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第18回研究会報告

日時:2003年6月2日(土)13:00-18:00
場所:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所セミナー室(301)
出席者:8名

1. 事務連絡・情報交換

(1)事務局よりニューズレター10号が6月2日付けでPDF版で発行されたことが報告された.しかしながら、PDF版のニューズレターを受け取った人の中から文字化けで読めなかったという指摘があり,事務局が再度配信を試みることが決まった.

(2)事務局よりメーリングリスト内規案が提示された.あわせて,川島氏よりジャウィ文書研究会と別の組織がすでに採用しているメーリングリストの内規が参考として提示された.協議の結果,メーリングリスト参加者の規定を緩くする,警告・退会についての文言を穏やかなものする,ウェッブに転載するメーリングリストの記事の対象を明示するという3点の修正を経て,内規が承認された.

(3)川島氏より,上智アジア学の規定では,執筆者以外に20部を無料で配布できることになっているので,20号の配布先として望ましい20名の名前を出して欲しいとの提案があった.およそ15名ほどの名前がでたので,残りはメーリングリストで募ることにした.なお,同号は6月下旬に発行の予定である.

(4)川島緑氏よりジャウィ入力用ワープロソフト(Windows95/98/2000対応)をトヨタ財団助成費で購入したことが報告された.1ライセンス・パックを20個,5ライセンス・パックを3個購入した.1ライセンスのソフトは研究会会員を中心に1個ずつ配布すること、5ライセンス・パックは川島氏が1個,事務局が2個もち,将来,必要とする者に配布することとなった.

(5)東京外国語大学客員教授で、スンダ文書の専門家であるエディ・エカジャティ教授(インドネシア、パジャジャラン大学)の紹介が菅原由美氏よりあり,エディ氏からスンダ語文書の研究状況についての説明があり、論文数点のコピーをいただいた.引き続きエディ氏はテキスト講読にも参加された.

2. テキスト講読

Address of the Penang Mohammedans to the Queen on the Occasion of theJubilee of Her Reign, June 1887. JSBRAS (1886) No.18, pp. 366-368. テキスト・翻字案提供:西尾寛治.1887年のヴィクトリア女王即位50周年記念に際してペナンから送られた祝辞である.ペナン在住(ただし出自はペナン以外のマラッカ海峡世界を含む)のアラブ系の有力者たちによって起草された.テキストのジャウィ表記には不規則な点が見られるが,これが起草者の不注意なのか,原稿を印字した印刷業者のミスなのかは不明である.ムスリムが書いた文書でありながら,書き手が自称をMuhammadiyyah(ムハンマドに従う者)とするのは,読み手であるイギリスの女王のムスリム理解を予想した上での自称であると思われる.商人と宗教者(dagang santri)の盛んな往来が国家の繁栄の徴表である認識は14世紀のジャワにおいても見られるものであり,島嶼世界の海域ネットワークへの依存をよく示しているように思われる.アラビア語や宮廷用語が多用された祝辞であるが、読んでみると興味深い点が多々あることがわかった。

3. 今後の活動

次の第19回研究会は,本日読んだテキストに続いて掲載されている文書を読むこと(Jubilee Address by Perak ra'iyats, June, 1887. JSBRAS (1886) No.18, pp. 369-371),坪井祐司氏がその翻案原案を作ることを決めた.日程は,12月6-7日に神戸大学で開催される東南アジア史学会大会の前後の日程のいずれかとし,メーリングリストにて会員の意見を聴取して決定することが決まった.

(文責:青山 亨)