出張報告

国名:エジプト
出張者:三代川 寛子(上智大学アジア文化研究所・客員所員)

概要:
 カイロの国立図書館で20世紀前半のコプト博物館に関する資料収集を行った。今回はスキャナーおよびコピー機が機能しており、無事に複写を入手することができた。国立図書館には新しいスキャナーが導入されており、紙媒体の書籍のスキャン画像が以前よりも鮮明になった。それに伴い、一枚当たりの値段も1ポンドから2.5ポンドに上昇した。マイクロフィルムについては、映写機では読めるのに、スキャン画像にすると全く文字が読めない場合があり、この点は改善されていなかった。スキャナーの解像度の問題であろうか。

 また、隣接する国立文書館にて、閲覧許可申請を行った。2015年12月現在で、要求された提出書類は以下の通りである。
(1)申請書:
 国立文書館内で渡される書式。A4で1枚。
(2)紹介状:
 所属、研究内容に言及があるもの。
 当初、受付で日本大使館からのレターが必要と言われたが、カイロのJSPS所長からのレターでも可とのこと。エジプトの大学に所属がある場合はその所属先の大学に発行してもらう。どこからレターをもらうのであれ、必ず押印が必要とのこと。
 今回はJSPSで発行してもらったが、日本大使館を通す場合は、恐らく在学/在籍証明書などが必要。
(3)研究計画書:
 書式自由、A4で1枚。研究内容・計画を詳述したもの。 英語で書いたところ、「どうしてアラビア語ではないのか」と聞かれた。アラビア語で書いた方が、審査が早いのかもしれない。ここに記載した内容以外の文書は閲覧許可が下りないので、テーマは広めに書いておいた方が良いらしい。
(4)顔写真2枚
(5)パスポートの顔写真のページのコピー1枚

 審査には2カ月程度かかるため、許可が下りたかどうかは国立文書館2階の研究ホール(qā‘at al-baḥth)に電話で確認してから来館するようにとのことであった。
 2006年のJohn Dunn氏の報告(http://archivesmadeeasy.pbworks.com/w/page/24521742/Dar%20al-Wathaiq%20al-Qawmiyya)によると、閲覧許可が下りるまで6か月以上かかる場合もあるらしい。
 カイロ大学中央図書館で学位論文の複写も行った。カイロ大学の場合、特に利用許可申請手続きをしなくても、入口で利用料10ポンドを支払えば図書館を利用できる。OPACは館内のみ利用可能。学位論文のスキャンは一度の申請当たり50ページまでと上限が定められているが、論文が長大な場合は多少大目に見てもらえる。スキャンデータの受け取り方法としてメールを選ぶと、後日申請書に書いたメール・アドレス宛にPDFが送られてくる。およそ3営業日かかると言われたが、翌日に届いた。画像は鮮明で申し分ない。
 今回の出張では、特に国立文書館の手続き関連でJSPSカイロ事務所の深見先生に大変お世話になった。この場を借りて厚くお礼を申し上げたい。