目的と意義

 上智大学イスラーム研究センターでは、早稲田大学イスラーム地域研究機構との間の学術協定の締結(2013年7月)に基づき、2014年4月、本共同研究プロジェクト「アジア・アフリカにおける諸宗教の関係の歴史と現状」を開始いたしました。
 本研究プロジェクトは、上智大学・早稲田大学を中心に、多様な研究機関に所属するメンバーから構成され、当該分野にかかわる専門家のネットワーク形成を進めています。
 本研究プロジェクトは、アジア、中東・北アフリカ、サハラ以南のアフリカの諸地域において、政治的にも社会的にもますます重要な問題になっている諸宗教間の関係を、歴史と現状の両面から分析することを目指しております。
 当面は、2年間のプロジェクトとして開始し、初年度は、アジア・アフリカ諸地域におけるキリスト教とイスラームを中心に、近年益々対立構造を強めつつある異なる宗教間、あるいは同一宗教内の異なる宗派間の対立の構造について研究を進めていきます。それにより、グローバル化の進行する現代社会における共存と和解を目指す学術的基盤を構築していきます。
 なお、本共同研究は、2011-2012年度に行われた文科省委託事業・拠点強化事業「イスラームをめぐる諸宗教間の関係の歴史と現状」の成果を発展的に継承するものです。


  年度計画

 2014年度は、アジア・アフリカ地域におけるキリスト教諸宗派、及び同地域で存在感を増すイスラーム教の多様な展開を、特に中東・アフリカ地域を中心に歴史的文脈から比較検討します。活動内容としては、研究会の開催、海外調査、研究者の招聘、ワーキングペーパーの発行などを予定しています。
 2015年度は、初年度の研究成果を踏まえつつ、より今日的状況に焦点を当てて研究を行っていきます。2015年度も、研究会の開催・海外調査・ワーキングペーパー発行を予定しています。また、海外の研究者を招聘し、NIHUプログラム「イスラーム地域研究」の2015年度国際会議にセッションを設け、研究成果を報告する予定です。

  共同研究の大枠

(1)諸宗教間(イスラーム、キリスト教、ユダヤ教、その他)と諸宗派間の関係(平和的共存、対立、紛争など)を、中立的立場から分析する
(2)各事例について、宗教と政治の関係(世俗主義、政教分離)を考察する
(3)各事例について、歴史的背景と現状との相互関連性に注目する
(4)中東・北アフリカとサブサハラ・アフリカとの比較研究を行い、また現状に関する理解を共有する
(5)宗派間関係のあり方について、その背景・原因・構造の比較分析を行う

  メンバー

代表:赤堀雅幸(上智大学総合グローバル学部・教授/スーフィズム・人類学)
澤井真(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・特任研究員/スーフィズム・宗教学)
高尾賢一郎(日本学術振興会(PD)東京外国語大学AA研/現代イスラーム・宗教学)
高橋圭(日本学術振興会(RPD)上智大学/スーフィズム・歴史学)
登利谷正人(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科・特別研究員(PD)/アフガニスタン・歴史学)
奈良雅史(北海道大学メディア・コミュニケーション研究院・准教授/中国ムスリム・人類学)
長谷部圭彦(早稲田大学イスラーム地域研究機構・次席研究員/オスマン朝史・歴史学)
藤野陽平(北海道大学メディア・コミュニケーション研究院・准教授/台湾キリスト教・人類学)
(敬称略・五十音順)