文生書院から刊行中の<初期在北米日本人の記録>シリーズは、シカゴ大学図書館の奥泉栄三郎氏監修による、北米の日本人移民に関する貴重な一次資料の復刻版である。1890年代から1950年代半ばまでに発行された、アメリカ合衆国及びハワイ(一部メキシコも含む)の日本人移民に関する問題を論じた本や、移民自身によって書かれた手記、出身県別の移民史、渡航案内、写真帳、日系の仏教やキリスト教教会史、その他歴史書、便覧、小説などが含まれる。日本語で書かれたものが多いが、中には英語で出版されたものもある。なお同シリーズは現在も配本中であり、今後新たな図書が追加される予定である。一部<日系移民資料集 北米編>シリーズとの重複がある。
日系移民資料集の一部として日本図書センターより配本された、『在米日本人年鑑』(1905年から1908年まで)及び『日米年鑑』(1909年から1918年まで)の復刻版。全12巻。同年鑑はサンフランシスコで邦人向けに新聞を発行していた日米新聞社から刊行された。日本とアメリカの国勢要覧、アメリカの法律、邦人農業や商業の展開、教育や宗教、各都市における邦人の動向、邦人人口や職業に関する統計、農業に携わる邦人のリスト(出身県記載)などが記述・掲載されている。また、付録としてアメリカ合衆国本土に住む日本人の住所録が居住地区ごとにまとめられている。
日系移民資料集の一部として日本図書センターより配本された、1927年から1941年までの『日布時事布哇年鑑』の復刻版。全14巻。同年鑑はハワイ邦人社会向けに新聞を発行していた日布時事社から刊行された。前半はハワイや日布関係についての時事や歴史、経済、人口、司法、行政、宗教、軍事等に関する豊富な統計や事実を網羅し、後半はハワイの居住地区ごとにまとめられた、日本人の住所録を提供する。同住所録には各人の職業や出身県も掲載されている。
日本図書センターより配本された、戦前にアメリカ合衆国及びハワイへ渡った日本人移民に関する貴重な一次資料の復刻版である。全18巻。うち1巻は阪田安雄氏による解説と、このシリーズには含まれない外務省史料や雑誌論文など「北米移民」関係文書・文献資料の目録から構成される。1880年代から1940年までの間に発行された、北米移民史、出稼・移住奨励論、渡米案内、在米日本人史、在米県人史の分野に属する書籍計19冊分が復刻印刷されている。一部<初期在北米日本人の記録>シリーズとの重複がある。なお、当研究所は、第1巻に含まれる藤賀與一編著『日米関係在米国日本人発展史要』(1927年)の原本も所蔵している。
日本図書センターより配本された、戦前に南米(メキシコを含む)へ渡った日本人移民に関する貴重な一次資料の復刻版である。全30巻・別巻1のうち、当研究所では第11巻以降の20巻と別巻を所蔵する。1928年から1942年までの間に発行された、各地の風土や概況、邦人活躍史などについての全20冊の書籍が復刻されている。別巻は石川友紀氏による総合・各巻解説、外務省史料から作成された統計資料、そして『日系移民資料集』南米編・総目次(第1巻~第30巻)で構成されている。
1914年から1991年までアメリカ・ユタ州のソルトレークシティを拠点として発行されていた日系新聞『ユタ日報』から、太平洋戦争中の5年間分に絞って復刻印刷したものが、「ユタ日報」復刻松本市民委員会により発行された。全7巻。1941年1月1日から1945年12月28日までの号が網羅されており、日米開戦後も存続を許された日系新聞として歴史的価値が高い。各巻に索引や解題がついている。
日本図書センターから配本された、各種日本人名鑑の復刻版。全3巻のほか、人名索引が別巻としてついている。第1巻の底本は1922年にサンフランシスコの日米新聞社より発行された『在米日本人人名辞典』。統計や事実を含む在米日本人史略のあと、苗字アルファベット順にアメリカ合衆国を中心として居住する在米日本人の日本での本籍地、アメリカでの住所、略歴、家族構成などが掲載されている。第2巻の底本は1927年発行の曽川政雄著『布哇日本人銘鑑』である。ハワイの風土や歴史、産業、邦人固有の事件や問題を論じた「布哇事情梗概」と、苗字いろは順にハワイの日本人の出生年、原籍地、現住所、職業および略歴等を記載した「布哇人物略傳」とから成る。第3巻の底本は1920年発行の松枝與四松編『加奈陀在留同胞総覧』。カナダの地理や統治組織、各産業の概況等が述べられたあと、苗字アルファベット順にカナダ在住日本人の職業、原籍地、現住所、略歴等が紹介される。
