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第17回研究会報告

日時:2003年4月19日(土)13:00-18:00
場所:上智大学四谷キャンパス10号館324号室
出席者:12名

1. ジャウィ文書講読

Kang Kyong Soek, Perkembangan Tulisan Jawi dalam Masyarakat Melayu. pp. 1-4, line 4.テキスト提供者:西尾寛治,レジメ担当者:西芳実.博士論文を基にした本ということで全体としては比較的読みやすいテキストだったと思うが,いくつか読解が難しい部分もあった.diubahsuaikanは使いなれない単語ということもあり難しかったが,もっと予想外だったのは,ありふれた単語warisanが,wrthn(>warithan>warisan)とジャウィ表記(وارثن)されており,まったく読みとれなかったことだ.アラビア語起源ということで変則的であるらしい.

2. 資料情報交換

菅原由美氏からインドネシア写本学会(Masyarakat Pernaskahan Nusantara)のシンポジウム参加の話を中心に報告があった.写本目録の作成はジャワの分は進んだが,ジャワ以外の地方語はまだ遅れている.南スラウェシでは計画があるがまだ完了していない.パレンバン,パダンも訪問したが,資料はあるが財源の確保に苦労しているようである.

3. 今後の研究活動・事務局体制について

(1)『上智アジア学』20号ジャウィ特集は,ページ数をかなり超過したが,5月末までに配布可能であると川島緑氏から報告があった.

(2)資料購入.トヨタ財団の助成は2003年4月に終了予定となっていたが,残務整理のため2か月の延長が認められた(6月末で助成終了).残余金を使って資料(主としてカタログ)を購入する予定であると川島さんから報告があった.

(3)事務局は5月1日から2年間をめどに青山亨研究室(鹿児島大学多島圏研究センター)に移転することが確認された.これにともなって立ち上がったメーリングリストとウェッブサイトについて青山から説明があった(詳細はニューズレター9号).ウェッブサイトの内容について議論があり,ニューズレター(既刊を含む)の目次をすべてのせること,執筆者の許可がとれた分については本文ものせることが決まった.今後は,ニューズレター原稿依頼時に,ウェッブへの掲載について「無条件掲載可」「掲載可,引用不可」「掲載不可」のいずれかの選択をしてもらうことに決まった.また,1-8回までの研究会の記録は東京大学のウェッブサイトにあるので,ジャウィ文書研究会のウェッブサイトに移せるよう許可をもらうことになった.

メーリングリストについても議論があり,当初はメーリングリストへの参加は一般に公開する方針であったが,最終的に,ジャウィ文書研究会のメンバーのみがメーリングリストに参加できることに決まった(この点,ニューズレター9号の内容を訂正する必要あり).また,メーリングリストの利用にあたって,管理者にメンバー退会の権限を与えるなどの内規を作る必要性が指摘された.

(4)引き続きニューズレターについての議論があった.今後は年に3-4回の頻度で発行すること,経費の節減のため,PDFによる電子版を基本とすることが決まった.ニューズレター自体は研究会の内部資料であることが確認された.したがって,電子版を配布するためのメーリングリストも研究会メンバーに限定する必要がある(上記の決定).

次号の内容としては,菅原由美氏によるインドネシア調査報告,西芳実氏による2002年12月東南アジア史学会岡山大会での発表の報告を掲載することが決まった.

(5)最後に,今後の研究活動についての議論があった.2003年度は財源がないため旅費をともなう研究会をこれまでのような頻度をおこなうことはできない.そこで,ジャウィ文書の講読会を年に2回程度開催することを基本的な活動とすることにし,講読会の開催は東南アジア史学会研究大会のような全国大会へ参加する機会の前後の日を利用することを決めた.講読文書の候補として,Patani Ulama,Utusan Melayu紙,Kang著Perkembangan Tulisan Jawi,JSBRAS(1886)No.18掲載の1887年ヴィクトリア女王戴冠記念式にペナンから送られた祝辞の4点があがり,投票の結果,最後のテキストを読むことになった.次回の研究会は6月2日(月)午前9-12時に東京外国語大学にて開くことが決まった.

(6)来年度の財源を確保するため、黒田景子氏が中心となって科研(海外学術)などの助成に応募することを決めた。

(文責:青山 亨)