2010年06月24日 10:23:23
上座部仏教は『慈悲の宗教』とも呼ばれ、平和的であるかのようにみられてきた。ミャンマーで僧侶たちが軍事政権に対する非暴力の抗議デモに参加した姿は記憶に新しい。だが、仏教は常に非暴力を標榜するとは限らない。上座部仏教圏の歴史を振り返れば、そこにはむしろ暴力と抑圧の縮図がみられ、僧侶がその担い手になったことも多い。スリランカでは一部の僧侶が非仏教徒のタミル民族への抑圧を煽動し、タイでは「共産主義者なら殺しても構わない」と発言した僧侶がいる。このような暴力的行為や発言はどのように正当化されるのか? 仏教は暴力を容認できるのか? 上座部仏教は「本来」の仏教の教えとは異なるのか? 本講演ではこうした問題をとりあげる。