不二出版の<日系アメリカ文学雑誌集成>は、アメリカで発行された日本語雑誌を復刻したシリーズである。個人所有のものを一つずつ収集したため全号は揃っていない場合がある。ロサンゼルスで発行されていた『収穫』(1936年12月~1939年6月、1~6号)全1巻、アリゾナ州ヒラリヴァー収容所で発行されていた『若人』(1943年5~8月、1~3号)全1巻、カリフォルニア州トゥーリレイク収容所で発行されていた『怒涛』(1944年7月~1945年6月、1~7号)全2巻、同『鉄柵』(1944年1月~1945年8月、1~9号)全2巻、ワイオミング州ハートマウンテン収容所で発行されていた『ハートマウンテン文藝』(1944年1~9月、1~7号)全1巻、アリゾナ州ポストン収容所で発行されていた『ポストン文藝』(1943年2月~1945年9月、1~32号)全5巻、ニューヨークで発行されていた『NY文藝』(1955年~1975年、1~11号)全3巻、そしてロサンゼルスで発行されていた『南加文藝』(1965年~1985年、1~35号)全7巻が含まれる。各巻に解題がつく。
不二出版の<カナダ移民史資料>は、1909年から1974年までの間に日本やカナダで発行された、カナダの日本人移民に関する戦前の一次資料及び戦後の二次資料・全16冊の復刻版を収めたシリーズである。全11巻及び英文の別巻。同シリーズには、『加奈陀同胞発展史』や『ビーシー州日本人電話帳』といった戦前カナダで発行されていた邦人の歴史書や住所録、『海外移民が母村に及ぼした影響』など戦後日本で出版された研究書が含まれる。別巻にはこれら16冊の目次をすべて英訳したものと、第9巻所収『加奈陀と日本人』の完全英語訳が含まれる。
PMC出版による同シリーズは、ニューヨークにおける日本人の歴史を当地の日本人会がまとめた書籍の復刻版と、アメリカや南米に戦前移住した日本人移民の体験を描く伊藤一男氏の移民研究から成り立つ。『紐育日本人発展史』は1921年に発行された紐育日本人会編の同タイトルの本の復刻版。全2巻。総論、貿易について、ニューヨークに移住する日本人の人口や職業の変遷、日本人組織について、アメリカ人の日本人観についてなどが叙述されている。余禄ではニューヨークで活躍する代表的邦人の紹介がされている。伊藤一男『北米百年桜』は1969年/1972年に発行されたものの復刻版。正・続全4巻。新聞記者であった著者がシアトルを中心とする北米各地の一世から寄せられた体験談をもとに構築した日本人移民の体験に関する歴史は、密航や賭博といった日系社会の暗部にも切り込んでいる。同著者による『明治海外ニッポン人』は「海外日系人」誌に掲載された記事をまとめたもので、アメリカや南米に渡った日系移民の体験を描写しているほか、沖縄からの移民に焦点を絞った章も含まれる。
太平洋戦争当時、アメリカ西部の日系人収容を管轄する機関としてWar Relocation Authority(戦時移住局、略称WRA)が設置される。戦前から戦後にかけてWRAが作成した報告書やガイドブック、研究結果が発表されたが、当研究所は1975年にAMS出版から発行されたこれらの資料の復刻版・全11巻を所蔵する。同シリーズには、WRAの行政管理職務について詳述したAdministrative Highlights of the WRA Program(Vol. 1)や収容所内の自治の歴史を綴ったCommunity Government in War Relocation Centers(Vol. 2)、日系人の統計的資料を分析したThe Evacuated People(Vol. 3)などが含まれる。すべて英文。
