テーマ | Japanese Peruvian Enemy Aliens during World War Two: Life on the Edge with the Higashides |
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報告 | Elliott Young先生をお招きし、“Japanese Peruvian Enemy Aliens during World War Two: Life on the Edge with the Higashides”という題目でお話しいただきました。先生の前著Alien Nationは第二次世界大戦下の中国系移民を主題としていましたが、本講演ではペルーに移住した日本人、東出誓一とその家族の生涯を通して、ペルー、そしてアメリカの地で敵国人となった日系移民が大戦時をいかに生き抜いたかが語られました。ペルー移住後に結婚し子を得た東出は、第二次世界大戦開戦後に国外退去を命じられ、一時は警察から身を隠すものの拘束されます。リマで劣悪な環境の監獄生活を過ごしたのち、東出はアメリカ軍の輸送船でパナマの収容所へと送られますが、その後家族と合流し、一家はテキサスの収容所で暮らします。アメリカ政府は東出たち日系ペルー人を強制的に輸送しておきながら、彼らを不法入国者として扱っていました。クリスタル・シティの収容所にはドイツ系ペルー人や、ハワイの日系アメリカ人も多く収容されていましたが、戦後彼らの多くが即時解放された一方で、日系ペルー人たちの解放には制限がかけられます。ようやく解放された東出一家はアメリカでビジネスを拡大させ、ついにはアメリカの市民権を得ますが、のちに人種差別を逃れようと移住したハワイでも同様の差別意識が存在し、とりわけ娘のエルサは生活に苦しむことになります。これまであまり注目されてこなかった日系ペルー人の戦時体験に焦点を当てることで、敵国人として扱われ続けた移民の実態が明らかになりました。この事例研究は、出版予定のアメリカ合衆国のいける「拘留の歴史」の一部として紹介される予定です。質疑応答では聴講者の体験や研究から、フィリピン、ハワイ、ブラジルの移民などについても話が及び、移民研究の多様性を確認する良い機会となりました。(報告:英米文学研究科博士後期課程 三原里美) 参加人数:20名 |
講師:Elliott Young Professor, Department of History, Lewis & Clark College
日時:2019年6月4日(火)17時20時~18時45分 (講演と質疑応答) |
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