Okamura先生による講演会では、ハワイにおけるエスニシティの重要性についてお話し頂きました。戦前は、サトウキビ産業を支配していた「ハオレ(ハワイで「白人」を意味する)」と農園労働者のNon-Haole(非白人、主にアジア系)という「人種」を基軸とする二項対立的な経済・社会構造が形成されていました。しかし、戦後の変化ー①労働組合によるハオレ支配への反発、②日系二世政治家を中心とした民主党政治の台頭、③非白人、元サトウキビ農園労働者による「ローカル」アイデンティティーの形成ーにより、各エスニック・グループの団結が強まっていきました。また、近年増えつつあるミクロネシア系移民は、最も経済社会構造の底辺にいるエスニック・グループとして、他のグループからの差別や蔑視の対象となっています。Okamura先生が所属するハワイ大学エスニック・スタディーズ学部では、多民族社会ハワイを美化するのではなく、このような差別や蔑視を軽減・是正すべく教員、学生が研究活動や社会活動に取り組んでいるとのことです。
今回は、一橋大学の学生さんも加わり、学部生の参加者が多い講演会となりました。Okamura先生のハワイの現実を直視した講演は、「楽園としてのハワイ」のイメージを覆す貴重な内容だったと思います。このようにイメージや偏見にとらわれずに、現実を冷静に直視し分析することの大切さが学生さんにも伝ったのではないでしょうか。 (文責:飯島真里子)
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