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授業紹介:演習(グローバル市民社会・国際協力論)1・2

担当教員:稲葉奈々子
カテゴリ:演習(400シリーズ)
レポート日:2021年6月30日
授業紹介:グローバル市民社会・国際協力論

教員からのコメント

ゼミでは社会学を方法論として、グローバリゼーションをキーワードにして、社会の諸問題を読み解いていきます。

ところで、社会学とは何を学ぶ学問でしょうか。

政治学や経済学などその他の学問領域と比較して、何を対象としているのかわかりにくい!と学生から質問されることがよくあります。政治なら政府や政治家、経済学なら企業や消費者、教育学なら学校や生徒、というイメージからすると、社会学は生活世界と個人を対象とした学問といえるかもしれません。「そう言われても、からっきしイメージできない」という声がきこえてきそうです。

かくいう私も、大学時代には、社会学とは何をする学問なのか、ぴんときませんでした。そんな学生時代のあるとき、自分の父親についての文句を、友だちにこぼしたことがありました。私の母の悩みに真摯に向き合ってあげない態度、母が結婚したとき、父の親戚全員が選挙違反で「公民権停止」だったという信じられない出来事などを列挙したところ、「あなたが文句を言っているのは、全部、田舎の特徴だよ。田舎が嫌いと言っているのと同じ。田舎差別やめろー!」と言われました。それに加えて、「都市の大学で教育を受けた娘が、地方出身で都会的なスマートさのない父親と価値観が違ってすれ違ってしまう現象は、よくあること」と、社会的な文脈に位置づけて説明されたのです。自分個人のもやもやした問題が、社会構造的な要因から解き明かされた瞬間で、目から鱗が落ちたようでした。この解釈の是非は別として、田舎の特徴かぁ・・・と思えるようになると、個人の問題としてわだかまっていたものが溶けていくようでした。

以上は、私個人の経験ですが、もう少し社会学的に説明すると、私たちの行為は、自分の決断であり、意志に基づいています。でも、その決断や意志は、個人にはコントロールできない構造によって規定されている部分があります。

個人がコントロールできない構造とは、ジェンダーに基づく秩序だったり、人種やエスニシティに基づく差別だったり、親の職業や収入など階層によってアクセスできる資源の違いだったりします。こうした個人と構造の関係を明らかにするのが社会学です。

大学進学ひとつとっても、個人の努力だけでなく、性別や出身地や親の職業の影響を受けます。たとえば、学校基本調査によると、全国の高校生の大学進学率は54.5%です。これを男女別にみると、男性は57.8%ですが、女性の大学進学率は51.0%と7ポイント近い開きがあります。さらに県別にみると、東京都の女性の大学進学率は74.1%ですが、鹿児島県の女性の場合34.2%です。能力や努力といった個人的資質だけは説明できない、明らかに構造的な要因があると言わざるを得ません。

こうした構造的な格差は、ジェンダー秩序を規定する家父長制だったり、親の職業に規定される階層だったり、外国人差別の根底にある人種主義やナショナリズムが要因だったりします。このように個人のきわめて日常的な生活に影響を与える構造や権力関係を明らかにするのが社会学のひとつの醍醐味です。

ゼミでは、移民、ナショナリズム、ジェンダー、子どもの居場所など、さまざまな切り口から社会を読み解きます。ゼミで学ぶことで、個人的な問題をグローバルな社会のなかに位置づけて解釈できるようになることを目指しています。
(稲葉奈々子 いなばななこ)

授業紹介:グローバル市民社会・国際協力論

学生からの声

この授業を履修しようと思った理由は、私は元々、外国につながる子どものアイデンティティ形成に関心があったためです。市民社会領域で、過去の先輩たちの研究テーマを読み、また先生の講義を受ける中で、自分がやりたいことはここでならできるかもしれないと思いました。
この授業の魅力は皆がフラットな立場でディスカッションに参加する姿勢が魅力だと思います。発表者が掲げたディスカッション・トピックだけでなく、話し合いの中で出てきたささいな疑問から話が弾むことも珍しくありません。また、皆の関心に合わせて先生が文献を選んでくださり、その中から更に自分達で選ぶことができるのも、魅力の1つだと思います。
(総合グローバル学部4年生 柴田美彩季)

この授業で、基礎的な市民社会論や社会学の学びはもちろん、それらをベースに近年発生している課題を例に挙げ、ディスカッションなどを通じてそれらを理論的に分析しています。今でこそ社会情勢のためディスカッションが中心ですが、みなさんが入学する頃、情勢が落ち着いていれば実地研究なども行うことができます。
この授業を履修しようと思ったのは私自身がヨーロッパの市民社会について興味を持ったためです。そのため、フランスを中心にヨーロッパ圏市民社会への造詣が深い稲葉教授のゼミで自身の知見を深め、同じ興味を持つ仲間達と学びたいと感じ、履修しました。
この授業の魅力は取り扱う分野の多様さと沢山話す機会がある事だと思います。授業ごとに新しいテーマを設定することが多いため、多くの知識を得られるだけでなく、それに対する自身の意見を毎回考えられる環境は非常に魅力的に感じています。知識と話す力、この二つを鍛えられるのは魅力です。
この授業で学んだことにより、今後の世の中の情勢を広い視野を持って捉えること、人とのコミュニケーションに活かしたいです。ディスカッションでは話題の理解、自身の意見を持ちそれをわかりやすく伝える力が身に付きます。知識を得るだけでなく、この授業での考え方を生活に繋げたいです。
(総合グローバル学部4年生 須賀悠斗)

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