授業紹介:平和学
教員からのコメント Comment of Professor
「平和学」は、私が教員になって以来これまでずっと、一番大切にしてきた授業です。
そもそも「平和学」って何を学ぶの?と多くの新入生から聞かれます。本来の平和学は、学際的なもので、いろいろなアプローチが可能ですが、この授業では、国際政治学・国際法の視点から「平和とは何か?」「どのように実現することが可能なのか」を徹底して考えていきます。ウクライナやイスラエル・パレスチナの問題に、皆さんは心穏やかでいられますか? その許しがたいという気持ちが「平和学」のスタート地点になります。我々が映像でみるような戦争・紛争は、残念ながら全ての軍事力・暴力を否定するだけでは解決しえないのです。矛盾するようですが、平和を創るために、時には軍事力が必要とされることもありえましょう。また、「平和学」が射程とするのは、戦争のあるなしだけではありません。戦争、紛争、内戦、貧困、人権侵害がなぜ起きるのか、その原因と発生メカニズムを考え、どうしたらそれが打開できるのかを追求していきます。ただしここで、許しがたいという思いが強いあまり、「こうあるべきである」という規範論に陥ることは望みません。現実との乖離は失望、諦めにつながり、今度は過剰なユートピア論に事実の分析を怠ることになるからです。大切なことは、多様な見方を学び、因果関係を客観的に分析し、自分自身が、あるいは日本が国際社会の中で何をできるかを批判的に検討していく能力を身につけることです。
学生からの声 class interview
① 授業概要
平和の在り方や難しさを、戦争・紛争の歴史を通じて考える。授業は教授の話が主だが、それだけでなく新聞各社の社説を読み比べ憲法9条に対する考え方の違いを考え、また「映像の世紀」といった映像資料も活用して学ぶ。
② 履修動機
私は国際政治に興味がある。最近では国際紛争が重要な話題となっており、ロシアのウクライナ侵攻が解決せぬままパレスチナでは大規模な紛争が勃発した。こうした国際情勢の中で平和というものの難しさや脆さを知り、「平和学」という学問がどのようにこの「平和」という概念に向き合っているのか興味があり、またそれを学びたいと考えたため履修を決めた。
③ 授業の魅力
平和という曖昧な概念を扱うこの学問だからこそ、幅広い年代や戦争・紛争を扱い、国際政治の平和に向けた動きを学ぶことができる。また授業で扱われる国際政治におけるいくつもの問題点は、現状が完全ではないことの新たな気づきとなる。
④ 学んだことをどう生かしたいか
授業では構造的な平和構築に向けた動きを学ぶことができるので、他の授業での戦争・紛争の個々の事例についての学習においても、構造的な視点も忘れないようにしたい。
(増田葵 総合グローバル学部1年生)
① 授業概要 平和学の授業では、平和とは何かという根本的な疑問を持って考えている。戦争とは何か、世界はどのようにして戦争を抑止し、平和を求めているのかを学ぶうえで、冷戦など歴史的な戦争を取り上げて問題の原因や解決策を考えている。
② 履修動機 国際社会において重大な問題である戦争について、どのようにして戦争を減らし、平和が保たれるのか、国際政治をどのように進めるのかを学ぼうと思い履修した。また、国際法についても興味があったため歴史的の出来事がどのように法や規範を作っていったのかも学びたいと考えていた。
③ 授業の魅力 世界史の知識をあまり持っていなくても、基礎的な部分から説明してくれるので理解しやすく、誰でも安心して授業を受けることが出来る。また、様々な資料を提示してくれるため、それらを参照することで、ある一つの事象に対する異なった意見や見方を把握でき、批判的な思考を身につけることが出来る。
④ 学んだことをどう生かしたいか 現在、世界各地で起きている様々な問題について考える際に、固定した視点から物事を見るのではなく、新聞や本を参照することに加えて、授業で学んだ国際規範や歴史的事実などを含め、多角的に物事を理解するようにしたい。
(総合グローバル学部1年生)