報告 | Marc S. Rodriguez先生をお招きし、“Immigration and the USA: Latinos, Borders, and Migration Then and Now”という題目で、アメリカにおける移民規制の歴史を現代の政治と絡めてお話いただきました。アメリカへの移民は19世紀に急増しますが、プロテスタント優位の地域では宗教的他者であるアイルランド系移民やドイツ系移民排斥がすぐに開始したといいます。20世紀以降は移民排斥の気運が高まり、1917年の移民法によりアジア系移民が排斥されます。また、1924年にはアメリカ国境警備隊が設置され、以前は自由に往来できたカナダ・メキシコからの移民が制限されることになりますが、これは現代のトランプ大統領が対策を強めていることでもあります。1942年には大戦による労働力不足でブラセロ計画が実行され、メキシコ労働者がアメリカに移住できるようになりますが、一時的なものであるためこの計画が終了すると不法のメキシコ人移民が増加します。トランプ大統領が移民排斥の動きを見せ、メキシコ人に労働力を奪われたと考えるアメリカ人も多くいる中、グローバル社会と言われる現代においても多文化主義の国家像が歓迎されているとは言えないといいます。トランプ大統領の“NewNativism”は、移民にある程度の制限をかけている点ではあらゆる国に共通するものだと先生は話します。ラティーノの数が増加しアメリカ政治が揺れ動く一方で、固定的であるはずのアイデンティティが、法律により強力な証明書がなければ認められず、投票権を得られない人々がいるという現実にも触れられました。 質疑応答では、トランプを支持する一部の保守派ラティーノの背景について、非白人労働者の流入とアメリカの資本主義や近代化への取り組みとの関わりについて、またそうしたアメリカの状況と昨今の日本における外国人労働者に対する取り組みとの比較についての質問などが寄せられました。(報告:英米文学研究科博士後期課程 三原里美) 参加人数:約100名 |
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テーマ | Immigration and the USA: Latinos, Borders, and Migration Then and Now |
講師 | Marc S. Rodriguez(Portland State University教授) |
This talk will discuss the modern era of Immigration Regulation in the United States with some coverage of comparative immigration restriction with an emphasis on the Latinx experience. This talk will conclude with a discussion of recent border restrictions and regulations in the United States with emphasis on the regulations of the Reagan, Obama, and Trump Administration policies. | |
日時 | 2019年12月12日(木)10:55-12:35 |
場所 | 上智大学12号館3階 302教室 |
参加自由・申込不要 | |
使用言語 | 英語 |