1877年にサンフランシスコで結成された、邦人クリスチャン書生の勉強会兼相互扶助団体「福音会」の沿革に関する資料を、解読・復刻したもの。原本はカリフォルニア大学ロサンゼルス校のJapanese American Research Project(通称JARP)コレクションに収められている。編纂年代不詳の初期の記録から1897年12月のものまでが残されている。編者は文倉平三郎。前半は叙述体の記録だが、1890年以降は会報や月報を基礎資料とした記述になっている。この復刻版は、阪田安雄氏が自身の所持するコピーを解読した原稿に基づく。なお、「福音会沿革史料」をもとにした共同研究書に『在米日本人社会の黎明期:『福音会沿革史料を手がかりに』があり、当研究所はこれを所蔵する。
ロサンゼルスに拠点を置く新日米新聞社の編纂・発行の同書は、1960年の日米修好通商百年を記念し、翌年出版された。海外移民開始期から太平洋戦争後に至るまで、アメリカ合衆国本土における日系移民とその子孫の活躍や苦闘の歴史を、産業や文化、宗教、教育、労働、排日運動、二世の体験、強制収容など多角的な面から総括した第一篇と、居住地域ごとの日系人の活躍をまとめたほか、その地方の代表的な邦人の職業、出身県、現住所および略歴や家族構成等を紹介する第二篇から成る。
ロサンゼルスの新日米新聞社が発行した1966年度におけるアメリカ合衆国本土に住む日系人の住所録。州別、苗字アルファベット順に表記されている。なお、住所録は英文だが、巻末の統計や法規解説部分は日本語である。
法学博士の末廣重雄がアメリカ合衆国、ハワイ、カナダ、メキシコにおける排日問題と在住日本人の現況を調べて書いたもの。1915年発行。
藤賀與一著で1927年発行。1769年から1927年までの日米関係および日本からアメリカ合衆国本土を中心とする北米に移住した移民についての歴史を年表形式でまとめたもの。統計情報も含まれる。なお、同書は<日系移民資料集 北米編>第1巻に復刻版が所収されている。
南カリフォルニア州における日系移民の歴史を綴ったもの。南加日系人商業会議所発行。全2巻。1956年発行の前篇は、1860年から1918年までの出来事を年表形式で綴ったもので、原稿自体は太平洋戦争前に完成され日本で出版される予定であったが、戦争の勃発により発行を戦後まで待たねばならなかった。越智道順編集・1957年発行の後篇は、1919年から1955年までの歴史を網羅し、前篇の年表形式とは違い叙述に重点が置かれている。大まかに戦前、戦時、戦後という時代区分はされているものの、各時代における重要項目(土地法、日本人社会、強制収容、二世兵士の武勲、経済復興、移民帰化法など)が詳しく解説されている。
南加日系人商業会議所編纂による、1890年から1959年までの南カリフォルニア州における日本人の歴史を綴ったもの。1960年発行。ハワイを含むアメリカ合衆国への移民と体験まとめた第一篇、南カリフォルニア州における邦人の農業、貿易、漁業、労働、宗教、教育、文化等の各論を記述した第二篇、カルフォルニア州の排日問題を扱った第三篇、太平洋戦争下の日系人の苦闘を綴った第四篇、南カリフォルニア州の日系二世の活動を論じた第五篇、そして南カリフォルニア州各地における日本人の歴史を扱った第六篇から成る。
南カリフォルニア州における岡山県出身の日本人移民の歴史を綴った風早勝一の著作。1955年発行。前半では岡山県人の組織や活動内容を総括し、後半では移民社会における功労者の本籍地、現住所および略歴を紹介する。なお、同書は<初期在北米日本人の記録>シリーズから復刻版も出版されている。
シカゴ日系人会が当地における日系人の歴史を編纂したもの。1968年発行。イリノイ州やシカゴの歴史の叙述から始まり、1890年代から1966年までの日系人の歴史を記述しているが、古い時代の資料があまりないためか太平洋戦争中と戦後に重点が置かれている。個人の伝記や名簿のようなものは含まれていない。
伊藤一男著・1982年発行のシアトル日系人会創立三十周年記念誌。草創期のシアトル日系人社会について描いた戦前編、太平洋戦争中の収容所体験等に焦点を絞った戦中編、1949年から1980年までのシアトルを中心とした日系人社会の動静を年次ごとに綴った戦後編の三部から成る。
ハワイ官約移住75年祭記念として企画された、ハワイ日本人移民史刊行委員会編集、1964年発行の移民史。ハワイ略史、先駆移民、官約移民の開始、自由移民、永住土着への移行、労働と商業、宗教と教育、社会と文化、そしてアメリカへの同化といったテーマが叙述形式で詳細に紹介されている。附録史として、日米修好百年祭やハワイ官約日本人移住七十五年祭といった記念行事の紹介(表彰者の名簿も含む)や学校、宗教団体等の展開の記述(団体の一覧も含む)が掲載されている。
