と「血」の混淆が伴う近代に要請された統治技法が指紋であった。身体を管理する指紋と精神を管理する戸籍は帝国統治においてどう関わったのか。
・主な著書;『戸籍と国籍の近現代史-民族・血統・日本人』(明石書店、2013年)
『近代日本の植民地統治における国籍と戸籍-満洲、朝鮮、台湾』(明石書店、2010年)。