講演会

シンポジウム「ポストネオリベラル期のラテンアメリカ政治─現状と課題─」

講師

【登場順】
舛方周一郎(神田外語大学外国語学部)
馬場香織(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
安井伸(慶応義塾大学区商学部)
千代勇一(上智大学イベロアメリカ研究所)
坂口安紀(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
村上勇介(京都大学地域研究統合情報センター)
岡本正明(京都大学東南アジア研究所)
幡谷則子(上智大学外国語学部)

日時2015年6月22日(月)13時30分~18時00分
場所

上智大学中央図書館9階921会議室

使用言語

日本語

参加費/予約

参加費無料/予約不要

概要

過去30年間、ラテンアメリカ諸国は、国家社会関係のあり方について模索を続けている。1970年代までの約半世紀は、輸入代替工業化を中心とする国家主導の経済開発に代表される「国家中心モデル」が支配的であった。同モデルは1970年代までに破綻し、1980年代からは、グローバル化の進展を背景にネオリベラリズムへの転換が図られ、国家の役割を縮小させる「市場中心モデル」が基調となった。しかし、「市場中心モデル」のもとでは、マクロ経済レベルの安定と発展は可能となったものの、歴史的、構造的にラテンアメリカ諸国が抱えてきた格差や貧困を克服するまでには至らなかった。そのため、1990年代末以降、ネオリベラリズムの見直しを求める勢力が台頭し、多くの国で政権を握る「左傾化」現象が観察されてきた。ネオリベラリズムが支配的であった時期は過ぎたという意味で、現在のラテンアメリカはポストネオリベラリズム期にある。
ポストネオリベラリズム期のラテンアメリカは、現在までのところ、全体として一定の支配的な方向に向かいつつあるというよりは、まだら模様の状態であるということができる。ネオリベラリズムに関しては、ネオリベラリズムを堅持している国が存在する一方、「国家中心モデル」への回帰を志向する場合(「急進左派」)や、市場原理の原則は維持しつつも社会政策などで国家の役割を強める場合(「穏健左派」ないし中道左派)がある。他方、ネオリベラリズム改革からポストネオリベラリズムへの展開過程において、様々な矛盾を抱えつつも政党政治が安定的なあるいは安定化した国もあれば、社会紛争を克服し調和を実現する糸口が見いだせずに不安定な状態にある国もある。
本シンポジウムは、ラテンアメリカにおけるネオリベラル改革後の政治展開において、政党政治が安定的な事例と不安定なケースの相違に焦点を合わせる。それぞれについて、いくつかの代表的な国を取りあげ、近年の政治動向ならびに現状を分析するとともに、今後の展望を描く。安定的ないし安定化した例として、ブラジル、メキシコ、チリ、不安定な国としてコロンビア、ベネズエラ、ペルーをみる。

プログラム

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主催/後援

主催 上智大学イベロアメリカ研究所/京都大学地域研究統合情報センター
後援 ラテンアメリカ協会

ポスター画像

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