授業紹介

授業紹介:国際教育開発論

担当教員:丸山英樹
カテゴリ:専門(300シリーズ)
レポート日:2019/07/09

FGSの学生は普段どのような科目を履修し、どのようなことを学んでいるのでしょうか。
今回は丸山英樹先生による科目「国際教育開発論」をご紹介します。

教員からのコメント Comment of Professor

講義とグループワークで構成される「国際教育開発論」では、教育分野における国際協力といわゆる発展途上国の教育改善を扱い、持続可能な社会構築を目指す取り組みには何が求められるかを受講生が考える。持続可能な開発の概念が国際的に共有されるようになり半世紀ほどが経つが、世界は持続「不」可能な状態に近づいているとも言われる。その議論において重要な点は、従来の分野を横断したアプローチ、世代を超えた時間射程、現世代内における公平・公正とされる。国際協力および教育開発の改善においても先進国が途上国を支援する形から、様々なグローバル課題の解決に向けて協働する傾向が強くなった今日、国際機関や先進国政府だけでなく、非政府組織(NGO)や市民組織ならびに民間企業などの参画が重要となっている。

本講義で最も扱うトピックは、持続可能な開発と教育に関するものである。恵まれない環境下にある子どもたちはじめ、すべての人々への教育機会を担保し、適切な教育内容を提供することは、単に学校を建てて教科書を配り、日本のように教師が教えることを意味しない。学校に行けても、自分の母語以外で授業がなされていたり、家族や住む地域の都合で勉強できないことや、自分の出自や性別が進学を許さないこともある。これらの背景を丁寧に扱いながら、グローバル化による影響を捉え、自分たちにはどういう選択があるかを想定する。そのため、教育の質(インプットとアウトプット)に加えて教育成果が公正に捉えられているか、女子・女性への教育が学習者個人の人間開発だけでなく社会開発にどう関係するか、途上国に対する支援を先進国からの施しではなく、社会的包摂、経済的公平性、環境配慮を前提とする「持続可能な開発目標(SDGs)」時代においては相互に支える双方向性をどのように考えられるのか、そしてどのような行動に移していけるのかなど受講生はグループで考える。

学生からの声 class interview

・授業を履修しようと思ったのは、2年生の2月に文部科学省のインターンシップに参加し、少子高齢化社会に進む日本について考えた時に求められる教育とはなんなのかを考えさせられた事がきっかけです。丸山先生の授業では、様々な国の教育の事情を多面的な切り口で学ぶことができるため、日本の教育についての事象を考える際にも役立つと感じました。
この授業の魅力は、「反転授業」を取り入れていることで、生徒が主体となった質の高いディスカッションが可能となる点だと思います。この授業ではあらかじめ自宅で教材・映像により次回の授業に対する予習を行い、授業に望むまでに学習内容の課題意識や要点を理解しておくことが求められます。これにより実際の授業では先生からのフィードバックを行なった後、学生が主体となり与えられた「問い」に対してそれぞれの意見を共有します。教科書の内容を単に学ぶのでなく異なる価値観を持った学生たちとそれぞれの意見を共有することにより、さらなる理解や多角的な視点からの意見の提示が可能になるように感じました。(総合グローバル学部3年生 山口摩耶)

・授業を履修しようと思ったのは、私が総合グローバル学部に入学したのも、国際協力や発展途上国への支援に関心があったからである。この授業もその時の関心の延長線上で履修した。しかし実際に履修してみると、今まで私が想像していた国際協力の在り方がもう通用しない世界になっているということに驚いた。「そこに物がないからものをあげる」という足りない物資だけを与えればいいという時代ではないという事に気付かされる。そこには一つの問題だけではなく同時にいくつもの問題が複雑に絡み合っているという事である。学校教育を例にとっても、そこには教育以外の問題が含まれていて教育だけでは解決しきれない。この授業でも教育、健康、貧困、ジェンダーなど様々な問題を扱ってきたが、それらの問題は一つ一つが別々ではなく、つながっているということ、一つの問題を解決したからそれで終わりではないという事をいつも感じでいる。今、世界ではSDGsという目標に向かっていろいろな活動をしている。その活動一つ一つがつながっていることを常に意識しなければならない。世界のどこかで起こっていることはすべて影響を与えているのである。
もう一つ、私がこの授業を受けて感じていることは世界の問題を見るという事は、日本を違った角度から見るということでもある。私たちの身近にも国際問題につながることがあり、日本の外で起こっていることも日本と全く関係ないわけではない。私はこの授業を通して、世界そして日本を新たに見つめなおす機会を得られたと感じている。(総合グローバル学部3年生 赤木千華)

・この授業は、100人を超えるにも関わらず、インプットだけではなくグループ討論などで自分の考えを確実に発信できることが最大の魅力だと思います。反転授業形式なので、宿題の量は多いのですが、毎回自学でインプットしたことを授業でさらに深く考えるので授業が楽しみです。オンラインでテストをしたり課題を提出したりとICTが活用されている進んだ授業だと思います。また、持続可能な開発(SD)は非常にスケールが大きいものだと受講前は思っていましたが、授業ではローカルな視点から取り上げることが多いので新鮮です。(総合グローバル学部3年生 田中有香)

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