人間の安全保障研究所

人間の安全保障研究所

セミナー・シンポジウム

2018年11月6日

11月9日(金)井深陽子氏(慶應義塾大学)を招いてセミナーを開催いたします。

11月9日(金)にて、上智大学経済学部と人間の安全保障研究所共催のセミナーを開催致します。

報告者:井深陽子氏(慶應義塾大学)
日時:11月9日(金)17:00-18:30
会場:2号館11階経済学部会議室B

 タイトル:景気変動が健康に与える影響-都道府県の死亡率を用いた分析-

 要旨: 本研究では、日本における1978年から2016年の死亡率のデータを用いて景気変動が健康に与える影響を分析した。分析の結果、これまで先進国のデータを用いて繰り返し報告されてきた景気後退が死亡率に与える正の影響は、日本では見られないことが示された。この理由として、男女別、死因別、年齢別に景気変動が死亡率に与える定性的な影響が異なり、正の影響と負の影響が相殺されていることが示された。男性においては、勤労世代において景気非循環的な影響がみられ、各国の先行研究で指摘されていた景気後退期に労働時間が減少することにより健康状態が改善する影響は平均的に検出されなかった。これらの結果は、景気変動は健康に対して個人の属性により多様なメカニズムを通じて異質な影響を与えるという知見を補強するもでのある。