今回の学術研究特別推進費企画では、小川真和子先生(立命館大学准教授)をお招きし、「ハワイにおける水産業の発達と日本人」についてお話しいただきました。和歌山や広島・山口沿岸部を中心に戦前のハワイへ渡った日本人移民の経験に焦点をあてることで、これまでのハワイ日本人移民史の主流であったサトウキビ農園労働者とは異なる歴史が浮かびあがりました。また、戦後、衰退傾向にあったハワイの漁業に沖縄出身者を受け入れ再建を図ったという事例からは、従来の「豚と沖縄」に見られるようなハワイ沖縄出身者からの故郷救済とは逆方向の支援の姿が見えてきました。さらにLandscapeからSeascapeへの視点の転換は、「人が土地に固定化される」ことを前提に論じてきた歴史を、より動的で、ダイナミックなものとして再提示するものでした。海からみた日本とハワイ、そして太平洋世界像をどう描けるのか――本研究会にとって非常に刺激的な発表でした。(主催:上智大学学術特別推進費「太平洋世界のグローバル・ヒストリー:アジア、北米、島嶼地域を繋ぐ多方向性の移動とネットワークの形成」(代表:飯島真里子)) 講師小川真和子(立命館大学准教授)日時2016年7月22日(金)16:00〜18:00場所上智大学中央図書館L-721A アメリカ・カナダ研究所