ハワイ大学から1968年に出版された、ハワイにおける日系人史研究のための資料・書籍を紹介した冊子。日本やハワイ政府の文書や旅行代理店の記録、日記や回想録、新聞や小説、宗教、政治、文化等に関する本のほか、一部戦後に発行された研究書も含む。
1896年から1946年までのハワイにおける日本人の歴史を、新聞記者であった著者・相賀渓芳氏が綴ったもの。自身の体験と日系移民の社会史の視点から描かれている。
森田栄編集、1915年発行の同書は、ハワイにおける日本人の歴史を総括したものである。ハワイの政体や歴史に関する総論のほか、ハワイにおける日本人の地位、日本移民の沿革、各産業における日本人の活躍、宗教、教育、官庁、新聞雑誌、団体、社会史、時事等の視点から綴られている。名簿や住所録は含まれない。なお、同書は<初期在北米日本人の記録>シリーズから復刻版も出版されている。
ジャーナリスト山下草園によって書かれた1943年発行の同書は、ハワイへの日本からの漂流民、「元年者」と呼ばれた初期の移民の記録、ハワイ王朝と日本との関わり、ハワイにおける日本人の現況等の視点から日本人とハワイとの関わりをなぞったもの。太平洋戦争中の独特な「民族意識」に基づく史観が色濃く反映されている。
1957年和歌山県発行の、和歌山からの海外移民に関する総括書。移民前史としての漂流、明治以降の出移民に関する実態調査や地区的考察、初期の渡航者の活躍といった視点から描かれた前編、アメリカ合衆国・ハワイ・カナダ・オーストラリア・東南アジア・ブラジル・その他中南米諸国・満州への和歌山移民が現地に残した活躍や苦闘の足跡を詳述した中編、そして戦後の政府主導の移民政策(アメリカへの難民救済移民も含む)に焦点を当てた後編の三部から成る。一部正確性を欠くものの統計や一次資料の引用も充実しており、和歌山県からの海外移民を研究する際には必携の参考書である。
静岡県海外協会編纂の同書は1969年に初版が発行されており、当研究所では1979年発行の第三版を所蔵する。総説ではおもに明治以降の日本から世界各地への移民の歴史を戦後まで概観し、各論では静岡県からの移民に焦点を絞り、アメリカ合衆国・ハワイ・ブラジル・アルゼンチン・ペルーなど移住地ごとにおもな静岡県人を紹介するほか、在外県人と静岡県の交流、移住関係機関についても述べられる。また巻末では資料編として「海外在住静岡県人名簿」を提供し、移住先の国や地域ごとに在外静岡県人の氏名・現住所・職業・渡航年月・出身地(判明分のみ)を掲載する。
日本移民推進機関の草分け・日本力行会の会長を務めていたこともある永田稠の編集により、信濃海外協会から1952年に発行された長野県からの海外移民を綴った歴史書。ハワイ・カナダ・メキシコ・キューバを含む北米における長野県人についての略史のほか、信濃海外協会の沿革、信濃海外移住組合主導のブラジル・アリアンサ移住地建設事業について、長野県満蒙開拓事業についてなどが解説されている。
カナダのスティブストンに戦前多数の漁業移民を出した和歌山県三尾村のフィールドワークで、1953年に毎日新聞社人口問題調査会から発行された。東京大学の福武直が総括し、人口・歴史・漁業・農業・社会生活・教育・宗教・公衆衛生・世論・移民問題の各分野の専門家がそれぞれの視点から移民母村としての三尾村の実態に切り込んだ、学際的な研究である。戦後の出移民研究の嚆矢とも言える重要書である。
和歌山県美浜町三尾区美浜町カナダ移住100周年記念事業実行委員会により1989年に発行された、カナダにおける日本人社会の歴史をまとめた歴史書。和歌山県三尾村(現・美浜町)からカナダへの移住が開始された1889年から数えて百年の記念事業の際に刊行された。アメリカ村の形成、カナダにおける日系漁者、写真妻、教育、仏教などの切り口から各章が構成されている。三尾村と三尾出身者が中心の記述となっている。
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