授業紹介:比較政治学2
教員からのコメント Comment of Professor
比較政治学は、世界の国々の政治のあり方を、相違や共通点を捉えながら体系的に理解していく学問です。比較政治学1(春学期)では自由な競争と参加が可能な国家すなわち民主主義体制を扱いますが、世界の国家の大半はいまも非民主主義体制です。そこで比較政治学2(秋学期)では、軍事政権、一党支配、個人支配、宗教支配、伝統的君主政など多様な権威主義(独裁)体制を取り上げ、それらの持つ構造や仕組みを解説するとともに、どのような条件で民主化するのか、あるいは逆に権威主義が維持・強化されるのかを考察していきます。さらにこの授業では、そうした知識を基礎として、履修者が関心をもつ国や政権の情報を自ら収集し、動向を分析できるようになることを目指します。
学生からの声 class interview
この授業では、G7など民主主義国家群とは一線を画す非民主主義国家を複数の視点で分類し、各国の事例を比較します。非民主主義国家は、現在世界の約半数を占め、その経験がある民主主義国家も多いものの、その実態は注目されません。このような国家の本当の姿を知り、誕生する理由とそれぞれの問題点について考えます。
私は、移民と難民の問題について関心があり、彼らの送り出し国に多い非民主主義国家について学びを深めるために履修しました。受講すると、非民主主義国家にも様々な種類があり、国民にかかる負担や圧力も異なっていて、それぞれの事例に合わせて対処していく必要性を強く感じました。
政治学の授業は、概念的で堅苦しいと思われがちですが、各国の映像を見て支配の雰囲気や人々の様子を身近に感じたり、事例を比較していくと複雑に見える歴史の流れが整理されて、それぞれの国民性やアイデンティティが理解できます。授業を受けるごとに、知識が深まり、興味がかき立てられるのがこの授業の魅力です。
この授業で学んだことは、自分の研究課題を決めるのにも役立っています。また、一方の視点に囚われずに国々の違いを比較しながら、国際社会の抱える課題を正しく理解し、分析することは、今後国際政治を学ぶ上でも、国際的な仕事をすることになっても役立てられる貴重な観点であり、生かしていきたいと思っています。
(総合グローバル学部2年 松永夏実)
比較政治学1が民主主義体制に焦点を当てられているのに対して、比較政治学2では非民主主義体制に焦点が当てられている。これまでの授業では、非民主主義体制の中の各類型と実際の具体例を参考にしつつ、その成立条件や構造、民主化の可能性等について学んでいる。
一年次に岸川先生の「グローバル化と政治学」という授業を履修した際、国民国家の浸透過程や民主主義の波について学んだ。そこから、これまであまり考えたことのなかった非民主主義体制の成立経緯や、国家としてどのように機能しているのかに関心を抱くようになり、履修を決めた。
私にとってのこの授業の魅力の一つは、様々な国家の実例を扱うことで自分の関心地域について、比較政治の視点からとらえ直すことができることだ。また非民主主義体制の各国における意思決定で、背後にどのような政治構造やその体制の基本的性格があるのかを考えさせられる点も魅力である。
(総合グローバル学部2年生)
本講義では、現在国際社会で台頭している権威主義国家など非民主主義体制について詳しく学びます。これらの体制をとる国々がどのような条件のもとで成立・存続するのか、また民主化する可能性があるのかを「理念型」別に分類して考察します。
春学期に受講した「グローバル化と政治学」で非民主主義国家に関心を持ち、その中でも破綻国家に最も関心を抱きました。主権国家であることが前提である国際政治学の中で、これらの国家をどのように分析することができるのかという疑問を解決するために、本講義を履修しました。
本講義では、私たちの民主主義への価値観を問い直し、最も適切な統治とは何か深く考えさせられます。アジアや中東アフリカに焦点を当てる他の講義とは異なり、ラテンアメリカや中央アジアなど広範な地域の政治体制を学ぶことができます。比較政治学を通じて、一見異なる政治体制にも共通点があることに気づき、国際政治の多様性を理解することができることがこの授業の魅力です。
(総合グローバル学部3年生)